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第02話『風花高校の入学式』

どうも皆さん、ベルトです。


前回予告した始業式ですが、訂正しました。入学式の間違いでした。すみません。


今回は、進也くんの仲間が登場します。2次創作では出来なかった、同世代の友達との交流です。


戦闘ありません。ほのぼのです。


それでは、本編にどうぞ!!

【風花高校・入学式】


「里美ちゃーーーーーん!!」


「理名ちゃん!!」


 風花町に桜が咲き始めた晴れの日。今日は、風花高校の入学式。風花高校の制服を着ている里美は、親友である理名との待ち合わせの場所に移動していた。


「お久しぶりです、理名ちゃん。相変わらず、元気ですね」


「あたしは、いつも元気よ!! 里美ちゃんも一段と可愛くなって!!」


「はわっ!?」


 どうやら、理名は待ち合わせ場所から里美を見つけたらしい。里美は、抱きつく理名と話していると一瞬だが、里美の眼にハーモニカを首にかけている少年が映った。


「あっ…………、理名ちゃん、少しだけ待っててください」


「ちょっと、里美ちゃん!?」


 里美は、理名を置いて走り出した。ハーモニカの少年を見失いように、人ごみを何とか避けながら進んでいく。


「す、すみません!!」


「ん、おれ……ですか? あれ?」


「………………あっ」


 入学式に出る同級生の人ごみが多いなか、里美は見覚えのある顔や特徴の少年に話しかけた。そして、話しかけられた少年である進也も気付いた。


「上野くん!!」


「松下さん!? 同じ高校なんだ!!」


 そこに居たのは間違いなく里美を助けた進也であった。里美と同じように風花高校の制服を着ている。同じ高校であることに、お互いに驚いていた。


「この間は、ありがとうございました」


「ううん、無事で良かったよ」


 里美は、進也と再会できたら考えていたことを伝えた。


「あの、お礼がしたいのですが……」


「いいよ、たまたま助けれただけだし」


「でも……」


 譲れない里美。あの時、本当に目の前が真っ暗になった。でも、目の前の進也に助けてもらったことに感謝している。そんな里美の気持ちを感じた進也は、良いことを思いついた。


「それじゃあ、今はお預けでいいかな。何かあったら言うから」


「はい……!!」


 進也と里美、2人が約束をしていると、後ろから声をかけられた。


「里美ちゃん、どうしたの!!」


「理名ちゃん、ごめんなさい」


 里美を追いかけてきた理名が現れた。茶髪のショートカットで、少しだけスカートが短い活発な女の子だ。


「里美ちゃん、そっちの男子は?」


「上野くんです。この前、悪いチッパーの人から助けてもらいました」


「はじめまして、上野進也です。よろしくお願いします」


 里美に紹介された進也は、頭を下げて挨拶した。理名は、里美から男の子を紹介されるとは思わなかった。里美は、あまり男の子に自分から話しかけるのは得意ではない。それを知っている理名は珍しいと感じた。


「よろしくね。あたしは佐藤理名。へぇ、じゃあ『チッパーバトル』強いんだ」


「上野くん、すごかったですよ」


「いや……その……は、はい……」


 昔から褒められることに慣れることが出来ない進也は、顔を真っ赤にして照れた。里美は、自分のことのように笑顔で嬉しそうに話していく。その様子を見た理名は、身体に雷が轟いたような衝撃を受けた。


「まさか、里美ちゃんと同じ天然記念物に出会えるなんて……」


「「???」」


 理名は、里美と同じように初々しい感情を持った進也の存在に驚いた。しかも、異性だ。親友の里美と組み合わせたら、どれだけ癒されるのかと思考している中、軽そうな声で、理名に話しかけてきた男の子が来た。


「よっ、理名」


「あんた、誰?」


「公平!! お前の幼なじみだろ!!」


 理名が、公平と自称する男の子に困っている。里美も急に現れた男の子にオロオロしている。気軽に話しかける金髪のオールバックの髪型をした男の子が気になった進也は、理名に尋ねた。


