逆予言者
神谷さん(仮名)の話だ。
彼が中学の頃、逆予言者と呼ばれる女子が同学年の有名人だったそうだ。
彼女は常日頃から
「あの子呪われてる」
「あの道で事故が起こる」
「あんなとこ行ったら怪我するよ」
「修◯旅行の飛行機は落ちると思う」
などと不吉なことばかり言ってくるのだが、一度も当たった試しは無く、小学校から持ち上がりだった彼の学年はもはや慣れっこで
「逆予言者が不幸なことを言うと絶対不幸なことが何も起こらないからむしろ安心」
という皆の共通認識までできていて、彼女は嫌われるどころか、温かく見守られる存在だったそうだ。
そんな不幸な言葉をばら撒く逆予言者が、3度だけプラスのことを予言したことがあったそうだ。
1つ目は小学校6年の時に教育実習でやってきたイケメンの大学生に
「あの人は凄い。神に守られてる。将来大物になる」
と断言した時で、そのイケメンの彼は十年後に赴任先の学校内の男子生徒の着替えの盗撮で捕まった。
2つ目は中1の時に、商店街のカレー屋を評して
「あんなに美味しいから絶対流行るし、1年以内にチェーン店ができる」
3日後にカレー屋にしては珍しい食中毒を出してそのままその店は閉店した。
3つ目は少し面倒で、前の話で出た某神宮について
「神様がニコニコしてるね。良いパワーをみんなに届けていると思う」
という神谷さんから言わしてみると
「おぞましい予言」をしていたそうだ。
この予言に関しては結果は分からない。
中学卒業後の逆予言者がどうなったのかわからないが、占いの道にだけは進まないでいてほしいと神谷さんは言っていた。




