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第09話『戦闘授業 E組vsA組』

どうも皆さま、ベルトです。


ちょっぴりシリアスです。


それでは、本編にどうぞ!!

【学生寮】


 風花高校、朝7時。ほとんどの学生が起き始めるなか、早起きした進也は廊下で、GSロボットを探していた。


「ロボットさん」


『進也サマ オハヨウゴザイマス』


 目の前にいるGSロボットは、E組を担当している。また、入学式イベントで進也と里美を救ってくれたロボットでもある。


「おはよう、今は暇ですか?」


『大丈夫デス。ゴ用件ハ?』


「GSアーマーの訓練したいから練習相手になってくれる?」


『オ安イ御用デス』


 進也とGSロボットは、実験場に向かうのであった。



【実験場】


「よし!!」


 進也が、GSアーマーを装着して準備運動をするなか、GSロボットが話しかけてきた。


『ソレニシテモ、ロボット ガ タクサン居ルナカ、ワタクシ ガ 分カリマシタネ』


「おれたちを助けてくれたロボットさんだよ、見た目は同じでも忘れないよ」


 そう答える進也だが、実際には見た目が同じなために、自分たちのクラスのGSロボットを間違える学生は多い。


『不思議ナ人デス。GOレースヲ使エバ、様々ナ戦闘ガ出来マスヨ』


「GOレースは頭の中で動くだけで、現実の身体は思っていた以上に動いていないから。それに、松下さんを守れるように、少しでも戦闘回数は多いほうが良いしね」


 先日GOレースの見学をしていた進也は、あのゲームを頭のスポーツと考えていた。人には向き不向きが合って、進也は身体を動かすほうが良いらしい。


『良イ心ガケデス。里美サマ ハ 幸福者デスネ。確カニ、ラブラブ デス』


「ま、松下さんとは、そそそ、そんな関係じゃ、ないから!!」


 GSロボットの言葉に、ゴーグルの中にある顔が真っ赤になった。こういう時だけ、年相応の表情になる。


『(バレバレ デスネ)……行キマスヨ!!』


「来い、ロボットさん!!」


 ロボットにすら恋愛事情を見守られているのを知らない進也は、やる気を出して訓練を始めるのであった。



【1年E組】


 1人で登校してきた里美は、理名と優奈に挨拶している。


「おはようございます、理名ちゃん、優奈ちゃん」


「おはよう、里美ちゃん。あら、進也は?」


「………おはよう、里美さん。進也さんが、いない……」


 理名と優奈は、いつも一緒にいる進也が居ないことに驚いた。最近は、進也と里美を2人セットで扱われている。


「今日は、上野くんが少し遅れるそうで、先に行って欲しいと言われましたから」


「珍しいわね。いつも、周りが羨むほど一緒に、らぶらぶで登校して来るのに」


「り、理名ちゃん……!!」


「おっと、心の声が……」


 恥ずかしがる里美に、わざとらしく話す理名であった。


「………でも、ちょっと遅い」


 優奈は時計を見た。授業開始10分前であった。



【学生寮】


「はぁ、はぁ……!!」


「遅刻だぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!」


 走っている進也、隣には公平。進也は訓練に夢中になって時間を忘れ、公平は寝坊であった。たまたま出会い、Eクラスに行く方向は同じなため、一緒に向かっている。


『申シ訳アリマセン、進也サマ。ワタクシ モ ツイ夢中ニ ナリマシタ』


「大丈夫だよ、ロボットさん。授業開始は、もう少しだから……。何とか走れば」


 GSロボットも進也と一緒に来ている。ただし、地面から30cmほど浮いている。普段は歩くが、緊急時には両足にある『ブラスター装置』で浮くことが出来る。進也が必殺技で使用する装置と同じ仕組みだ。


