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侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!  作者: のびろう。
第7章 浮遊諸島の聖女と時の遺跡

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封印の謎

 天空の浮遊諸島。雲海を抜けた先に、澄んだ空と白く光る大地が広がっていた。


「すご……ここが……聖域……」


 クラリスが思わず呟く。白銀の石畳と輝く結晶の塔が並ぶその光景は、まさに神秘の領域。


 イッセイは一歩踏み出し、地面を確かめるように足をつけた。


「重力が……微妙に軽いな。おそらく魔法で制御されてる」


「そりゃ浮いてるわけだウサ」


 フィーナがぴょん、と軽やかに跳ねて見せる。


 風は凪いでおり、空の青が不気味なほど深い。シャルロッテが精霊語の石碑を見つけて駆け寄った。


「この碑文……“時の封印”と“記憶の代償”……って書いてある。やっぱり、ここが聖女リアナの封印地なの……?」


「やっぱり、ここで何かが起こったんだな」イッセイが応える。


 その時、足元の結晶が淡く光り始めた。


「誰かの……記憶が……流れ込んでくる?」


 リリィが額を押さえてよろめく。彼女の視界に、遠い過去の光景が焼き付いた。


「聖女リアナが……この地で、何かを封じた……多くの命と、引き換えに……」


 空気が震え、遠くで雷鳴が轟くような音が響いた。


 突如、風が巻き起こり、上空の結晶が淡く赤く染まり始める。


「瘴気だにゃん!」ミュリルが叫ぶ。


 空の裂け目から現れたのは、禍々しい羽根を持つ魔物の群れ。


「準備しろ!来るぞ!」


 イッセイが剣を抜き、先陣を切るように前に出る。


 後方では、クラリスとルーナが呪文詠唱を開始し、フィーナが魔道具を展開。


「こっちは任せて、イッセイくん!」ルーナが叫ぶ。


 魔物の群れは、浮遊諸島を汚すように瘴気を撒き散らしながら迫る。その中心に、一際大きな影――瘴気の核と思われる魔獣が飛来してきた。


「でかいウサ!でも、負けないウサ!」


 イッセイは仲間たちの援護を受けながら、魔獣のもとへ跳びかかる。剣と剣がぶつかる音、魔法が炸裂する音が浮遊大地に鳴り響く。


「この島……聖女の記憶と、瘴気の始まり……すべての謎がここにある!」


 その言葉とともに、戦いの火蓋が切って落とされた。


 金属のうなり声のような風の唸りを背に、イッセイたちはいよいよ浮遊島の中心部──聖域の遺跡へと足を踏み入れた。空中を舞う微細な粒子が陽光を受けて七色にきらめき、幻想的な光景が広がっている。


「ここ……風の精霊の気配が濃い。まるで、封印が精霊そのものと結びついてるみたい」

 シャルロッテが目を細め、風の流れを手のひらで感じ取るように舞わせる。


「なんか……空気が澄んでるというか、静かで、でも、胸の奥がざわざわする感じウサ」

 フィーナが耳をぴくりと動かしながら、周囲を見渡す。リリィは無言でスケッチ帳を取り出し、構造物の意匠を描き始めていた。


 遺跡の奥へと進むたび、イッセイの胸には妙な既視感が膨らんでいった。巨大な環状の石門を抜けると、中央に浮かぶ巨大な封印石が現れた。それは水晶のように透き通り、内部には古代文字がうねるように流れていた。


「見て……この文字……私、解読できるかも」

 シャルロッテが封印石に近づき、精霊語で刻まれた碑文を指差す。彼女の瞳は、まるで精霊そのもののように澄んでいた。


「“この封印は、時の彼方より来たりし叡智を継ぐ者が……その魂を通じて継承される”……」


「つまり、これって……お前のことじゃねえのか、イッセイ?」

 セリアが腕を組みながら横目で彼を見る。


「……わからない。でも、この場所、どこか懐かしい感じがする。前世の記憶とも違う、何かもっと深いところから……」

 イッセイは封印石に手をかざし、脈動する魔力を確かめた。その瞬間、彼の意識に微かな囁きが届く──


『汝、継承者なるや……』


 鼓動が跳ねる。何かが目覚めようとしている。


 だが、次の瞬間──地鳴りとともに遺跡の天井が崩れ、濁った瘴気が吹き出した。続けて、封印石の周囲に黒い人影がにじみ出る。


「くっ、闇ギルドの連中か!」


 シャルロッテが魔法陣を展開し、精霊たちに加護を求める声をあげる。サーシャはすでに剣を抜き、瘴気の中から現れた仮面の男に向かって駆け出していた。


「イッセイくん、後方支援は任せて!」

 ルーナが弓を構え、クラリスは光の結界を展開する。セリアは既に背後に回り込み、敵の急所を狙っていた。


 魔法と剣技が交差し、浮遊遺跡の空間に激しい衝撃が鳴り響く。イッセイは瘴気の影響を受けながらも冷静に戦況を見極め、仲間たちと連携しながら徐々に敵を押し返していく。


「封印石が……反応してる! 瘴気に反応して、共振してるわ!」

 シャルロッテが叫ぶ。


「封印を破壊する気か……! させるかっ!」

 イッセイは剣に魔力を集中させ、渾身の一撃を放つ。斬撃が闇の中心を切り裂き、封印石の光が一瞬、明滅した。


 黒い人影はそのまま爆ぜ、瘴気も霧散する。


 戦いが終わり、静寂が戻った遺跡に、シャルロッテの澄んだ声が響く。


「この封印……かつて“時の聖女”が残した最後の遺産。もしかすると、魔王の封印と、直接つながっているかもしれない……」


 その言葉に、一同は重く沈黙した。浮遊諸島の謎は、ただの遺産ではなかった。世界そのものの根幹に関わる何かが、この場所にある──


 イッセイはそっと、仲間たちを見渡した。


「ここが始まりかもしれない。次は、もっと深く掘り下げないといけない。……みんな、ついてきてくれるか?」


「当然ウサ!」

「当たり前にゃん!」

「わたくしたちは、あなたの仲間ですわ」


 決意の目が交差する中、遺跡の奥で新たな道が開かれる音が、静かに響いた。



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