「佐藤さん、この人は?」


「あたしの人生の汚点。どこで間違ったのかしら」


「ひどいっすね!! ごほんっ、ぼくは鈴木公平。地球の果てまで、よろしくな!!」


「よろしく、鈴木」


「よろしくお願いします、鈴木さん」


 如何にも軽そうな性格と重そうな言動を見た進也と里美。公平による意味不明な挨拶が終わった。進也は、ふと里美を見て気付いた。


「松下さん、そのペンダントは?」


「これは、おばあちゃんから貰いました。大切なお守りです」


 里美は、サファイアのような青い石が付けられているペンダントを首にかけていた。あの日、里美がスパイダーの男に襲われた後に、祖母から渡されたペンダントだ。


「そうなんだ。似合ってて、かわいいよ」


「あ、ありがとうございます……」


 褒めた進也、褒められた里美。ほとんど同じように真っ赤になる様子を遠くから見た理名は、確信した。里美を昔から知っている親友ならではの心配事があった。


「昔から里美ちゃんを狙う、しょうもない男子に比べたら、進也と引っつくなら全く問題なさそうだわ。ようやく、里美ちゃんにも春が来たってことね」


「何を言ってんだ、理名。今は春だろうが」


 理名が里美の芽生え始めた恋心に感慨深くなるなか、隣にいた公平によるおバカな言動に怒った。公平は本当に無自覚で頭が悪い。理名は、カバンから『ある物』を取り出した。


「アンタは、黙っときなさい!!」


 パコンッ!!


「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーー!!」


 銀色の文字で『黙っとれ!!』と書かれた赤色のピコピコハンマーが公平の頭に直撃した。理名のツッコミ道具である。昔は金槌で叩こうとしたこともあったが、流石に姉によって止められた。こうして、賑やかな4人の1年生たちは、始業式が行われる体育館に向かうのであった。



【体育館】


「はじめましてのう。風花高校の理事長の松下徹子じゃ。新入生の皆、入学おめでとう」


 体育館、普段は広い場所だが、大勢の新入生が並んでいる。壇上では、理事長の徹子が丁寧に挨拶している。小さな身体で白い髪だが、圧倒的な存在感がある。立っている進也たちが、こっそり小声で会話していた。


「(松下? 松下さんと同じ名前だね)」


「(わたしの、おばあちゃんです)」


 すごいね、と進也が驚いているが、その横で進也以上に眼と唇を大きく開けて驚いている男の子がいた。それは、金髪のオールバックの髪型をした鈴木公平。


「(マジかよ!! それなら良いチップとか簡単に手に入るじゃねえか!! 松下ちゃん、さっそく僕を紹介して……痛えええぇぇ!!)」


「(公平、うるさい!! 叩くわよ!!)」


「「(もう、叩いている………)」」


 理名は、公平に対しては厳しいのだ。まあ、99%の確率で公平が悪い。公平を再びピコピコハンマーで叩いている様子を見ていた進也と里美は、その様子を見ていて同じことを思っていた。


「校長、交代じゃ。疲れたのう」


「早いです、理事長!! あ、いえ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!」


 風花高校の校長先生は、頭の髪が寂しくなった中年の男性。理事長の徹子には頭が上がらないのだ。最近のショックは、妻との仲が悪くなり始めたこと、娘がお風呂に入ってくれないことである。最近行った商店街の占い師によると、不幸が集まっているらしい。


「皆もご存知じゃと思うが改めてGSチップの説明させて欲しいのじゃ。中居先生、お願いしますのう」


「分かった、任せろ」


 徹子に呼ばれて、新入生たちの横で監視していた男性の先生が壇上に来た。さっきの校長先生と違って、身長が高くて身体はスマートで、若くて顔はイケメンだ。実際に他の女性先生たちの人気はトップである。


「俺は中居総司。お前たちが持っているGSチップは、電子技術によって発達した携帯用の身分証明書だ。政府から中学校からGSチップの使用を義務化されている。この高校は『戦闘』という授業がある。GSチップを悪用する犯罪者からの自己防衛として学んでもらう」