「そうだ、GSチップを使おうっと!!」


『レディ?』


「認証、タイガー!!」


『アニマル・チップ チェックイン』


 公平は黄色い虎の戦士に変わった。それを見た進也は注意した。


「鈴木、ズルい!! ちゃんと走らないと……」


「あ〜〜〜ばよ………………『ビーーーーーーーーム!!』………………………ふべらっ!!」


 公平が変わったタイガーは走り出した。動物系のGSチップは、運動神経が強化するため、あっという間に進也の視界から消えたはずだった。ところが、公平の声が聞こえた。


「ロボットさん!?」


『鈴木サマ、私情デノ使用ハ禁止デス。上野サマ ハ 先ニ行ッテクダサイ』


「う、うん」


 ロボットは、鈴木を担いで一緒に来る。何とか間に合った進也と、総司先生に怒られる公平であった。



【食堂】


 午前中の授業を終えて、お昼休み。いつも一緒のメンバーだ。


「そういえば、上野くんの必殺技は、エターナルじゃなくてブラスターって何ですか?」


「確かにそうっス。いつも『ブラスターキック』って」


「え、いや、その」


 珍しく言いずらそうな進也。


「子どもの時に見ていた特撮番組『傭兵戦隊ブラスターズ』が、かっこ良くて……」


 内容は、日本で集められた5人組が地球の様々な地域で悪党と戦う子ども向けヒーロー番組である。


「上野くん、可愛いです」


「ちょっと恥ずかしい……」


 里美との関わり以外で真っ赤になる進也であった。



【体育館】


 午後Eクラスは、新たな授業が行われることになった。他の高校では無い『戦闘』である。A組との2対2のペア対決だ。


「こちらで対戦相手は決めている。今までの成績を通して、E組の代表は……上野進也、松下里美だ」


「へっ?」


「はわっ!?」


 総司先生の突然の発表に驚く。E組代表になった進也と里美。


「A組の代表は朝月と嵐だそうよ、がんばるのよ!!」


「………ファイト」


 理名、優奈が応援している。


「がんばりましょう、上野くん」


「うん、2人で勝とう!!」


 お互いに気合いを入れる進也と里美。


「E組だってさ」


「大したことなさそう」


 Aクラスの外野からは陰口が聞こえてくる。そんな中、親しげに話しかけてくる人間がいた。進也と同じ名前の朝月真谷、里美の友達である瀬島嵐だ。


「まさか対戦相手がお前だとはな、上野」


「うん。戦うなんて、久しぶりだね朝月」


「里美ちゃん、行くわよ。手加減はしないわ」


「はい、嵐ちゃん!!」


 代表以外は、外野に離れた。中央ステージに立った4人は、GSチップを腕に着けているGFウオッチに差し込んだ。


『『『『レディ?』』』』


「認証、ジョーカー!!」


「認証、エターナル!!」


「認証、フィアー!!」


「認証、サイクロン!!」


『『『『チェックイン』』』』


 GSアーマーを纏った4人。道化師、永遠、女王蜂、風をイメージした姿に変わった。朝月は白黒のモザイク模様、嵐は濃い黄色の姿だ。


『サブ・チップ エッジ』


『サブ・チップ ロッド』


 進也と里美は、お互いの武器を構えた。ちなみに進也が里美を守る姿を、周りは白騎士と呼んでいるが、本人は知らない。


「よし、松下さん。まずは1対1に持ち込もう」


「分かりました」


「そうは行かないわ、里美ちゃん!!」


 進也と里美がお互いに離れようとした時、いきなり猛スピードで走ってきた嵐の攻撃が始まった。


「きゃっ!?」


「くっ……、松下さん、大丈夫!?」


「な、何とか大丈夫です……」


 攻めこんできた嵐。名前の通り、左手のニードルが嵐のような攻撃を緩めない怒涛のラッシュだ。さらに朝月も走ってきて、足技を蹴りこむ。


「この!!」


「甘いわよ」


「どんどん行くぜ!!」


「ぐっ!!」


「上野くん……えいっ!!」


 進也は里美を庇って、嵐の攻撃に代わりに耐える。里美は桃色の小型竜巻を作り、相手の行動を制限させた。


「いくら似た者同士でも、戦い慣れている進也と戦い慣れていない里美ちゃんじゃ、無理だ!!」


「むしろ、上野さん1人で朝月と瀬島さん2人の攻撃を耐えているのが、すごいっス!!」


