実験
「お前がXでしょうもないツイートばかりしてて可哀想になったから、俺が最近やってるある実験について教えてやろう」
という田中さんの長文ラインが来たのでそのまま載せます。
「うちのアパートの部屋も呪物とか色々置いてる効果か、変な視線がベランダからあったり、夜中にノックされて誰も居ないとか、そういうことがよく起こるようになった」
「極めつけが、凄く礼儀正しいセールスマンがある土曜の夕方に訪ねてきてな。何か売りつけようとしてるんだけど、内容が遠回りの上に抽象的でそれが何か解らないんだ」
「何か面白かったから、1時間くらい聞いてたらぼんやりと、自分は悪魔的存在で取引がしたいって言ってるってわかって、喜んで取引しようとしたら、白美から電話がかかってきて、セールスマンに断って、電話に出て、振り向いたらもう誰もいなかった」
「白美はめちゃ怒ってて、あんた呪われてるからお祓いしたいとか言ってくるからその場は断って、俺は以前から呪われたらやるつもりだったある実験を実行に移すことにした」
「あるユーチューバーが投稿怪談話を集めているサイトがあるんだが、そこに最近起きたことを短編怪談として投稿しまくったんだよ」
「当然、ガチの怪異なんて、怪談としての質は低いので、そのユーチューバーから読まれることはないんだが、効果は抜群でな。送るほど俺周辺の怪異は減っていった。そして例のセールスマンの話を送ったとき、明らかに身体が軽くなったんだよ」
「それからが面白かったんだが、そのユーチューバーに明らかに不幸が降り注ぎ始めた。変な理由で炎上を繰り返し、イベントは大赤字で、私生活も荒れているらしい」
「白美にその話をしたら面白いこと言っていて、創作無しの怪異純度100パーセントの怪談なんて呪いの擦り付けでしかなくて、しかも視聴者に公開されて供養されることもないのなら、擦り付けられた側でぐるぐる回るだけでしょうね。だってさ!」
だってさ!じゃねえ……この人はほんとに……。自分は擦り付けられたくないので、即座に皆さんに公開して供養します!




