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襲撃

「ちょっと買いすぎじゃないの?加奈子」

 姉の冷静な声に、ブランドショップの袋を抱えた加奈子はふくれて見せた。

 中村家の自家用車ではあるが、今回は少々腕に自信のある秘書課の課員が運転を引き受けた。

 姉妹を守るために人手は多い方がいい。そこになぜ小仲がいるのかは不思議ではあったけれど。


「でもあの店、加奈子ちゃんの趣味にぴったりだったろ」

「さすが小仲さん、いいセレクトショップご存じなんですね」

 ここぞとばかりに加奈子が笑顔で応える。このところ何処へ行くにも私設のボディーガードが付き、ストレスもたまる一方だったのだ。


「とにかく私たちは途中で降りて取材先に回るから、気をつけて帰るのよ」

「お姉ちゃんは心配性なんだって。お役所の悪い人たちは掴まったんでしょう?」

 ふう、理香子はため息をついた。敵は国防省だけではないのだ。世論とマスコミを味方につけた今、私たちはあちこちの組織から邪魔な存在。全く妹は危機感がないんだから。横を見ると、自分用にネクタイを買った小仲までが浮かれている。ここにもいた、危機感ゼロの人が…。

 理香子はしばらくその横顔を見つめていた。いい人には違いない。苦労を知らないお坊ちゃま。そう揶揄されても、よく言われるんですよ~、と屈託がない。人を疑うこともないのだろう。それはそれで小仲の大きな武器になるのかも知れない。

 これじゃまるで、小仲くんの上司みたいだわ。彼女は苦笑いすると綺麗に包装されたピアスのケースにそっと触れた。たまには自分にもご褒美。それくらいの余裕は必要かも。


 実際はSTEの子どもたちの解放もなく、膠着状態は続いていた。

 彼らの動きがないことが怖かった。哲平の焦りが手に取るようにわかる。

 もちろん国会での追及もマスコミの連日の報道も続いてはいる。がまん比べ。

 どこまでSTEが耐えきるか、それとも私たちが突き進めるか。


 小さなダイヤ入りのそのピアスを見てみようかな。下を向いた理香子は思わず前のめりに倒れかけた。

 車は急ブレーキでやっとのこと止まった。


「な、何が起きたの?」

 この間のイヤな記憶がよみがえる。フロントガラスの向こうには、倒れた自転車。


「やっちまったのか?」

「赤信号で急に飛び出してきたんだ!」

 大丈夫ですか!?思わず運転席と助手席の課員たちがドアを開ける。

「待って?不用意に開けたりしないで!」

 理香子の制止の言葉も届かない。彼らは訓練された警備要員ではないのだ。止まったレクサスは、そのドアを乱暴に開けられた。黒ずくめの男たちは手に思い思いの武器を持っている。運転手たちは引きずり出され、道路にあっけなく倒されてしまった。

 こんな手荒い手口は、STEでも国防省でもないだろう。おそらく…青龍会。


「携帯を出せ。早く!」

 押し殺した声で、リーダーらしき男がドスを利かせる。全部だ、と言われ、三人はおそるおそる持っていたものをすべて差し出した。逆らえば何をされるか。

 彼らはそれを外にいた別のバイクの男に手渡す。奴はそれらを硬そうなバイクブーツで踏みつけた。小仲が小さく悲鳴を上げる。いくらデータは会社のPCで管理しているとしても、これじゃ動きが取れない。

 課員の代わりに乗り込んできた二人は、車を発進させようとした。そのわずかな隙を狙って、理香子は左側のドアを急に開け、小仲を突き飛ばした。


「あっ!」

 小仲の細身の身体が道路に転がり落ちた。男たちの舌打ちの音が響く。

「どうする?」

「放っておけ。必要なのはこの女たちだ」

 白のレクサスと、まるでそれを護衛するかのような大型バイク三台が走り去る。突然道路に放り出された小仲は、しばらく肩を押さえて唸っていた。

 アスファルトにしたたか打ちつけたのだろう。いつもこぎれいにしている服と顔は、都会の塵に薄汚れた。


「大丈夫ですか?」

 寄ってくる通行人に大丈夫ですと返しながら、それでも彼なりに気丈に立ち上がった。一番近い交番は。とにかく携帯もない状態で連絡の取りようがない。理香子の携帯にだってGPSはつけてあった。青龍会の方がやり口を知っているというわけか。

