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フィーナ編「研究室、泡の奥にある鼓動」

魔導院の小さな実験室。

試験管の先にある、泡がぷくぷくと魔力を帯びて弾けている。


「……泡の圧力は気泡半径の逆二乗に比例ウサ」

わたしはそれを説明しながらも、胸の鼓動が止まらないのを感じていたウサ。


だって、向かいにいるイッセイくんが、真剣な眼差しでわたしを見ているから。

「フィーナが開発した入浴具は、癒しと合理性が共存してるな」――そう笑う声が、まぶしすぎて、恥ずかしくて。


「そ、それが言いたいだけウサ? それとも……」

ドキドキが止まらないウサ。心を固めるように、言葉を選んだ。


「イッセイくん……わたしね、理屈だけじゃない、あなたに感じてるものがあるウサ」

気泡がまたひとつ弾けた。小さな音に、鼓膜がきゅって震えた。


「理屈と感性が、どう共存するかって話……そうじゃなくて、わたしの“気圧”ウサ。

あなたのそばにいると、心が高まって、胸がふるえる……ウサ」


ああ、言っちゃったウサ。

呼吸が浅くなる。胸の中でまだ、泡が弾けてるみたいだったウサ。


「……泡の圧力じゃなくて、わたしの“気圧”ウサ」


そう言いながら、わたしは胸に手を当てて、彼の前に歩み寄ったウサ。

意を決して目を閉じて、唇を重ねたの――


「――んっ♡」


優しくて、でもしっかりあたたかい、幸福感が胸の奥にじわじわと広がっていくウサ。

まるで魔力の泡が、全身を包んでくれるような感覚で。


唇が離れたあと、わたしはそっと目を開けたウサ。

彼は笑って、そして――


「フィーナらしいな」

その一言で胸があつくなったウサ。もう、恥ずかしくてたまらない。


「だ、だから……泡の圧力じゃなくてって言ったでしょ、ウサ!」

言いながらも、わたしは頬を赤くして笑ったウサ。


「うん。フィーナの気持ち、ちゃんと伝わったウサ」

「……それが大切ウサ」


泡の魔導実験室が、二人の空気で満たされていく――

そんな不思議な一夜だったウサ。

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