戒厳令及び非常事態宣言に関する法律
*第1編 戒厳令
・第1章 目的
第1条 目的
戒厳令は、戦時もしくは事変または通常の警察力によって鎮圧できない暴動等に際し、軍もしくは本法により規定された自警団により全国もしくは指定された地域を警戒することとする。
・第2章 戒厳令の区分及び地域の指定
第2条 戒厳令の区分
戒厳令は、臨戦地境、合囲地境、行政戒厳の3つとする。
一 臨戦地境とは、戦時もしくは事変に際し、警戒すべき地域を指定し、臨戦の区域とする。
二 合囲地境とは、敵の合囲もしくはその他の事変に際し、警戒すべき地域を指定し、合囲の区域とする。
三 行政戒厳とは、公共の安全を保持しまたはその災厄を避けるために緊急の必要があると判断された場合に際し、警戒すべき地域を指定し、行政戒厳の区域とする。
2、前項各号の戒厳の宣告は、勅令をもって行う。
第3条 地域の変更
戒厳の地域は、時機に応じてその地域の変更をすることができる。
2、前項の規定は、変更を行うたびに宣告するものとする。
3、本条の宣告は、各司令官が内閣及び天皇の承認を経て勅令により行う。
第4条 臨時戒厳令の宣告
臨戦地境もしくは合囲地境において、師団、旅団、要塞、海軍港、海軍造船所等、政令に特別の指定がある施設が、速やかに合囲もしくは攻撃を受けた時または受ける恐れがある時は、その地の最上級の司令官が臨時に戒厳を宣告することができる。また、戦略上臨機に処分が必要な時は、出征の司令官または軍務総省大臣が戒厳を宣告することができる。
2、前項の場合、布告後20日以内にに通常の戒厳の宣告の手続きをとるものとする。
第5条 行政戒厳の宣告
戦時外において緊急に戒厳を行う必要がある場合は、行政戒厳とする。
2、行政戒厳は、内閣が地域を指定する。
・第3章 司令官
第6条 宣告できる司令官
軍務総省大臣、陸軍省大臣、海軍省大臣、空軍省大臣、宇宙軍省大臣、軍団長、師団長、旅団長、連合艦隊司令長官、航空軍団長、宇宙軍団長、もしくは政令により指定された者は戒厳を宣告する権利がある司令官とする。ただし、月面においては知事が司令官とする。
第7条 報告
軍務総省大臣、陸軍省大臣、海軍省大臣、空軍省大臣、宇宙軍省大臣を除く第6条の司令官が戒厳を宣告する時は、速やかに管轄たる軍省の大臣へ報告を行う。ただし、月面において、知事が戒厳を宣告した時は、内務省大臣へ報告を行う。
第8条 戒厳令の宣告の制限
第7条による司令官による戒厳の宣告は、第2条のうち、臨戦地境もしくは合囲地境とする。
2、前項の戒厳の宣告による地域を変更する場合は、大臣による宣告を必要とする。
・第4章 裁判等の管轄
第9条 臨戦地境内における裁判の管轄
臨戦地境内において、地方行政事務及び司法事務の軍事に関係ある事件に限り、その地において第6条の司令官のうち、最小の権限を有する者が管掌するものとする。
2、裁判官及び検察官は、戒厳の宣告があった時点で軍事に関係ある事件を取り扱っている場合は、速やかに前項の司令官へ指揮を請う。
第10条 合囲地境内における裁判の管轄
合囲地境内において、一切の権限は、その地において第6条の司令官のうち、最小の権限を有する者が管掌するものとする。
2、裁判官及び検察官は、戒厳の宣告があった時点で第12条の事件を取り扱っている場合は、速やかに前項の司令官へ報告するとともに、軍事裁判所へ事件を送致するものとする。
第11条 行政戒厳内における裁判の管轄
行政戒厳内において、その地の治安事務の全般及び第12条1号、2号、4号、5号、6号、7号及び8号の事件は、その地において第6条の司令官のうち、最小の権限を有する者が管掌するものとする。
第12条 合囲地境内における裁判の権限
合囲地境内において、軍事にかかわる刑事及び民事の事件、並びに以下に列挙する犯罪は、全て軍事裁判所において裁判を行う。