 周りの人間に訊いても交番のありかがすぐには見つからなかった。珍しく残っていた公衆電話に飛び込み、自分の名刺を取り出して編集部と警察にかける。


 そこまで何とかし終わると、小仲は腕の痛みで床にずるずると座り込んだ。





「ばっかやろう!じゃあ何か?女二人を敵にみすみす奪われて、てめえだけのこのこと逃げ帰ってきたってのかよ!惚れた女も守れねえで、何が男だ、このウスラボケ!」

 小仲は哲平に怒鳴られても、下を向いて何も言えずにいた。周りの部員たちがなだめに入る。

「それでもこいつはこいつなりに…」

「中村は剣道初段だって言ってたしな、青龍会だって女を手荒には扱わんだろう」

 すみません、いつもの小仲らしくもなく、唇を噛んでいる。

「とっさに理香子ちゃ…中村さんがボクを道路に突き飛ばして逃がしてくれたんです。携帯は壊されてしまったから、僕が助けを呼べるようにとだと思います」


「相手は誰だ。この写真の中にいるか?」

 いつのまにか哲平は厚いファイルを持ってきて、小仲の前にどさっと置いた。こんなものまで。驚きを隠せなかったが小仲は真剣に見始めた。

 犯人らは目出しのスキー帽をかぶっていた。でもそんなこと言い訳にもならない。

 こちらを振り向いたときの運転席にいた男の目。三白眼で眉が細く、まぶたが確か少し垂れ下がるように塞がっていた。必死に記憶の糸をたどる。


 思い出せ、ボクだって男だ。こんな時に役立たずと言われてそのままでいいはずがない。

「あっ!これです!この男です。間違いないです…たぶん」

 語尾が自信なさげに小さくなったが、小仲にしたら頑張った方だろう。

 哲平はファイルを見返す。舎弟の一人、水沢…か。ヤツは組長の妻からも信頼されていた。

 とすれば目立つ会社ではなく、自宅の方へ連れ込んだ可能性が高い。

 自宅と言っても、鉄筋三階建ての豪邸だ。昔ながらの瓦屋根の日本家屋を思い浮かべてもらっても困る。セキュリティ完備なのはもちろん、警察だとておいそれとは入れない。

 つねに襲撃を恐れての鉄の要塞。それでも、行くしかねえ。


 一歩踏み出した哲平の前に遠藤が立ちふさがった。

「どいてくれ遠藤さん。警察だけに任しておくわけにはいかねえんだよ。おれはあいつに借りがある」

 理香子が哲平を掴まえてくれなかったら、あそこで藤堂に連絡を入れてくれていなければおれは…。

 一瞬黙り込んだ哲平に、遠藤は苦笑いをした。


「馬鹿野郎、誰が止めるって言ったんだよ」

「はあっ?え、遠藤さん、それって」

「津雲にばかりいい格好させてたまるか。俺たちはな、これでも週刊春秋の特集班だ」

 哲平が振り返ると、班の連中がみな揃って立っていた。手には竹刀やら木刀やら…。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。何も出入りに行くわけじゃねえ。一流の出版社の社員が暴力団の自宅に襲撃を加えたなんてことになったら、ただじゃすまねえぞ!」

 だからおまえは馬鹿なんだよ、昔から。遠藤はあごをしゃくって見せた。

 カメラマンの木谷を始め、撮影チームは脚立や三脚、そして何よりも大事な大型のカメラを抱えていたし、竹刀に見せかけた棒の先には、集音マイクと超小型カメラがセットされている。連中はこんな隠し撮りも日常茶飯事なんだろう。


 …何だよ、大手だろうとゴシップ誌だろうとやるこたあおんなじじゃねえか…


「ほら行くぞ、津雲。お嬢ちゃんたちを取り戻しに」

 遠藤は哲平の背中をぽんと叩いた。それは仲間と認めた自然な仕草。こっぱずかしくてなかなか慣れねえな、と哲平は首を振った。

 小仲があとを痛々しげについてゆく。それに哲平は皮肉げに「電話番でもしてるか?」と言い放つ。


「ボクも行きます!ボクが、ボクが理香子ちゃんを助けます!でも」

「でも、何だ?」

 ボク、津雲さんに理香子ちゃんが好きだなんて言いましたっけ?この非常時にまた呑気なことを。これだからボンボンは。とうとう哲平は笑い出した。

「おまえの顔にでっかく書いてあるよ」

「えっ?えっ、どこに?」

 あわてて顔をまさぐる小仲へ、まるで理香子がやるようにケリを入れながら哲平たちは編集部を出ていった。


 向かうは青龍会自宅事務所。

 さあどう出る。


 警察より先に入らなければチャンスはなくなる。急げ。おれたちの仲間を救うために。

 特集班の連中は、エレベーターすら使わず階段を駈け降りていった。








「ここにいたんだ」

 アツシは庭の片隅にただ感情も見せずに立っている綾也に声をかけた。もちろん反応が返ってくることはない。

 毎日大量のPSD投与、そうするしか彼をコントロールできなくなって久しい。もっと完全な形のPSDがあったら。しかしそうなればなったで、彼は本当の生物兵器として使われるだけだろう。

