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夫にボロ雑巾のように捨てられたので、逆に捨てました。

作者: うずらの卵。

「頼む貴子ー俺を見捨てないでくれー」

夫の情けない声を背に、私はドアを閉めて出て行った。


「貴子さん、いつも有難うね」

「お義母さん、気になさらないで」

私が浩二さんと知り合ったのは会社に入ってまもなくだった。

浩二さんは優しい先輩で仕事を教えてくれて、

好きになるのに時間は掛からなかった。

そして、付き合って一年で結婚して私は浩二さんの意向で専業主婦になったのだ。

専業主婦になったのには理由が合った。

浩二さん…今では夫だが夫の母親が寝たきりになり介護が必要になったからだ。

プロポーズのタイミングも母親が寝たきりになって間もなくの事だった。

お義母さんは優しい人で、いつも感謝の言葉を言ってくれた。

しかし、夫は段々帰りが遅くなり、

たまにシャツの襟に口紅を付けてきたり、

酔っ払って帰って来たりして、私に対しての態度も冷たくなって来たのだ。

私は毎日介護に追われ精神的にも体力的にも疲れて来ていた。

そんなある日、夫に女がいるのではないかと思い、夫がお風呂に入っている間にこっそりスマホを見てしまったのだ。

スマホを見て私は頭が真っ白になった。

夫が蘭子と言う女とのラインのやり取りが、衝撃的だったのだ。

愛しているとか、妻はもう女として見れないとか、ただの使用人だとか、蘭子と言う女とは愛を語らい、私の事は悪口三昧だったのだ。

私は夫と離婚して出て行きたかったが、優しい義理の母を見捨てる事が出来なかったのだ。

私は夫の浮気を見て見ぬふりをしながら、お義母さんの介護を毎日頑張った。

夫は感謝するどごろか専業主婦なのだから、介護をするのが当たり前かのような態度で、毎日帰りが遅く、休みの日まで出掛けるようになった。

お義母さんはそんな息子の態度に、私にごめんなさいねと謝ってくれた。

そんな日々が3ヶ月続いた頃、お義母さんにお客様が訪ねて来たのだ。

そして、お義母さんはお客様と二人だけで話したいと言うので二人だけにした。

そのお客様はスーツを着て襟元にバッチを付けていた。

お義母さんにお客様が訪ねて来てから数日後、

お義母さんの容態が急変して、救急車で運ばれたが帰らぬ人になってしまった。

最後は私の手を握り、涙ながらに有難うと言ってくれた。

夫は連絡しても繋がらず、翌日になってやっと病院にやって来たのだ。

そして、お義母さんが亡くなったと聞いても悲しまず、お葬式が終わった途端に離婚届を出して私に別れを切り出したのだ。

私は驚かなかった。もうお互い愛情なんて無かったから、ただ夫は介護をしてくれる人が欲しかっただけだから、

そこに、以前お義母さんを訪ねて来たスーツを着た男性が来たのだ。

そして、夫と私の前に遺言書を差し出したのだ。

夫は驚いて遺言書を見つめていた。

「私は高田事務所の弁護士です、お母様から遺言書を預かっておりました、読み上げさせて頂きますが宜しいですか」と聞いて来たのだ。

「早く読んでくれ、俺は借金が有るんだ」と夫が言うと弁護士は遺言書を開けて読み上げた。

内容は全て私に遺産を残すとの事だったのだ。

遺産は一軒家と現金がかなり残されていたのだ。

夫は激怒したが弁護士は、これがお母様の遺言ですのでと言い帰って行った。

すると、夫は私に「お前は俺の母親を丸め込んだのか、この性悪女が」と怒鳴った。

私は「あなたがお義母さんのお世話を私に任せて外で女と浮気をしてたからでしょ、離婚届は私が出しておきますので、この家は売りに出しますから出て行って下さいね」と言った。

「俺が悪かった、頼むから離婚はしないでくれ」と土下座して頼んだが私は無視して、荷物をまとめて出て行った。

最後にバタンと大きくドアを閉めて。

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