伝統祭編 最終章 卒業選抜と、君に贈る未来
祭りの最終日。
校庭中央に設けられた円形アリーナには、卒業選抜試験の舞台が用意されていた。
選ばれし生徒たちが、それぞれの技術・人格・未来性を試される場――それがこの試験だった。
観覧席ではクラリス、ルーナ、リリィが並んで見守っている。
「イッセイくんなら、大丈夫ですわ」
「うん……でも、ちゃんと見てる。私、今日は誰よりも真剣に見るから」
「勝って当然じゃなくて、“どんな勝ち方をするか”が大事だよね」
彼女たちの視線の先で、イッセイが静かに立ち上がる。
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「次の挑戦者――イッセイ・アークフェルド!」
観衆の中にどよめきが広がる。
すでに数々の功績を残した少年は、今や“未来の英雄候補”とささやかれていた。
対戦相手は、学内でも実力者として名を馳せる上級生。
魔剣と体術を併せ持つ老練な剣士だ。
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――第一合。
開始と同時に、鋭い斬撃が飛び交う。
イッセイは力押しではなく、冷静に相手のリズムを崩し、確実に間合いを詰めていく。
「若いのに、やりおる……!」
敵の技を一発受けた瞬間、イッセイの肩がはじけるように痛む。
だが、そこで一歩引かず――
「僕は、譲れないんです。ここで、立ち止まるわけにはいかない」
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――第二合。
今度は魔力と剣を融合させた連撃。
空気が軋み、砂塵が舞い、観客席は息を呑んで見守る。
「いっけー! イッセイくんっ!!」
ルーナの叫びに、リリィもクラリスも拳を握る。
剣を交差させたまま、互いに渾身の力をぶつけ合い――
最後、相手の剣が地面に落ちた。
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「……見事だ。未来は、君のものだ」
老剣士が穏やかに微笑みながら敗北を認めたその瞬間、
観客席は拍手と歓声に包まれた。
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表彰台。
学園長から「名誉卒業選抜生」として表彰を受けるイッセイ。
その視線の先には、三人の少女がいた。
クラリスは、静かに涙を浮かべて笑う。
ルーナは、眩しそうに唇を噛みしめる。
リリィは、誇らしげに胸を張ってうなずく。
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式が終わったあと。
中庭の一角で、三人が順に、イッセイに声をかけてくる。
「……あなたと過ごした日々は、わたくしの宝物ですわ。
だから、これから先も……共に歩む選択を、わたくしは望みます」
クラリスは優雅に一礼し、頬を赤らめて手を差し伸べる。
「イッセイくん、私はもう、からかうんじゃなくて――
ちゃんと、好きって言いたいの。……これからも、そばにいてくれる?」
ルーナは甘えるように笑い、イッセイの手を握る。
「言わなくてもわかってる。……でも言わせて。
私はあんたに、全力で惚れてんの。あんたが進むなら、私も一緒に進む」
リリィは照れ隠しの笑みを浮かべながら、肩を寄せてきた。
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イッセイは、その手を一つ一つ、しっかりと握り返す。
「ありがとう。君たちがいたから、僕はここまで来られた。
これからも……きっと、僕は君たちと歩いていくよ」
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そして、学園生活は幕を下ろし――
次なる冒険と未来が、イッセイたちを待っていた。
三人の少女と一人の少年の物語は、卒業と共に――
新たなる章へと続いていく。