 アツシがほんの少し表れている花壇の土を指さした。そこにはもはや朽ち果てた木片の切れ端。名前はもう消えかかって判別は不可能だった。


「覚えてる?おまえは実験動物が死ぬたびにここに墓を作って泣くほどの、優しい子どもだったんだよ」

 彼の言葉が耳に入ってはいないのだろう、綾也はふいと歩き出し、ラボラトリに向かって行った。

 立ちつくすアツシにレイナが近づく。

「ねえ、レイナ。本当にこれでいいの?綾也の感情をなくして兵器として使う。ボクらはいつも綾也をサポートし、チームとして誰かを殺す。それが本当に平和のためになるの?ボクらが生きてゆくためにはそうするしかないの?」

 レイナは返事をしなかった。

 ここに来てから彼女だって長い年月が経っていた。何よりも今はSの実戦部隊リーダーとして大きな責任を負わされている。

 今さら元には戻れない。犯してきた罪が消えるはずもない。それがすべて国を守るためと聞かされてきたから、我々が生きてゆく唯一の道だと教えられてきたから。


 漆原博士の指導の下で。

 世論の締め付けが厳しい今、がまん比べだと幹部らは言った。どうせ世間の関心はすぐに他の対象に移る。

 それまで動くな。特にSTE推進派らは慎重論を強く押した。

 漆原は、黙ってそれらの意見を聞き流しながら、陰で着々と計画を練っている。

 邪魔者は排除しろ、それが博士の論理。できるだけ表に出ないように、と。


 レイナにもときどき博士の考えがわからなくなる。国防省は衛生省は、我々国民の民意の元に選ばれた議員と、同じ日本人官僚たちの組織のはず。彼らを殺すことが正義?

 余計なことを考えてはだめ、レイナ。私たちは大きなSTEそしてプロジェクトSという組織の一員。駒にしか過ぎない。博士の考えに間違いはない。何より、私たちはそうでなければ存在価値がない。

 欠けた木片に目をやりながら、レイナは大きなため息をついた。





「私たちをこんな目に合わせて、ただで済むと思っているの?」

 理香子は屈強な男たちにぐるりと四方を囲まれながら、それでも気丈に相手を睨みつけた。

 青龍会元組長、今は亡き小暮晋太郎の自宅事務所。外はコンクリート製の頑丈な作りではあったが、中の一部は昔ながらの畳敷きで、壁掛けの龍が威勢よく駆け上っている。

 その前には日本刀が横に置かれていて、まるで映画のような…。ここは一階ではないはずなのに庭園まで造られていた。

 今はその主もいない。Sによって消されてしまった。あのときの悔しさがよみがえる。どんな立場の人間でも、いともたやすく命を奪っていいはずがない。罪を犯しているのならそれなりの償いをさせなければいけない。それが法治国家であるはず。

 その論理が、Sには、いえ漆原博士には通用しない。それが腹立たしかった。

 そして、この私たちを拉致監禁している彼らもまた、ある意味漆原の被害者なのだ。


「余裕だな、お嬢ちゃんよ。あいにくここにはあんたらを助けに来られるヤツなんていないぜ?あのひょろひょろがいくら警察に駆け込んだところで、その前におそらくバケモノどもがやってくる」

「何ですって?」

 二人は後ろ手に縛られて身動きできない。加奈子は隣で不安そうに姉を見つめている。

「あんたらの周りにどうやらバケモノはうろちょろしているらしいからな。自宅なら静かにヤツらを待てる。今度はそう易々とやられたりしねえ。俺たちの縄張り内なら、な」

 腕を吊った状態で、包帯だらけの男が陰惨な顔で凄み笑いをする。並の女ならそれだけで気を失いかねない。私はそれだけ鍛えられたってことかしら。理香子は心の中だけで苦笑いする。

「じゃあ何?私たちはSをおびき寄せるためのおとり?無理だと思うわよ、彼らもいろいろと忙しそうだから」

 ふん、と鼻を鳴らした男は確か青龍会の若頭、加勢。大怪我をしたと聞いていたけど、どうやらそれはSというよりも梶尾くんの仕業だったようね。哲平の言葉を思い出す。

 ふと、加奈子の心中を思うと理香子は胸が痛んだ。こんな状況でもこの子は彼を信じている。待ち続けている。優しかったあの頃のままの梶尾くんを。


「あいつらが来ないなら来ないでいいさ。お嬢ちゃんたちにも、まあそれは訊きたいことがあってね」

 どういうこと?理香子は心の動揺を見せないよう努力した。必死のポーカーフェイス。哲平さんのように。

「あんたら、中村バイオファーマの社長令嬢様方なんだって?お父ちゃんたちはせっせとクスリを作って、娘はPSDをぶっ叩く雑誌記者かい。なかなか皮肉なもんだね、世の中ってのはよお」