「がんばって、里美ちゃん!!」


「………ファイト……!!」


 外野から公平と三郎、理名と優奈も応援している。しかし、隣からは悪口もある。


「落ちこぼれのEクラスが勝てるわけないのよ」


「言えてる、言えてる」


 外野から見下している。その声が聞こえたのか朝月が叫ぶ。


「進也、馬鹿にされて悔しくないのか!! 昔の荒っぽいお前は、何処に行ったんだ!!」


「これは授業だよ、朝月。おれが松下さんに合わせないと、2人で戦っている意味が無いから」


 昔の進也を知っている真谷。しかし、進也はあくまでも里美と一緒に戦うことを決めている。


「だったら、松下を倒せば、お前は本気で戦うのだな」


『ワイルドチャージ!!』


 進也の言葉を聞き取った朝月は、GFウオッチの赤いボタンを押し、必殺技を繰り出した。


「なにっ!!」


「くらいな!! ジョーカー・フェスティバル!!」


 大量のトランプが飛んできた。里美の作った桃色の小型竜巻を切り裂いているのを見た進也は、迎撃と防御体勢に入った。


「くそっ、くそっ!! 多す……ぎる……!!」


 進也はエッジを振り回して、トランプを切り裂くが、全てを止めることが出来ない。そんな様子を見た里美はある決意をした。


「上野くん……!!」


「何、松下さん……、わっ!?」


「痛っ!! わ、わたしが……盾になります……」


 何と里美は進也を倒させ、代わりに自身が朝月の必殺技を受け入れているのだ。


「何を言っているの!! 松下さんが倒れることは無いよ!!」


「わたし……でも……分かります。わたしが上野くんの……足を引っ張っています。だから……せめて、盾に!!」


「ダメだ、松下さん!!」


「きゃあああああああぁぁぁ!!」


『アビリティ・チップ チェックアウト』


 里美のGSアーマーが強制解除された。進也は倒れた里美に尋ねた。


「松下さん、どうして……」


「上野くんに……いつまでも守ってもらうわけには……いかないです……から、少しだけ……役に立ちましたか?」


「十分だよ!! ありがとう、ゆっくり休んでね」


「はい……今度は一緒に……勝ちたいですね……」


 里美は意識はあるものの、横になった。


「これで戦えるだろ、上野?」


「………………許さない、朝月……。そして、ごめん。本気だすよ、徹底的に潰す……!!」


 朝月は普段通りだ、決して悪い奴ではない。昔から純粋に戦いが好きなだけだ。進也は頭で分かっていても、身体が止まらない。進也の目付きが変わった。


「相手を本気にさせて、どうするの」


「だが、戦い甲斐はあるぜ、瀬島。来るぞ!!」


「はああぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 接近した進也は、マントを外して、目隠し。嵐の目の前が真っ暗になった。


「なっ!? 何よ、これ!!」


「せやああぁぁぁぁぁ!!」


 朝月にエッジを振り下ろす。


「危なっ!!」


 朝月は間一髪で避ける。しかし、進也は攻撃を止めない。


「やあああ!!」


 進也は、避けられた右手のエッジを離して、左足で蹴り飛ばした。


「なっ!?」


 朝月は予想外の攻撃に当たった。しかし、その表情は嬉しそうだ。


「いいぜ、それでこそ上野。楽しくなってきたぜ!! 嵐、合体攻撃だ!!」


「OK!!」


「「ダブル・ショット!!」」


 嵐はマントを投げ捨て、GSエネルギーを溜め込んで放った強力な光弾だ。


「ぐうううううぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーー!!」


 進也は踏ん張りきれず、下がっていく。それにマントを外したせいで、防御力は低下している。


「(このままじゃ、パワーの差で負けてしまう……。何か大きなダメージを与える方法は……!!)」


 必死に考えながら攻撃に耐える進也。今まで会った人を思い出している。格闘の糸川先輩、飛行する日野先輩、薙刀を使いこなす如月先輩、GSチップ2枚同時使用すると言われている火渡先輩。そこまで考え、思考の歯車が噛み合った。