一 内乱に関する罪
二 外患に関する罪
三 国交に関する罪
四 公務の執行を妨害する罪
五 騒乱の罪
六 犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪
七 往来を妨害する罪
八 住居を犯す罪
九 通貨偽造の罪
十 文書偽造の罪
十一 有価証券偽造の罪
十二 支払用カード電磁的記録に関する罪
十三 印章偽造の罪
十四 偽証の罪
十五 虚偽告訴の罪
十六 殺人の罪
十七 傷害の罪
十八 過失傷害の罪
十九 逮捕及び監禁の罪
二十 脅迫の罪
二十一 窃盗及び強盗の罪
二十二 詐欺及び恐喝の罪
二十三 放火及び失火の罪
二十四 出水及び水利に関する罪
二十五 飲料水に関する罪
2、前項各号の規定は、刑法において、対応する章の罪とする。
第13条 合囲地境内における裁判の特例
合囲地境内に裁判所が無く、またはその管轄裁判所と通路断絶した場合は、民事及び刑事の一切の事件は軍事裁判所において行う。
2、前項の裁判所とは、地方裁判所、家庭裁判所、高等裁判所および最高裁判所とする。
第14条 戒厳令解除後の裁判
合囲地境内において、軍事裁判所の管轄となった事件は、控訴または上告をすることができない。ただし、合囲地境の宣告が解止された場合は、民事においては全当事者が、刑事においては検察または弁護士が20日以内に控訴または上告を行うことができる。
2、前項の民事事件において、全当事者の意思が明確でなくとも、控訴または上告することに同意していると推定される場合は、控訴または上告を行うことができる。この場合、行うのは当事者の代表者とする。
第15条 臨戦地境内の司令官の権限
臨戦地境内において、司令官は以下の各号を命ずる権限を持つ。ただし、それにより生じる損害は、国により補償される。
一 集会、新聞、雑誌及び広告等を時勢に妨害があると認める場合、停止すること。
二 軍需に供される民有の諸物品を調査し、または時機によりその輸出入を禁止すること。
三 銃砲、弾薬、兵器、火器及びその他危険であると判断される諸物品を所有する者に対し、検査を行い、または時機により押収すること。
四 郵便、電報、電子メール等を開封もしくは閲覧し、出入りする船舶及び諸物品を検査し、並びに陸海空通路を停止すること。
五 戦況によりやむを得ないと認められる場合は、国民の動産もしくは不動産を破壊し、焼滅し、取り除くこと。
第16条 合囲地境内の司令官の権限
合囲地境内においては、司令官は第15条及び以下の各号を命ずる権限を持つ。ただし、それにより生じる損害は、国により補償される。
一 昼夜の別なく、国民の家屋、建造物、船舶中に立ち入り、検査を行うこと。
二 合囲地境内に寄宿もしくは居住する者に対して、時機によりその地より退去させること。
第17条 行政戒厳内の司令官の権限
行政戒厳内においては、司令官は第15条1号、3号、4号並びに5号及び以下の各号を命ずる権限を持つ。ただし、それにより生じる損害は、国により補償される。
一 通常の警察力の代行として、治安を維持し、逮捕し、取り調べを行うこと。
二 通常の救急により対処が不可能、もしくは不可能になりつつあると認められる時、家屋、建造物、船舶等を医務関係の施設として使うこと。
三 通常の警察力の代行として、国民による自警の為の団体を組織させ、指揮を行い、監理すること。
四 鉄道、航空機、船舶もしくは道路において、適時検問を設置すること。
・第5章 解止の宣告
第18条 解止の宣告
戒厳の宣告は、解止の宣告があるまでの間、効力を有する。
第19条 解止の宣告後の裁判権等
前条の宣告の翌日より、地方行政事務、司法事務及び裁判権は、全て常例へ戻される。ただし、最終弁論が終了している裁判は除く。
・第6章 司令部
第20条 戒厳司令部