 グハハと下卑た笑い。理香子は思わず立ち上がろうとして後ろ手のロープに足を取られた。

「あんたたちは何が言いたいの?」

 ますます笑い声は大きくなる。あんたたちに訊くか、ご立派なご両親様方に訊くか。加勢の歪んだ口元はそう告げる。

 中村が、PSDに?考えたくないわそんなこと。それよりここを早く逃げ出さなくては。

 少なくとも、加奈子の耳には入れたくない。

 二十畳ほどもあるこの和室に、敵は十五人。私一人で十分だわ。武器は、そうね。

 理香子は隠し持っていたペーパーカッターの刃でロープを切ると、すばやく立ち上がり床の間の日本刀を手にした。


「!」

 男たちに動揺が走る。


「おい止せ!お嬢ちゃんがオモチャで持つには危なすぎるぜ!」

「煩いわね!剣道初段なんて大嘘!私がお祖父様に習っていたのは小野派一刀流」

 そこにあるのは模造刀だ、人なんか斬れねえぞ!焦って舎弟の水沢が声を荒げる。それにかぶせるように理香子は叫んだ。

「真剣か、模造刀か、実際に斬ってみればわかるわよ!」

 理香子は日本刀を、正しく斜に構えながら相手を睨みつけた。両手を絞る。そのまますり足でほんの少し前に出る。加奈子は下がってなさい、短く声をかける。


「たあーっ!」

 大声を出しながら理香子はヤツらに向かって行った。蜘蛛の子を散らすかのように、さっと青龍会の子分らは散らばった。障子の桟と紙をわずかばかりかすり、それらはばさっと音を立てて落ちた。男どもの顔色が変わる。

「どうやら、真剣のようね。銃刀法違反?所持許可は取ってあるのかしら」

 お姉ちゃん、そんなの習ってたっけ?そっとささやく加奈子に、あんたは黙ってなさい!習ってるわけないでしょ。剣道だけよ!と小声で返す。

 それでも、初段の腕前は衰えていなかったらしい。重い真剣を振り回す姿も様になっている。ただ、あまりの長さにどこに剣の切っ先が向かうか予想もつかない。舎弟どもは逃げまどうばかりで反撃できずにいる。


 そのとき、加勢が静かに自由になる左手を懐に入れた。





「どうする?こりゃあちょっとした鉄の要塞だぜ」

 青龍会自宅事務所にたどり着いた特集班の連中は、外の道路から中をうかがうが、門は電子錠で固く閉じられていた。周りには目つきの悪い警備要員。

「おまえ、こんな非常事態に何遊んでやがる!」

 ふと見ると、小仲より五年早い入社の高瀬が何かをもてあそんでいる。

「いえね、ちょっとカラスに手伝ってもらおうと思いまして」

 カラス?そこにいた誰もが不思議そうな顔をした。高瀬が手にしていたのは一本の針金ハンガーだったからだ。


「こう見えてもオレは高校時代、軟式野球部のピッチャーでしてね。コントロールには自信あるんです」

 電気工学科卒という理系畑で変わり者とは言われていたが、ピッチャーとは初耳だった。

「ちょっと大きな音がしますんで、びっくりしないでくださいよ。チャンスは一度きり、準備はいいですか?」

 その声色にただならぬものを感じた特集班の連中は、すぐさま臨戦態勢に入った。何をする気だ、高瀬。

 彼は道路の真ん中まで走り寄ると、警備要員に見つかるのも気に留めず、そのままハンガーを思いきり投げつけた。目標地点はすぐ近くの電柱から延びる送電線。


 バチバチバチッ!


 ものすごい音を立てて、周りが一瞬光ったかと思うとすぐに漆黒の闇が訪れた。門の周りの男たちは道路に倒れ込んでいる。

「何しやがった?」

「これでこの辺一体は、大停電です。いくら暴力団の自宅でも自家発電を持っているとは思えません。電子錠も解除されているはずです。電力会社が復旧させてしまう前に!」

 よし、行くぞ!それぞれが機材を抱えて自宅事務所に押し入る。


「すみません!週刊春秋の特集班です。お話しをお聞かせ願えればと!」

 名乗ることを忘れない。これで不法侵入じゃないと言い逃れるつもりなのだろう。いつもの手口だ。

 事務所の舎弟たちは突然起こった停電に右往左往していた。

 おいこら!誰に断って入ってきた?怒鳴り声もどこか頼りない。

 特集班はビデオを回し、バシャバシャと写真を撮りまくる。その音に怯える構成員たち。

 いつもとは勝手が違って、うまく組織が機能していない。


 小仲はそっと高瀬に向かって、何でカラスなんて言ったんですか?とつい訊いてしまった。高瀬は薄闇の中で、苦笑いした。

「知ってます?カラスは針金ハンガーで巣を作ることがあるんです。送電線に作られると、ショートして一発で停電です」

 今頃、ハンガーは黒こげでしょうね。でも証拠が残ってて電力会社の人もホッとすると思いますよ。ニヤリと笑う高瀬は、やはり一風変わっている。小仲は自分を棚上げしてそうしみじみ感じた。








