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さして怖くも面白くもない創作百物語 2  作者: 弐屋 中二


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信じとらん

「滅亡予言なんてのは当たらねえんだよ」

「確かになあ」

「でも、せめて滅亡まで生きようという力にはなったりする」

「そういう人もおるやろなあ」

「すげー昔から予言というか科学的に予測されてて当たったこと知ってるだろ?」

「地球温暖化?」

「そう。そして絶対当たると言われていて見事に滑った予測もある。技術革新でな」

「石油枯渇やな」

「科学的な予測でさえこんなもんだ。夢とか勘とか当たってたまるかよ」

「珍しく信じとらんねえ」

「何度も騙されてるからな!」

「学習しようよお……」

いい加減な雑談をしている田中さんと自分は深夜の森の茂みに隠れ、丑の刻参りの見物に来ている。


なんでこんなことをする羽目になったかというと、田中さんの知り合いに不幸をエネルギーに変えると豪語している女性がいて、人に見られると厄が自分に返ってくるという丑の刻参りをあえて見せることにより、その不幸エネルギーを最大に高めて幸運を掴んでみたいから手伝ってという、頭大丈夫か?な要請の最中なのだ。


大樹に五寸釘と藁人形を打ち込んだ白装束の女性は黙って去っていった。

自分たち二人は茂みから出て、五寸釘と藁人形を引き抜く。いくら田中さんの山持ちの知り合いが許可していると言っても、こういうのを残したくはない。

田中さんはニヤリと笑うと

「お焚き上げしとくわ。完璧に儀式の邪魔をする」

「破壊しすぎて何もなくなるんじゃないの」

「丑の刻参り自体は完遂してるからな。あとは厄があいつに逆流するのを期待しよう」

自分は呆れながら頷いた。


数日後


「やつがスイ◯チ2当選した」

居酒屋で田中さんは凹みながら言ってくる。

「へー。運気上がってるやん」

「宝くじで一万円当てた」

「効果あったぽいな」

「過疎Xがバズってフォロワーが300人ふえた」

「……結構凄くない?」

田中さんは力なく頷くと

「俺は落選して、同僚の結婚で五万の出費があって、オカルトアカが炎上しててクソリプとクソコメしかこない」

「おお、何か吸われとるねえ」

「なんでお前は何も影響ないんだよ……」

「信じとらんからやろ」

田中さんはツマミの枝豆を力なく口に運んだ。

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