表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

~麻薬戦争と腐った化け物~ 3

目が覚めると純白のシーツが僕の鼻をくすぐった。そこはまるで王室のような華やかさ。

いや、まてよ。あの暖炉の上の肖像画、どこかで見た記憶がある。

たしかにリューク皇帝の姿だ。こんなのコインに彫ってあるのでしかみたことがない、まるで生きてるかのような姿。今にも動き出しそうだ。


パチン


実際は音なんてしなかった、しなかったけど聞こえたような気がした。絵は僕に向かってウィンクしたのだ。

見間違いに違いないのだが、それでも僕は驚いた。


それにしても・・・。

ここはどこなのだろうか。

確かに僕は今まで逃げ出そうと、いや確かに避けたはずなんだけど。


扉が少し開いた。

しかし隙間からは人の顔が見えない、扉の作りは豪華なのに立て付けが悪いのだろうか。しかし足音は聴こえる。

それは馬鹿でかいベッドの淵からいきなり現れた、小さな女の子の足音だった。

しかし僕もいちいち驚く、いや驚きすぎて心臓のサイズが半分になったのだろう。とにかく凄い顔をしていたらしく少女はお腹を抱えて笑っている。流石に僕でもむすっとくるぐらいの笑い方だった。

すると少女は立ち上がり身なりを正して挨拶をした。


「はじめまして、英雄さん。私はベルナル・ベルモンドです、よろしくね。」

拭き忘れたのか目には笑ったあとの大粒の涙がついている、だが不覚にも可愛いと思ってしまった僕でした。


はて、ベルモンドと。

どこかで聞いたことのなる名だ。そう考えている間に少女はベッドの淵からよじ登ってくる。

「私が名乗ったのに貴方は寝たまま返事もないのね、どんな教育を受けてきたのかしら。」

なんて言ってくる。まったく目上の者への言葉遣いを知らないのか。


「悪いが教育は中等部までしか受けられなかったんだ・・・え。」

すかさず喉仏に手をあてる、声が違う・・・僕の声じゃない。

「あっ、あーあー。」

声の確認をしている僕を少女は可笑しな顔をして眺めている、たぶん悪い子ではないのだろう。僕は改めて挨拶をする、


「僕の名前はアリア。アリア・マクラガル一般兵です。アリアと呼んでくださいお嬢さん。」

慣れない声での挨拶とは気分が悪いが、なんでこんな声なんだろうか。喉が痛い。


「・・でね、火事の後から貴方だけが助かったのよ!奇跡みたいよね。」

あぁ煙をすったからこんな声なのか。


・・・火事ぃ!

「火事なんてどこで・・・?」

僕の素っ頓狂な声が面白かったのかまた笑い出す少女、にしても良く笑う女の子だ。

「貴方が発見されたときにはもう消火が終わってたの、貴方は火事の現場の真ん中にいたのに火傷ひとつない体だったわ。着替えを手伝ったメイドが言ってたもの。」

今更だが僕は綺麗な服を着ていた、作りが違うというか軽く700000ハルクはいきそうな代物だ。

「70000000ハルクよ。」

少女はニヤニヤしながら答える。どうやら桁が違うようだ。それにしてもこの部屋は全然寒くない、その割には暖炉に火がついていないのに。まったく不思議なことばかりだ、あの化け物に出会ってから記憶の整理が儘ならない。


ぐぅ~。

空気をよまない腹の音は少女の笑い声にかき消された、息が苦しいのか微かに痙攣しながら、

「そうね、まずは食事にしましょう。話は食べながらでもできるし。」

少女は僕の手を引きながら、長い長い廊下を歩き出す。にしても広い屋敷だ、寝ていた部屋だけでも田舎の元俺の家を上回る広さ。そこらかしこにある家具には金銀の装飾が施されている、少女の髪飾りには大きな宝石がついていたが。まさか本物ではあるまい・・・。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