 人工的に守られた鉄の要塞は、逆に脆さをもあらわにした。部分的な大停電。

 誰もが予想しない事態に、特に焦りを感じたのは青龍会の連中だった。

 外の方がかえって明るいだろう。しかし、空中庭園まであるここの階は、漆黒の闇に包まれていた。

「チャカを出すな!身内に当たる!」

 水沢の怒鳴り声がよく通る。人数が多い分、身動きが取れないようだ。

 理香子は加奈子を片手でかばいながら、もう一方の腕でしっかりと真剣を握りしめていた。

 もちろん生まれて初めて持ったもの。その重みはずしりと感じられ、手はしびれてきていた。

 でも、ここで妹を守れるのは私一人。

 何とかして逃げ出す方法を考えなければ。この私に本気で人を斬れるとは思えない。せっかくのチャンスを生かす方法は。

 理香子は、壁伝いに少しずつ移動しながら、できるだけ他の男たちと接触しないようにじりじりと動いた。指の感触だけが頼り。ここの階から廊下から、逃げ出せるようにしておけば、停電が復旧した際にダッシュで逃げられるだろう。そう踏んだ。

 ほんの少しずつ、畳のすり足の音が聞こえる。左手は加奈子をしっかり抱えつつ、刀を持つ。

 右手の人差し指が、壁の角にかかった。


 行ける!


 そのとき、無情にもライトが点滅し始めた。そう、まるで古い蛍光灯がなかなかつかないみたいに。

 ダメか。

 一か八かで、ライトがすべてついた瞬間を狙ってダッシュしてみよう。うまく行けばそのまま階段で逃げられる。下手をすれば、焦った組員たちから蜂の巣だろう。

 その一瞬に賭けてみる。おおよそ理香子らしくないやり方。でもきっと哲平さんは、ずっとこんな綱渡りの生活を続けてきたんだわ。


「加奈子、電気がついたら走るわよ。いいわね」

 押し殺した声でささやく。妹がこくんと頷くのを気配で感じる。

 パアッと辺りが光に包まれた。それまで真っ暗だったせいで、虹彩が光を調節できかね、何も見えない。


「待ちやがれ!このアマ!」

 組員たちの叫び声は、なぜか途中で途絶えた。

 走り始めた理香子を妹が引っ張ろうとする。そんなことしている場合じゃないでしょ!と叱ろうと振り返った彼女の目に飛び込んできたものは。





「よお、お嬢ちゃん。また勇ましいもの振り回しやがって。来週の表紙に使ってやろうか?」

 ニヤニヤと笑いながら大きなレンズをこちらに向けるのはカメラマンの木谷だ。

 自滅を恐れて一箇所に固まる青龍会の連中をしり目に、階段を暗闇のなか走ってきたのだろう、廊下にずらりと並ぶは、高文社週刊春秋特集班のメンバーたちだった。

 遠藤を先頭に、木之元、鮎川、高瀬ら総勢八名がずらりと並ぶ。思い思いの愛機である、カメラやビデオ、レコーダーなどを抱えつつ。その後ろには、小仲……そして哲平。


「ど、どうしてこんな。全員で私たちを助けに来てくれたんですか?」

「バーカ、うぬぼれなさんな。俺たちが欲しいのは、スクープだよ」

 遠藤が苦笑いで続ける。キャップの金子が悔しがってたぜ。おれも現場に行きてえってな。特集班の連中は声を上げて笑った。

 青龍会の加勢は、青白い顔で彼らを睨め付けた。


「不法侵入か。いい度胸だな。一流出版社の御方々が出入りとはね。警察を呼んで差し上げましょうか。それともここで、痛い目を見ねえとわからねえのかな?あんた方にはいろいろとこっちも、言いたいことがあるんでね!」

 この騒動の発端は、すべて春秋の記事にある。こいつらのせいで……、青龍会にしても恨みは深いものがあるのだろう。

 おのおの戦闘態勢を取る組員に、特集班はカメラで写真を撮りまくった。

「いいんですか?これだけ証拠が残った状態で俺たちをどうにかしようとしても、無駄だと思いますがね」

「証拠が残れば…な。一人残らず東京湾に沈めてやるよ、お望みどおりな!」

 組員たちは一斉に懐から拳銃を取り出した。それにビビっているのは、小仲くらいなものか。

「モバイルデータ通信という言葉をご存じですか」

 静かに高瀬が話し出す。組員たちの手が一瞬ひるむ。

「ここで撮された画像の一部は、もうすでに本社の編集部に届いています。そのまま警察にたれ込んで、現行犯逮捕でもいいんですよ」

 なん…だ…と?

