武闘会編 決勝抽選、そして波乱の準々決勝
会場が静まり返る中、決勝トーナメントの抽選発表が始まった。
参加者が次々にくじを引き、組み合わせが電光掲示板に映し出される。
「第一試合、イッセイ・アークフェルド対フィーナ・ルナリア!」
思わず息をのむフィーナ。イッセイも思わず苦笑い。
「こんなところで当たるなんて……でも、全力で行くウサ!」
「僕も、全力で応えるよ」
控え席で二人は手を合わせ、静かに決意を交わした。
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【準々決勝 第一試合:イッセイ vs フィーナ】
試合開始の合図と同時に、フィーナがまるで風のようにフィールドを駆ける。
青髪をなびかせ、ウサ耳がピンと跳ねるたび、観客席から「可愛い!」とどよめきが起こる。
だがその俊敏な動きは、相手を翻弄するための本気そのものだった。
「ほらほら、こっちウサ!」
イッセイを誘うように、フィーナは華麗なフェイントとジャンプで撹乱する。
イッセイは真正面から追わず、相手のリズムを冷静に読み続ける。
「フィーナ、やるね。じゃあ――こっちも!」
一瞬、フェイントに引っかかったフリをして逆方向に踏み込み、フィーナの回避動作を誘発。
その瞬間、二人の距離がゼロになる。
(ここだ!)
お互いの武器が交錯し、フィーナが僅かに体勢を崩す。
イッセイは迷わず、その肩に剣先を軽く触れさせた。
「勝負あり!」
主審の声とともに、観客席から大きな歓声と拍手が巻き起こる。
フィーナはその場にしゃがみ込み、しばらく無言。
だがすぐに立ち上がって笑顔を見せた。
「すごく……すごく悔しいけど、イッセイくんと全力で戦えて、楽しかったウサ!」
イッセイも優しく手を差し伸べた。
「僕も……本当に、ありがとう。フィーナの本気、受け取ったよ」
二人が握手を交わすと、場内に温かい空気が流れる。
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【第二試合:グレン・エストラッド vs ミュリル・アルカ】
続く第二試合は、観客の注目度も高い好カード。
ミュリルは抜群のスピードと柔軟な体術でグレンに果敢に攻めるが、
グレンは全く動じず、余裕の表情で流れるような剣さばきを見せる。
「主さまに勝てなくても、せめて先輩に一矢報いるにゃん!」
ミュリルは最後の突進を仕掛けるが、グレンは一瞬の隙を逃さず、見事なカウンターを決める。
「勝負あり!」 ミュリルも悔しそうに笑って、グレンに礼を述べる。
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【第三試合:リンファ・シュエン vs セリア・リース】
東方の転校生リンファと、イッセイの従者セリアの一戦。
魔法と体術を自在に織り交ぜるリンファに対し、セリアは冷静に受けて立つ。
互いの技がぶつかり合い、フィールドに光と風が舞う。
激しい攻防の末、リンファが魔法の小爆発でバランスを崩したセリアの隙を突き、勝負を決めた。
「やるわね……認めてあげる」
「こちらこそ、いい勝負でした」
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【第四試合:ノワール・オルタンシア vs ザビア・グローヴ】
最後の試合。異様な静けさが漂う。
ノワールは黒い剣をゆっくり抜き、無表情のまま向かい合う。
開始直後、ノワールは一瞬で間合いを詰め、ザビアの防御をものともせず、
鋭い一撃を叩き込んだ。
「ぐっ――!!」
ザビアは悲鳴を上げ、腕から大量の血が噴き出す。
会場が一斉に静まり返る。主審も慌てて試合を止め、回復魔法の使い手が駆け寄る。
ノワールは何事もなかったように剣を納め、静かにその場を立ち去った。
「……あの人、本当に何者なの……」
クラリスもルーナも青ざめて見つめている。
イッセイもその光景を見て、背筋に冷たいものを感じていた。
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準決勝に進出するのは――
イッセイ、グレン、リンファ、そしてノワール。
だが会場の空気は、どこか不穏な緊張に包まれていた。
(ここからが、本当の勝負だ。絶対に、仲間もこの場所も、守り抜く)
イッセイの心に、静かな闘志が燃えていた。




