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7不老不死連続殺人事件

『不老不死の体質に嫌気がさしていませんか?もし、そうであるのなら、私があなたを永遠の地獄から解放して差し上げます、と伝えてください。折り返しの番号は090~』


 不老不死という特異体質については、市役所に届け出はしているが、他人に知られないように、その情報は厳重に管理されている。会社には当然知られているが、他人にばらすことは法律違反となっている。この会社の社長が誰かに実乃梨の情報を言いふらしたとは考えにくい。現に榎木や他の社員には、実乃梨が不老不死だということは知られていない。



 十二時のチャイムが聞こえると、昼休憩に入る。会社では弁当が支給されるため、実乃梨は自分の机で支給された弁当を食べ始めた。食べながらも、鞄から取り出したスマホをいじっていると、SNSであることがトレンドに上がっていた。


『不老不死連続殺人事件』


 正月の元旦から流れていた気分が重くなる事件である。年明けの仕事が始まってもいまだに、朝のニュースで取り上げられていた。ただ年を取らないというだけで、不老不死と言われる女性たちも、年を取っていく普通の人間と同じである。それなのに、どうしてこの犯人は、不老不死の女性ばかりを狙っているのだろうか。


不老不死という、与えられたくもない力を与えられたがために殺される。そんな事件が身近に起きているのだから、実乃梨にとっても無関係とはいえない。自分もいつ、犯人の標的にされるのかわからない。


 ニュースでこの事件の報道を見るたびに、チャンネルを変えたり、テレビを消したりしていたため、実乃梨は事件について詳しくはなかった。しかし、SNSでも話題になっているのだ。仕方なく、事件についての詳細を見てみることにした。



 最初に不老不死の女性が殺害されたのは、一カ月ほど前のことだった。警察は当初、被害者は三十代の女性と報道した。見た目がそのくらいの女性だったからだ。しかし、身元を確認すると、殺害されたのは不老不死の女性であり、実年齢は八十代だと判明した。


 不老不死の女性には大きな特徴がある。下腹部にある深紅の紋様で、不老不死となった女性以外に現れることはない。警察は遺体に紋様がなかったため、誤った報道をしてしまった。


殺害された女性の死因は、腹部に刃物を刺されたことによる失血死だった。そのため、不老不死の女性は腹に刃物を刺されると死ぬという噂が広まった。しかし、それはすぐに鎮静化することになる。


 女性の遺体に、男性の体液がこびりついていることが警察の調査で判明したことが大きな理由だった。犯人は不老不死の女性を強姦し、不老不死という体質を失くしてから、殺害に至ったという見方が広まった。


 遺体のそばには一枚のメッセージカードが落ちていた。名刺サイズのカードに、赤い字でメッセージが記載されていた。


『不老不死の人間に救済を』


 このメッセージにより、犯人が不老不死を標的にしていると判断した警察は、不老不死の女性たちに警戒するよう伝える。その警告は無駄に終わってしまった。




 次に不老不死の女性が殺害されたのは、一週間後のことだった。殺害されたのは、最初の女性と同じで、初めは三十代女性が殺害されたと報道され、その後に身元が判明すると、実年齢が公開された。そして、その後に死因が報道された。遺体のそばにメッセージが残されていることも同じで、犯人は同じだと思われた。


その後も一週間おきに三十代に見える、不老不死の女性ばかりが殺害されるのだった。



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