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序章【青春狂騒編】第六話「魂魄(アニマ)と天恵(マナ)」


「ちょっと失礼…」


部屋に入るや否や

そう言ってサリアはタツキの耳の裏を指でなぞるように触れ何やら紋章のような文字を刻み込んだ

擽ったい気持ちを堪えていると誰かの声が聞こえてくる


『…もしもし聞こえますか?』


どこからとも無く聞こえてくる声に困惑するタツキに

「それは聯信術コンタクトって言ってこの世界で言う…通信機器みたいなモノだよ」

とサリアは説明する

「…つまり誰かと電話してるってことか?」


その問いに首をコクリと縦に振るとサリアは続けて説明しだした


「今、話してる人は私の先生…私の元いた世界から通信して色々とサポートしてくれていたの」


便利な能力に関心しているとまた声が聞こえてきた


『はじめまして、ブスタ魔導学校教員のショウ・テカドと申します。この度はお嬢…サリアさんを守っていただきありがとうございました』


丁寧な挨拶にタツキも返す

「あ、どうもどうもヒバシラ タツキと言います!いえいえ女の子を守るのは当たり前のことッスから」


その返答ににっこりと微笑むショウであったが

次の瞬間、襟を正し真剣な口調で語り出した


『タツキくん…早速ですが色々なことが起きて大変困惑していると思いますので簡単に説明させていただきますね、ご了承ください。』


ショウはそう告げると淡々とまるで授業をするように話しだした


『では基本的なことから説明します』

『この世界には空間軸が違う二つの世界が重なって存在しています、それぞれ科学が発展したタツキくんたちの世界と天恵マナ技術が発展した私たちの世界です』


「なるほど…こことは別の世界があるってことッスね」


『そうです、互いに干渉はしないようになっています…ですが今回、本来そちらの世界に存在してはならない"悪霊"がその地域で頻繁に観測されました、ですので原因究明と解決、人命救助のためにそこにいるサリアさんが派遣されました』


そう言われ横を見ると深刻な表情でこちらを見ているサリアと目があった


『"悪霊"とは人の魂に寄生し心を腐敗させる存在です…耐性の無いこちらの人間には取り憑かれたが最期…一刻も早く対処しないと侵食され廃人になってしまいます』


深刻な話に唾を呑むタツキ


『そして"悪霊"には物理的な攻撃は効きません、有効打になり得るのは私たちの世界の住人のみが使用できる力"魂魄アニマ"と

精霊を使役し"天恵マナ"を利用して発動する"精霊術"だけです』


間髪入れずにタツキが質問する


「先生!"アニマ"と"マナ"ってなんなんスか⁈」


『"魂魄アニマ"とは本来全ての人間が持っている生命エネルギーのことです、私たちの世界の住人は脳の一部が発達していて魂魄アニマを制御することができます。』


横からサリアが会話に割って入る


「昨日、君の体中から溢れ出していた蒸気のようなモノだよ、こっちの世界の人間にも稀に魂魄アニマを制御できる人がいるみたい…その人達を君達は"超能力者"なんて呼んでいるね」


「…なるほど!魂魄アニマってのが体の底から湧き上がってきた不思議なパワーの正体ってワケか…」


昨夜の悪霊を倒した時の事を思い出して納得するタツキ



『そして天恵マナとはこの星から放出される自然エネルギーのことです。ですがタツキくんたちの世界では天恵マナはごく僅かしかありません。それは私たちの世界には天恵マナを半永久的に大量に放出して人々に恩恵を与えている天恵源幹マナ・リュンカと呼ばれる場所が幾つか点在しているんですが…そちらの世界にはそれが無いからです。』


(ふむふむ…"油田"みたいなもんかな?)


『最後に"精霊"と"精霊術"について、精霊とは魂魄アニマ天恵マナどちらの力も制御できる超常の存在です。人間大の精霊から微粒子程度の微精霊など大きさは様々ですが、タツキくんたちの世界には微粒子程度の大きさの微精霊しか存在していません。理由は前述した天恵マナが不足しているためです。その精霊を使役して発動するのが"精霊術"です。タツキくんたちの世界では"魔法"なんて呼んだりしていますね。』


その話を聞いていたタツキが目を輝かせながら質問をした

「その"精霊術"ってのはオレも使えますか⁈」


その問いに対し少しだけ間を開けて言いづらそうにショウが答えた


『……精霊術を扱える人間は私たちの世界でも希少なんですよ…なので残念ですが…難しいかな…と思います。』


落胆するタツキの肩をポンポンと叩くサリアの顔は

どこか誇らしげだった


いじけているタツキにショウから思いがけない言葉が飛び出した


『さてここからが本題です。…なぜ色々と説明したかと言うと…ズバリ!タツキくんにも"悪霊"についての調査に協力してもらいたいんです!』


その言葉にタツキは経験したことの無い

恍惚と不安を感じた





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