 歯を食いしばるようにして、その間から加勢が言葉を絞り出す。怒りも頂点に達しているのだろう。


「ムショが怖くて、極道の看板が背負えるか。なぜ、俺たちだけを目の仇にしてつぶそうとする?あん?どこの差し金だよ。正義の味方の記者さんたちよ!あんたたちは人のあらを探して、弱いものいじめをして毎日の食い扶持を稼いでいる!俺たちは、俺たちの世界のやり方で仕事をしている!俺たちは真っ当にブツを扱った。それのどこが悪い?」


「それが……PSDだからだよ」


 それまで沈黙を守っていた哲平がぽつりと言う。

 加勢があのときの状況を思い出したのか、ぞくっと身体を震わせた。そして動く方の左手で、哲平に狙いを定めた。

「あんたにはいろいろと世話になったな。ことの始まりは全部てめえだ。てめえだけは許せねえ」

 かちっというおきまりの音。特集班らはどのタイミングで飛びつけばいいのか、みな息を飲んで臨戦態勢に入る。その中にはもちろん、理香子も。


 そのとき、一番奥の豪華な装飾に彩られた襖がガラリと開けられた。





「いい加減にせんかい、加勢!」

 ドスのきいた、というのはこういう声を言うのだろう。低く迫力のあるその言葉に、さすがの加勢も目を見開いた。

 そこに現れたのは、黒地に金のあでやかな花びらを染め抜き、裾から燃えるような朱いグラデーションが惹きつけられる豪華な和装の女性だった。

 加勢を始め、組員全員が頭を畳にこすりつけんばかりに正座をし、居住まいを正した。


「姐さん」

「藤城の姐さん」

 思わずこぼれる彼らのつぶやき。故小暮晋太郎組長の内縁の妻、藤城日千佳にちか…。

「本来なら、喪服を通すのが筋なんやろうけど、うちの人はこの着物をよう気に入ってくれてなあ」

 そっと日千佳は、仏壇の写真に目をやった。髪を高々と結い上げて切れ長の目に細面の美しい人。しかし、鋭さは隠せない。

 もう一度加勢に視線を戻すと、日千佳は言葉を続けた。

「素人さん相手に、なに醜態さらしとるんじゃ。うちの人が生きとったらただでは済まへんで」

「しかし、姐さん。こいつらは親父さんの…」

 日千佳はそっとため息をついた。そしておおよそ彼女にはふさわしくないような小声で、寂しげにつぶやいた。

「うちの人を殺ったのは、あのバケモノたちやろ?みんな上手いこと口車に乗せられて。だからアタシはあれだけ反対したんや。今までのものを堅実にやっていけば、大きくなくとも組は続けていける。訳のわからんもんに手を出すもんじゃないって。でもな、あの人は聞かんかった。組を大きくするとか、金儲けのためとはちゃうで。お国のためというあのバケモノの言葉に乗ってしもた」

 そのバケモノとは……、国防省ですか?静かな哲平の言葉に苦笑を返す。

「その手には乗りまへんで、津雲はん。うちは何も知らん。聞かされておらへん。話す気もない。どうぞ皆さん、お引き取りねがえまへんか」


「大事なことなんです!」

 たまりかねて理香子は大声を出した。ゆっくりと日千佳はそちらを向く。

「PSDは普通の麻薬や覚醒剤などの薬物とは違います。人を人でなくしてしまう。今までのものとの差はその先です。一部の暴走した権力者の意のままに、彼らは動かされてしまう。この国が何処へ行こうとしているのか。それをはっきりさせないと、とんでもないことが起こってしまう。起こってしまってからでは遅いんです!現に今もすでに苦しんでいる子どもたち、かつての子どもたちがいる。PSDは、彼らをただの権力者の操り人形、アンドロイドにしてしまう。心を持たない生物兵器の大量生産。それがPSDなんです!どうか、どうか私たちに力をください!あんなものが出回ってはいけないんです。私は目の前で小暮さんが墜ちてゆくのを見せつけられた。助けられなかった。悔しくて申し訳なくて、でもどうすることもできなかった。小暮さんはPSDの蔓延を喜ぶのでしょうか?」