「(理名ちゃん、あの先生……強そうです……)」


「(そうね、里美ちゃん。少なくとも、さっきの校長先生より絶対強いわね……)」


 里美と理名は、中居先生の話を聞いて感じた。この先生は、強い。そして、校長先生より強いと。理事長とは分からない。2人が考えている間も、中居先生の話は続いていく。


「チッパーには、3種類のメインとタイプがいる。メインはパワー、スピード、テクニックだ。タイプは、アニマル、アクション、アビリティ。これらも学んでもらう」


 パワータイプは、力が強い。武器や身体を強化が出来る。アニマル(動物)を模した姿になれる。

 スピードタイプは動きが速い。非常に珍しく、数少ないタイプ。武器の固定化。アクション(動作)を模した姿になれる。

 テクニックタイプは豊富で、属性や現象や回復も出来る。だいたいの人間は、テクニックタイプである。アビリティ(能力)を模した姿になれる。


「(分かりやすい説明です。松下さんや佐藤さん、鈴木はタイプは何だろう、気になってきた)」


「(まさか、そんなにタイプがあったとは!! パワー、パワー、パワー、パワー、パワー………。ぼくのタイプしか、覚えられねえ!!)」


 進也と公平は、違うことを考えていた。進也は、中居先生の説明力に関心を持った。そして、みんなのタイプが気になっている。公平は、タイプに混乱していた。すでに中学校で習っていたはずだが、全く覚えていなかった。


「おじいちゃんが言っていた。チップは人間の常識を超えた力を得られる。だが、真の力を発揮するのは、使う者の心だってな。以上だ」


「「「「おおおおおおぉぉぉぉ〜〜〜〜!!」」」」


 中居先生のお話は終わった瞬間、体育館にいた新入生たちが、どよめきを起こした。もちろん、進也たちも同じように驚いていた。それほど、中居先生のカリスマ性が光っているのであった。



【体育館】


「かっこいい先生だったね、チップについての言葉が心に響いた」


「色んな人たちが知りたくなってきましたね」


「それなら、任せてくださいっス」


 休憩時間となって、進也と里美が興奮しながら会話をしていると、メモ帳を片手に持った男の子が現れた。黒茶髪で、肩に当たる程度の小柄である。


「だ、誰?」


「三郎、久しぶりじゃん。こいつの名前は中居三郎。ぼくの中学校では有名な情報屋だぜ」


 男の子の名前は、中居三郎。公平の紹介通り、うわさが大好きで集めている。情報が武器になるのは、周りの人間より有利になる。もちろん、目の前の進也も対象だ。


「よろしくっス、上野さん」


「何で、おれの名前を!? まだ自己紹介していないのに」


「おいらにかかれば簡単っス。ここにいる新入生たちの情報も、ある程度そろっているっス」


 三郎は、まだ入学式で周りの人間が分からないにも関わらず、だいたいの情報を手に入れていた。その話を聞いた公平は、思いついた三郎に質問した。


「それじゃあ、松下ちゃんのスリーサイズを……」


「公平……黙りなさいよ、せいっ!!」


「ふべらっ!!」


 公平は、理名のピコピコハンマーで叩かれた。痛がっている公平を見ている里美は、顔を真っ赤になって三郎に、進也には聞こえない小声で、こっそり聞いてみた。


「あの……わたしの……その……調べて……?」


「大丈夫っス。里美さんの情報は、あまり調べてないっス。むしろ、里美さんに関しては、理名さんのほうが詳しいっス」


 ほっ、と里美が安心しているなか、三郎が自身が集めてきた情報を紹介し始めた。


「それよりは『風花高校の七不思議』を聞きたいっスか?」


「全〜然〜」


「わたしは気になります、風花高校を知りたいです」


「おれも、まだまだ知らない風花高校について知りたい」


 公平は、全く興味がないが、眼をキラキラ光っているかのように、わくわくしている進也と里美。理名も、どうやら興味があるらしく聞いてきた。


「あたしも気になるわ。あたしたちは、三郎の話を聞いておくから。公平、興味ないなら、どっかに行って」


「ひ、ひどいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜!!」


 その後、公平以外の進也たちは『風花高校の七不思議』について、聞いている。仲間外れになってしまった公平の叫びが、休憩時間の体育館に響くのであった。


友達3人出来ました。理名ちゃん、公平くん、三郎くんです。


進也くんと里美ちゃんも再会して、高校生活が始まります。


次回は、入学式イベントです。ゲストの皆さん登場します。お楽しみに。

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