ウンディーネ
「う、うーん。ここはどこだ?」
目を開けると見知らぬ天井が見える。
体には布団が掛けられている。きっとベッドの上だ。
なんか俺目覚める度に違う場所にいるな、寝ていたのか、確か海底から地上を目指して泳いでいてようやく陽の光が見えたとこまでは覚えているけどその後の記憶がない。
ベッドの上にいるということは誰かに助けられたと思うけど。
寝すぎていたせいか体が凝ってしまっているので俺は大きく手を伸ばしたすると。
ん?なんか隣に物がある気がするな、俺は右手でそれを触って何か確認をした。すごく柔らかく物凄く触り心地がいいぞ!なんだこれ何なのかわからないが気になって次は少し強めにわしづかみにするようにしてみた。
「あっ」
え!なんだ?女性みたいな高い声が聞こえたぞ!誰かいるのかと思い右に寝返りを打ってみたらなんとお、お、女の子がいるじゃないか! しかも飛び切りの美少女がパジャマ姿ですやすや眠っている。
「うわーーーー」
童貞の性かうれしさより驚きが勝り思わず大声をあげてしまった。
「ちょっ!君だれ?なんで俺の隣にいるの!まさか俺が忍び込んでしまったとか」
そのパターンか、やっちまったのか俺異世界来て見知らぬ女の子に手を出しちゃったの?これは救えないわ、流石にだめだ、いくら童貞でもやっていいことと悪いことあるだろ。などと一人でぶつぶつ言いながら頭を抱えていた。
いや、未遂かもしれないし女の子が部屋に間違えて入ったのかもしれないしな......ダメだパンイチの男がそんなこと言って信じてもらえるわけないいいいい。ガクッと肩を落とした。
「あの、お嬢さん一つ質問してもよろしいですか?あなたはだれでなんで俺の隣で寝てたの?」
まずは状況整理のために質問しようと思い女の子に聞いてみるが女の子は泣き出してしまった。
そして衝撃的な事実を聞かされた。
「ひどい、ひどいよあんなに激しい夜を過ごしたのに忘れるなんてサイテー、鬼、悪魔」
ガーーーン、俺は脳を木づちで撃たれた可能様な衝撃が走った。
俺なにしたんだ?まさか何の記憶もないのに童貞卒したの?それはもったいない、じゃなくて最低だ俺。ひたすら女の子にパンイチで土下座をしてた。
「記憶にございません。申し訳ございません。煮るなり焼くなり好きにしてください」
政治家の様な逃げではなくガチのマジで覚えてない。せっかくの美少女のおっぱいなのに、くやぢい。じゃなくて。
「は?あなたなにほざいてんの?煮る?焼く?そんなんで済むと思ってんの?いたいけな少女の体を触っておいてクズね。あなたは私の奴隷となり、死よりも恐ろしい思いをさせてあげる。オーホホホホ」
女の子は突如表情が一変した。先程までの泣き顔から鬼の形相で俺を睨んできた。
両手を床につけ額を床にこすりつけるように押しつけ土下座をしている時目の前の女の子の顔どこかで見たことがあると思ったらカルテットの水色担当宮内愛美ちゃんにそっくりだと気づいた。
「あの、愛美ちゃんだよね?なんで異世界にいるの?」
「は?何言ってんの?気色悪っキモッ」
その言葉を聞いた瞬間人違いだと悟った。カルテットは俺が生前好きだった四つ子アイドルグループで愛美ちゃんはその三女で水色を担当していた。顔立ちは完璧に同じに見えるが性格が全く違う。あの子はこんな喋り方は絶対にしないはず。どちらかと言えば内気でややメンヘラ気質だと。
「キモいんでこっちあんま見ないでくれる?あとこれ契約書書いてねあなたの奴隷になりますと」
また契約書書くのかはぁ仕方ないか男として責任取らなきゃな。俺は自分の名前を書いた。
たか俺って勇者として召喚されたんじゃないのか?でも愛美ちゃんに似てるしいいと考えよう。
「あなたタクヤって言うのね。一応私の名前も教えてあげるわ、光栄に思いなさい。私の名前はアミ、職業は4大精霊の1つ水を司るウンディーネよ」
ウンディーネだと!確かRPGとかで出て来るアミちゃんの言う通り水の精霊として出て来るがコイツただのチンピラにしか見えないぞ。
「おい、聞こえてるぞチンピラ呼ばわりするな。そういえば一応言っとくが私はお前なんぞと寝るてないぞ、こんな冴えないやつタイプじゃないからな」
このウンディーネ高らかに笑いながら言いやがった。
「おい、ちょ待てよ!」
これモノマネじゃないからクセだから。
「それ詐欺じゃねぇかよ!」
「嘘なんかついてません、激しい夜ってなんか地震があったねって意味ですーそれに私の清い体触ったのは事実」
なんじゃそりゃそんなんでよく精霊できるな?顔はめちゃくちゃ可愛いんだよね、好きだったアイドルだし。
「契約書返せ俺はお前と遊んでる暇なんだよ」
「返しません。それに音声も録音してるし王様に言っちゃおうかなー」
ぐぬぬ、なんて奴だいきなり勇者でチヤホヤされると思ったのに奴隷スタートなんて。