秋天・蝉人間
掲載日:2020/12/10
『秋天』
胸を押さえ
独り
部屋の隅に転がっている
片隅では
テレビが横を向いて笑っている
通りの信号機が
調子外れの歌を歌っている
生まれてきたのは何の罰か
痛みにまみれた魂の
固くすぼめた背と背を
透きとおる空が
ぽってりと覆う
『蝉人間』
夏が来るたび
憎悪の限りを叫び
怨嗟の声を嗄らし
芯まで苦く焦がして
放り捨てて歩いた
恨みがましい白眼の
固く醜い体を一つ
気づけば
地図は骸で塗り込められ
私が赦される場所は
もうどこにもない
思い知ることだ
私を待つものはいない
帰る家はないのだと




