表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さして怖くも面白くもない創作百物語 2  作者: 弐屋 丑二


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/24

かまいたち

ここ1年ほど、午前3時などに起きるようになってしまい、時間がもったいないので、日が出る前に歩くことにしている。

午前4時とかに出るので懐中電灯で照らしながら田舎町をゆっくりと歩いていく。


荒れた地域でもないので99パーセント何も起こらない。危ない目にも遭わない。

極稀に人とすれ違うが、早朝出勤の自転車に乗ったお兄ちゃんや学生、ランニングしているおばちゃんなどで、おかしな人も居ない。


ただ1人を除いては。


いくら特定できないとは言え、人物描写をするのもなんとなく憚られるので、ぼかして書くが、河原近くの遊歩道で、真冬にすれ違ったその人は痩せた不気味な女性だった。

暗闇の中からボウッと浮き上がるように出てきて

「おはようございます」

と言った自分の挨拶を無視して通り過ぎていった。

すぐに左上腕と右のスネに痛みを感じて確認すると、ジャケットの右腕部分が裂けていて、スネには太いミミズ腫れが出来ていた。振り返るとそこには誰も居なかった。

彼女はなんだったのだろうか。


後日、友人のオカルト好きの田中さんに話をすると

「かまいたちだな、それは」

「風が起こす自然現象の?」

「いや妖怪の方だ、こんな南に生息していたのか、しかも人間に化けているとは……今度、散歩に誘ってくれ」

「その人に会ったルートは避けてる。切られた上着高かったんやけど」

「リアル妖怪と上着とどっちが大事なんだ!」

詰め寄ってきた田中さんに

「上着……」

と自分は答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