 理香子の悲痛な叫び。組長の最期を思って、組員らは唇を噛み、悔しさをこらえた。

 しかし日千佳は、ほんの少しばかり薄く笑って眼を細めた。

 ぞっとするような冷たい目。


「だったら、中村のお嬢さん。お父上にお訊きになられてはいかがですか。あんたさんらはまるで正義の側のように、偉そうにしてはりますけど、陰で何をされているかとね」

 理香子の息が止まった。コノヒトハナニヲイイダスノカ。加奈子までもがその意味を察したらしい。握りしめた手に力が入る。


「…バイオファーマだけじゃねえ」

 何もかも知り尽くしたかのような、哲平の声。苦々しげに、吐き捨てるように。

 哲平さんも知っているの?それをどうして教えてくれなかったの?言いたいことはそうじゃない。けれど、理香子の頭の中は混乱していた。

「世の中、綺麗事だけで済むはずがないということを、お嬢さま方に教えて差し上げたんですのよ。津雲はん」

 とにかくこの場は治めていただけまへんか、このアタシの顔に免じて。日千佳の発言にどことなくしこりを残したまま、お互いが動き始める。

 この世界では上の者の言葉は絶対だ。次の組長が決まるまで、いや、正確にはこの青龍会がこの危機を乗り越えて存続が確定するまで、加勢らは藤城日千佳の言葉を受け入れざるを得なかった。


 風が吹く。


 生温かい、嫌な風だぜ。哲平一人はすぐに異変に気づいた。ため息をつき頭をかく。めんどくせえなあ。またあいつらか。


 哲平の予想どおり、彼らから少し離れたところへ白いもやが出現した。それらはだんだんと形作られてきて、次第に人影へと変わっていった。

 特集班は機材を構える。組員らは武器を手に取る。そして日千佳はこの世のものとも思えぬほどの憎しみをたたえた目を向ける。


 そこに現れたのは、プロジェクトSの五人だった。








「てめえらか、このおかしな停電も」

「停電?さあ、でもこの屋敷内を捜索するには役に立ったわ。私たちに灯りは要らない。いえ、光はないのよ」

 レイナの声が厳かに響く。誰もがその迫力に飲まれる。

 五人の戦士たちは、辺りをすべて支配しつくし、その存在を強く主張していた。あの日千佳でさえ、声を出せずに見つめるばかり。


 戦うためだけに育てられた子どもたち。


 いずれはこの国が、このような特殊能力を持つ子どもらに守られる。そんなおとぎ話を信じて実際に研究所を作り、年端もゆかぬ子を集め、訓練を受けさせる。決して漆原一人ではない。この計画はもうそんな域をとうに越していた。

 何ら資源を持たず、知的能力の高いものが海外へと流出し、滅びゆくのを待つのか。それとも大国の陰に隠れて息をひそめて生き延びるのか。

 少なくとも彼らはそのどちらをも選ばなかった。自分たちの能力でこの国を守る。それが彼らの誇りであり、漆原の主張だった。彼の本心がどこにあるかは計り知れなかったが。

 その想いが、彼らの揺るぎない自信になっていた。たとえ本物の極道らが何人いようと、警察やSATに囲まれようと己の力を信じていた。

 人は信じる何かがあれば強くなれる。どんなにもそれが無謀であっても。

 無条件に漆原を信じ、サイ能力を信じ、己は正義の立場に立っていると思い込んだ。


 そう……思い込んだ。今までは。


 レイナは軽く頭を振ると、邪念を払いのけるようにしてまっすぐ前を見つめた。

 疑ってはダメ。私たちは正義。そのためにPSDは何が何でも手に入れなければならない。

 たとえどれだけの犠牲を払おうとも。


「申し訳ないけれど、ここにいる警備の方々は皆、戦闘不能になっているわ。生命反応はあるから安心してちょうだい。あとはここにいるあなた方のみ。どこにもなかった構造式を今すぐ出せば、私たちはあなた方に何も危害を与えるつもりはない。すぐにでもここから去る。無用な戦闘はしたくない。青龍会にもう余力は残ってはいないはずよ。そうでしょう?」

 日千佳はすっと白足袋を前に進めた。さっきのレイナとはまた違った緊張感。女二人が、視線をぶつけ合う。


「何のことやらさっぱり。うちの人の仕事には口をはさまんようにしてたさかい」

「残っているのは、ここにいる青龍会の主要メンバーのみ。悪いけれど徹底的にスキャンさせていただくわ」

 レイナの言葉が終わるか早いか、彼女が上げた腕を合図にアツシがその場にいる全員に強力なスキャンをかけ始める。

 途端に、あちこちでうめき声と頭を抱え倒れ込む組員たち。そして、春秋の特集班も例外ではなかった。これだけの人数を一度にスキャンするのはかなりの能力を消耗するだろうに、アツシは額に汗を光らせてその任務に耐えていた。

 鍛え抜かれた組員の跳ねっ返りどもが、飛び道具を手に彼らに向かう。とっさにトオルがSのメンバーの位置を素早く変える。

 よろよろとカメラマンの木谷が機材を構える。それに容赦なくルカは瞳を光らせる。

 ガシャンという音とともに、最高機種の高感度カメラが粉々に砕け散る。隣のビデオにも、デジタルカメラ機材にも…。

 彼らを統率していたレイナは、この場面でも何も動こうとしない綾也に焦りを感じ始めていた。


 …ナニヲシテイルノ?ハヤクコウゲキヲ!…


 しかし無表情のままの彼は、ただ立ちすくむばかり。どうして?

