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さして怖くも面白くもない創作百物語 2  作者: 弐屋 中二


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その先

熊田さん(仮名)は飲みの席で唐突に不気味な話をし始めた。


「会社とか家庭で失敗して絶望する事ってあるでしょ」

「しょっちゅうありますよ」

自分がそう返すと

「だよねえ。嫁とか彼女に思ってもないことでいきなり罵倒されたりなんかすると、深い穴に蹴落とされた気にならん?」

「なるなる。親しい人のキツいツッコミあるなあ」

熊田さんは満足そうにビールを飲み干し

「俺、最近気付いたんやけど、要するに深い穴に蹴落とされた時は、その絶望の暗闇を楽しめば良いわけよ」

「どういうことですか?」

困惑する自分に彼は

「みんな、自分が傷ついている状況から逃れようとするやろ?あれ、逆じゃねえかと俺は思うわけ」

「逆?」

「寧ろ肩の力抜いて、自分が落とされた深い穴を楽しめと、暗闇に自由落下していく感覚って悪くないぜえ?」

「そ、そうですかね」

何言ってるんだろうなと思っていると

「たまに、そう言う穴に降りていくと、その先で、喋る何かに遭うことがあるんよ。お前、そう言う話好きやろ」

「ま、まあ……」

しどろもどろに返答すると、彼は酔いのまわった据わった目つきで

「そいつらは色々面白いこと言いよるよ。1回、お前も試してみたらいい」

と自分に言ってきた。


半年後、彼が会社の金を横領して逮捕されたのと、この話が関係あるかは分からない。

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