戒厳の宣告があった後、司令官は、速やかに戒厳司令部を組織する。
2、戒厳司令部は、通常の司令部を改組する。
第21条 戒厳司令部の長
戒厳司令部の長は、第6条に列記されているものに限る。
2、戒厳司令部の長は、副長を指名し、第22条の職員を任命しなければならない。
第22条 戒厳司令部の職員
戒厳司令部の職員は以下のものとする。
一 参謀長
二 参謀
三 主計
四 軍医
五 監理部長
六 憲兵隊長及び憲兵隊
七 司法事務官
八 下士及び判任文官
第23条 戒厳司令部の軍政及び人事
戒厳司令部の軍政及び人事に関しては、司令官の所属する軍省の大臣の指揮を受ける。
第24条 職員の事務管掌
参謀、主計、軍医、監理部長、憲兵隊長、憲兵隊及び司法事務官は、参謀長の命を受け、各担任する事務を掌る。
2、参謀長は、司令官の命を受ける。
第25条 下士及び判任文官の事務管掌
下士、判任文官は上官の命を受け、事務に服す。
第26条 通常司令部の職務停止
戒厳司令部が設置された時は、その地域にある司令部は職務を停止する。
第27条 職務停止の順
2つ以上の通常司令部をまたいで地域が指定された時は、各師団もしくは旅団、艦隊、航空隊、宇宙軍団の番号が大きいものより職務を停止する。
2、前項の規定は、陸軍、海軍、空軍、宇宙軍にまたがって指定された時も適応される。ただし、この場合には、宇宙軍、空軍、海軍の順に職務を停止する。
*第2編 国家非常事態
・第1章 非常事態
第28条 非常事態の宣言
戒厳令を敷いた後、または戒厳令の規定にそぐわないが、必要であると判断された時は、天皇は、国家非常事態の宣言を布告することができる。
2、特定の地域にのみ、適応される非常事態は、特定の地域内において最も広域に行政権を有する首長が、地域非常事態の宣言を布告することができる。
第29条 定義
国家非常事態とは、疾病、武力攻撃、内乱、暴動、テロ、及び大規模な災害等、国家の根幹を揺るがす事態をいう。
2、地域非常事態とは、疾病、暴動、大規模な災害等、特定の地域に甚大な影響を及ぼす事態をいう。
3、疾病とは、感染症と指定されたもののうち、著しく人体に被害を及ぼすものをいう。
4、武力攻撃、内乱及び暴動とは、第1条を準用する。
・第2章 宣言の布告
第30条 宣言の布告
国家非常事態の宣言の布告は、国会により議決を行い、内閣が承認をし、天皇が行う。ただし、国会の議決が間に合わない場合は、内閣が決定し天皇が布告することができる。
2、前項但し書きの場合、15日以内に国会の議決を行わなければ、その効力を失う。
第31条 地域による宣言の布告
地域非常事態の宣言の布告は、各地域の最も広域の議会により議決を行い、首長が行う。
2、前項の場合は、布告後速やかに、内務省大臣へ報告を行う。
3、2以上市町村もしくは都道府県に宣言の効力を及ぼす場合は、それぞれに議決を行う必要がある。ただし、一方で可決し、一方で否決した場合は、可決した地域のみ宣言の効力を生じる。
第32条 宣言の内容
宣言は以下のいずれかの場合に布告することができる。
一 戒厳令が布告されている場合。
二 緊急に疾病の予防等を行わなければならない場合。
三 他国より武力攻撃があった場合。
四 内乱もしくは暴動が起こった場合。
五 テロが発生し、もしくは確実に発生する場合。
六 大規模な災害が発生し、甚大な損害が発生している場合。
七 その他法律に記載されている場合。
・第3章 権限
第33条 布告時の権限
宣言が布告された時は、その地域の治安維持及び第34条に関しては第6条の司令官に、一般行政に関しては、第4章に定める警戒本部の長が権限を管掌する。
第34条 布告時の事件の処理
非常事態が布告されている地域に関しては、第12条の規定を準用する。
第35条 宣言の効力
国家非常事態宣言の布告は、皇国全域に効力を及ぼす。