 私たちには、いえ、私たちにも誰にも綾也はコントロールできないということなの?

 すべての作戦の鍵を握るはずの綾也。

 それでも彼の整った顔には何の感情も浮かびはしなかった。私たちがこうしてしまったのだろうか。これが博士の望む姿だったのだろうか。


 ふっとした逡巡。その隙を日千佳が逃すはずがなかった。懐に入れていた短刀でレイナに襲いかかる。すんでの所でそれを避けようとする彼女に、またもや日千佳の刃は振り下ろされる。


「このバケモノどもが、うちの人を!」

 それを愛情と呼ぶのか、未練と呼ぶのか、わからない。しかしかなり年の離れた内縁の妻は、Sによって無惨にも殺された組長の面影を胸に、憎しみをあらわにしていた。


「レイナ!」

 他のメンバーが彼女を呼ぶのに、私のことより任務を遂行しなさい!と叫び返す。クレヤポンスとはいえ、彼女もかなりの戦闘訓練は受けてきていた。


『ここの連中も誰も構造式なんか知らないよ!青龍会には、そんな知的に高いことが考えられる人間なんて誰もいやしない!どうする?』

 アツシがじかにレイナの頭に叫んでくる。

 ここにもない?そんな馬鹿な。じゃあいったいPSDの構造式は何処へ行ったのよ! レイナの焦り。

 さすがは場数を踏んだ裏稼業の女だけある。藤城日千佳の短刀は、ぴたりとレイナの首筋に当てられた。

「さあ、どうしてくれようか。うちの人をやったバケモノはあんたかい?それともここにいる全員かい!」

 妖艶さに凄みが加わり、ぞっとするまでの美しさ。しかし、憎しみは想像を超えたものがあるのだろう。

 あの冷静沈着なレイナが表情を硬くした。





 そのとき、ふっと綾也が動き出した。


 …バケモノという言葉で反応したのでは…


 彼を深く知るものはまずそれを心配した。その場にある何もかもを破壊しつくす炎の鳥たちの群れ。もしそれらがここを襲ったら。

 しかし綾也の足はゆっくりと一人の元へと向かった。

 相変わらず能面のような白い顔。けれどもその表情は少しずつ溶け出すように…。

 誰もがその動きから目を離せなくなってしまった。レイナも日千佳でさえも。


『アツシ!早く綾也の感情の動きを追って!』

 レイナは自分の首に短刀が当てられているのにもかかわらず、素早くアツシにそう命じた。

 その合間にルカがその凶器をはじき飛ばす。レイナが日千佳の腕をねじり上げる。悔しげに唇を噛む彼女。


「極道の女をなめるんじゃねえ!」

 獣のようなうなり声。レイナはその声にも淡々と応じた。まるで漆原のように。

 綾也は、一歩また一歩と歩いてゆく。どこへ?

 その先には、理香子。そしてその後ろに隠されていた加奈子の元へと。

 理香子はなおも加奈子を下がらせた。しかし彼女は自分から前に出ようともがいた。


「出てはダメ!危ないからやめなさい!」

 必死の姉の制止にも関わらず、加奈子は切なげに綾也を見つめた。銀フレームのメガネをかけていない綾也の瞳が、ふっと和らいだ。

 彼の思考を追いかけていたアツシが驚いたように目を見開く。


 …綾也の…心が動き始めている……。


 あの病院でのPSD大量投与から、彼の気持ちが動いたのは今回を含めてたったの二度だけ。

 加奈子の姿を見たとき。

 そっと綾也が腕を伸ばす。加奈子の頬に触れる。

 彼女はその手を包み込むようにして温かさを感じようと自分へ強く押し当てた。


「…綾也くん」

 甘いささやき声。


 誰一人動けない。何が起こっているのかさえも把握できる者はいなかった。

 レイナは突然押さえ込んでいた日千佳を突き飛ばすと、S全員に招集をかけた。


「無茶だ!」

 いつも無口なトオルが思わず叫ぶ。

「サイ能力のない人間をなんて!」

「いいから早く!これしかないのよ!」

 そう言うとレイナは、現れたときと同じようにメンバーをひとまとめにした。その中に加奈子を含めたまま。

「加奈子!」

 理香子の絶叫が響き渡るなか、彼らはもやをかき消すようにその場から姿を消した。加奈子を連れたままのテレポーテーション。彼女に超能力などありはしない。

 いったい妹はどうなるのだろう。

 なすすべもなく、理香子はその場に立ちすくむしかなかった。



(つづく)


北川圭 Copyright© 2009-2010  keikitagawa All Rights Reserved

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