説得
「あれ? 俺思考してるぞ生きてる? それとも天国? 地獄? え? え? え?」
確か俺は雪道を走り転んで頭を打って、そのあとの記憶がない。おそらく死んだのだろうでも今こうして思考を続けられているということは生きているのか?
「はは~んわかったぞこれ夢オチだろ? 全くよ~焦ったわ、でどこからが夢なんだ?目覚めたときはいつなんだ?もしかしてカルテットワンマン前日とかかな?それなら夢で楽しめ起きてまた現実で楽しめるしラッキー」
自分に言い聞かせるように独り言をつぶやく。 今何時なんだろうか……その内誰か起こしに来るだろまだ寝よ。
「…………………」
眠れない。今が夢なのか、現実なのかそれがわからない。
「ちょっと俺起きるわ」
おもむろに目を開けて体を起こす。周りが明るいのか暗いのかどこなのか何時なのかわからない。まだ目が明るさに慣れてないだけだろうちょっと見えづらいがよく見るとなにやらいる。
「え?誰?」
再び目を開け擦りよーく見てみると見覚えのある人が。
「すいません、カルテットマネージャーの田中さんですか?」
恐る恐る訪ねてみる。
「はい、私は田中でございます。おはようございますたくっちょさん」
この声は確かにマネージャーの田中さんだ。
「えーーマジですか、なんでここにいるんですか?」
あまりの展開で思わず大声を出してしまった。そして当然の疑問ここはどこなのかあの世なのか何なのか。
まず顔見知りの田中さんがいたからそこにばかり気を取られていたがどうやら俺はこの部屋の畳で寝ていたようだ。そして今起き上がり座布団の上に座っている。対面には田中さんがいて同じく座っている。間を挟むようにちゃぶ台があり湯呑がそれぞれ用意されてる異様な場所だと気づいた。
「ここは地獄でも天国でもないあなたが生きていた世界との狭間にある世界本来人間が来られる場所ではない所なんですよ。もちろんあなたは死んでいます。」
真顔と言うかまったく表情なくひょうひょうと言われてしまった。
「狭間の世界?よくわからないけど死んでることには変わらないんですね」
そりゃあそうだな雪道で転んで死ぬなんて夢オチとかアニメじゃないんだから。
「はい、たくっちょさんは死んではいますが先ほども言った通りここは狭間の世界、表であり裏であり、また裏であり表である世界の中間に位置する世界です」
え?何を言ってるんだこのおっさんはここに俺といるってことは田中さんも何らかの理由で死んだってことでしょ?頭強く打ったんじゃね?
「何やらこんがらがっているようなので説明いたしますねおバカなたくっちょさんに」
ムカッと来たが冷静に。
「あなたを基準と考えるのであれば今までいた世界が表になります。そしてもう一つ裏の世界というものが存在しておりそこにはもう一人のたくっちょさんがいます」
ぽかーん。口をあんぐり開け裏や表や脳内処理が追いつかない。
「そのもう一人つの裏の世界に転生していただこうと思っています。生き返るチャンスなので悪い話ではないと思いますがいかがです?」
「異世界ということですか?これもしかして今はやりのなろう小説みたく異世界転生してしました。俺TUEEEEなんですか!」
なんかアニメの主人公になれるかもと思ったらなんかすげえわくわくしてきた。
「能力もありますし強いと思いますよ。それに現段階では元いた世界には戻れないので転生するのが妥当だと思います」
能力あるってことは強い、そして異世界転生といえばハーレムだよな!むふふふふ。今とんでもなく鼻の下を伸ばしていやらしいことは考えておりませんよ。
「転生する目的は例によって魔王討伐ですか?」
なろうならお決まりの展開だろうなと思った。
「もちろんでございます。魔王を倒して英雄になっちゃってください」
魔王の事なんて1mmも考えておらずハーレムのことばかり考えていた俺は下半身がTSUEEE状態になるのであった。