居酒屋吉五郎小景2
◎オミクロン株始末
「吉さん、笑わせるじゃねえか。南アフリカ変異株だってよ」
「株ですかい。株ならうちにもありますぜ」
「へーえ。吉さん、株やるんだ」
「いえね、以前、ノムーラてのが来て売りつけてったんですよ」
「ほお。儲かったかい」
「とんでもねえ。タチの良くねえ株で塩漬けでさあ」
「災難だったね」
「つまみにどうです」
「いらね」
◎また緊急事態宣言?
「おまえさん、第6波来たらどうしよう」
「構うこたァねえ。あっちの世界のことだからよ」
「時短しろとまたうるさいよ」
「世界が違うんだ。この世に口出しされてたまるかってんだ」
「頼りになるねえ。惚れ直しちまうよ」
「お富、おめえもまんざら」
「おまえさん」
「お富」
「吉さんやってるかい!おっとっと。お邪魔さま」
「らっしゃい!この世は春でさぁ」
◎プランでミックの子どもたち
「吉さん、パンデミ後生まれの子供の知能、2割低下って知ってる」
「え。また藪から棒に」
「米国の調査なんだけどさ。他国でも同様かもって」
「そいつはてェへんだ」
「国家の一大事だからね」
「けど世界中の子どもがそうなんでがしょ。なら相こだ」
「吉さん、本気で言ってる?」
「人類自滅のお笑いネタでさあ」
◎世代交代
「吉さん、老人の医療費問題なんだけど」
「なんです、藪から棒に」
「一挙に解決するんだってさ」
「え。高齢者3500万人がどうかなるんで」
「うん」
「けどそれじゃあ病院が困りゃしませんか。実入りが消滅たあ」
「替わりに若い連中が通うことになるのさ」
「おおコワ」