「(そうだ!! 火渡先輩の真似してみよう……!!)――らぁっ!!」


「進也、何をするつもりかしら?」


「分からないっス」


 嵐たちの攻撃を避けながら後退した進也。外野から見ている理名や三郎は、進也の行動に注目している。


「上野……くん……?」


「松下さん、悪いけど時間が無いから。ちょっとチップ借りるよ」


「は、はい!!」


 里美は、雰囲気の変わった進也に戸惑いながらも渡した。チップを貰った進也は、里美から離れて気合いを入れた。


「行くぞ、朝月、瀬島さん!!」


 進也は、右足首のブラスター装置に、サイクロン・チップとエターナル・チップを差し込んだ。


『サイクロン エターナル セット』


『ワイルドチャージ!!』


「疾風………!!」


 電子音声が流れて、桃色の風を纏っていく。右足を左肩の近くまで大きく振り上げ、左足だけで立っている。


「GSチップの同時使用!?」


「バカな!! あれは普通、出来るわけがない!!」


「お前たち、静かにしろ。あれが、E組である上野進也の底力だ」


 見ている外野は驚いている。総司先生は注意しながら見守っている。その間にも桃色の風は速さを増していく。


「はああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」


「ヤバい、瀬島!! フルパワーで防御だ!!」


「あんなオーラ見ていたら、言われなくても分かっているわよ!!」


 進也が本気で、同時使用してくると感じた真谷と嵐は防御体勢に入った。進也は、左足だけで飛び上がり、猛スピードで落下する。


「ブラスタァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーキック!!」


 進也は桃色の風を右足に纏った『疾風ブラスターキック』を当てた。受け止めた朝月と嵐の足場は、ひび割れと共に崩れており、進也の必殺技のパワーを物語っている。


「(何てパワーだ!! 防御している両腕がヤバそうだ!!)」


「(ここでバレるより、負けるほうが嫌だわ!!)」


『…ク…ト… ワ……ドチ……ジ!!』


 嵐のGFウオッチから聞き慣れない音声が、僅かに反応した。その結果、攻撃と防御のパワー差が無くなり、衝突していた3人は自分たちのパワーに弾き飛ばされた。


「どわあああぁぁぁ!!」


「きゃっ!!」


「うわああああぁぁぁ!!」


『『『チェックアウト』』』


 3人のGSアーマーは強制解除されていたおり、体育館は静まっていた。馬鹿にしていた外野も黙りこんでいる。入学式イベントは2年生との戦いであったため、1年生同士の実力は互角なのだ。


「引き分け……」


「マジかよ……」


「あれが上野進也だ。これからは差別はするなよ、A組の生徒」


「「は、はいぃぃぃぃぃぃ!!」」


 総司先生の鋭い目付きにA組の悪口を話していた生徒たちは返事をした。自分たちが戦ってみろと言われれば、100%勝てる自信が無いからだ。


「見事だったぜ、上野。それにしても、どうしたんだ……あんなに積極的な性格だったくせに」


「お袋と親父が、5年前から行方不明で……」


 進也の言葉に驚く朝月。何故なら、昔に会ったことがあるからだ。


「おいおい、お袋さんはともかく、あの親父さんが行方不明なんて、おかしいぞ」


「うん。あの強い親父が行方不明なんだ。強くなるため、ここに来たけど。ちょっと忘れていたよ、何でだろう?」


 はてなマークを出している進也の元に、Eクラスの面々が来た。


「スゲーぞ、進也!!」


「めちゃくちゃカッコ良かったっス!!」


「流石は、未来の里美ちゃんの旦那さんね!!」


「………すごい」


「(私のかくし球と互角の力……。上野進也、ただ者じゃないわね……)」


 みんなの興奮が止まらない。次々と褒めるなか、嵐が立ち上がる。自身の全力までは行かないが、引き分けたのだ。そんな時、里美が現れた。


「松下さん、大丈夫?」


「大丈夫、です……。上野くんも、大丈夫ですか?」


「松下さん、おれも大丈夫だよ。心配してくれて、ありがとうね」


「いえ……。良かったです」


 真っ赤になって話す、進也と里美。その様子に朝月は驚いた。


「(まさか、上野が……惚れたのか!? あの、初恋を大切にしていた上野が!?)」


 進也と里美の様子を見て、恋愛に疎い朝月でも分かるのであった。そして、朝月のみが知っている進也の初恋物語が、後に進也と里美の関係を変化させるのであった。


里美ちゃんに引き続き、進也くんの初恋も触れてきました。


お互いの初恋相手は、誰なんでしょうか。ここまで来ると、バレバレですけど(笑)。


次回は大体が書けています。お楽しみに。

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