2、地域非常事態宣言の布告は、議決を行った地域すべてに効力を及ぼす。
・第4章 警戒本部
第36条 警戒本部
非常事態の宣言の布告があった場合、速やかに警戒本部を設置する。
第37条 国家非常事態宣言における警戒本部
国家非常事態宣言が布告された際の警戒本部は、内閣総理大臣を長とする。
第38条 地域非常事態宣言における警戒本部
地域非常事態宣言が布告された際の警戒本部は、その地域の最も広域の行政組織の長とする。
第39条 警戒本部の長
警戒本部の長は、副長を指名し、任命する。ただし、副長は2名またはそれ以上とする。
第40条 警戒本部の職員
警戒本部の職員は以下のものとする。
一 総務部もしくはそれに類する職員の長
二 消防本部もしくはそれに類する職員の長
三 地域振興部もしくはそれに類する職員の長
四 警察本部もしくはそれに類する職員の長
五 教育委員会もしくはそれに類する職員の長
六 財政部もしくはそれに類する職員の長
七 会計部もしくはそれに類する職員の長
八 車両部もしくはそれに類する職員の長
九 議会より出向した者
十 病院より出向した者
十一 その他警戒本部の長が指名する者
2、前項の職員は、下にさらに職員をつけることができる。
第41条 出向者
議会もしくは病院より出向した者は、それぞれをそれぞれの代表の警戒本部の職員とする。
2、地域内に複数の議会もしくは第43条に指定された病院がある場合は、その代表者1名とする。
第42条 警戒本部における軍
非常事態宣言が布告された時点で、軍は警戒本部の長の指揮下に入る。
2、前項の規定は、戒厳令が布告されているときには適応しない。
第43条 指定機関
警戒本部の長は、非常事態宣言を布告する際に、病院、警察及び消防をあらかじめ指定しなければならない。
2、前項の指定は、緊急事態に際して、通常の業務を休止し、非常事態宣言に沿った行動をとらなければならない。
3、本条の指定は、複数することができる。
・第5章 雑則
第44条 戒厳令と国家非常事態宣言
皇国全土に効力を有する戒厳令が宣告されており、後に国家非常事態宣言が布告された時は、戒厳令を優先する。
2、国家非常事態宣言が布告されており、後に皇国全土に効力を有する戒厳令が宣告された時も、前項と同様とする。
第45条 戒厳令と地域非常事態宣言
特定の地域に効力を有する戒厳令が宣告されており、後に地域非常事態宣言が布告された時は、戒厳令を優先する。
2、地域非常事態宣言が布告されており、後に特定の地域に効力を有する戒厳令が宣告された時も、前項と同様とする。
*第3編 補則
第46条 準憲法の指定
この法律は、日本皇国憲法第65条に定める法律として、同法第64条に基づき、準憲法の指定を行う。
第47条 細則決定権
戒厳司令部の司令官もしくは警戒本部の長は、必要な規則を定める権限を持つ。
2、前項の規則において、新たに罰則を設けることはできない。ただし、その他の法律による委任がある場合は除く。
第48条 同一者の特例
戒厳司令部の司令官及び警戒本部の長が同一の者になる場合は、議会の議決により警戒本部の長を別の者とする。
第49条 基本的人権の尊重
戒厳司令部及び警戒本部が決定する規則は、基本的人権を尊重して決定しなければならない。
*第27条参考
第3次世界大戦時における戒厳司令部設置の勅令(皇紀2740年勅令第421号)
第1条
第1師団司令部を改組し戒厳司令部を東京に設置する。
第2条
近衛師団、第8師団、第9師団、第1艦隊、第1航空隊については、職務を停止する。
※以下略
参考法令:
・戒厳令
[http://www.geocities.jp/nakanolib/rei/fm15-36.htm]
・戒厳司令部令
[http://www.geocities.jp/nakanolib/rei/rs11-20.htm]