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それでも幸せです。  作者: 麗華
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ノンフィクション

1976年7月東京都

芸能プロダクションやBARなどを経営するかなりぶっ飛んだ父親と家庭や子供をほったらかし全てを家政婦に任せ遊び歩く母親の元、次女として誕生した麗華。

麗華には4つ上の姉がいました。

父親と母親がいない生活の中で、麗華が唯一甘えられる存在、それが姉でした。高熱を出しても傍に居てくれるのは姉だけ。夜泣きをする麗華を優しく抱きしめてくれたのも姉でした。

1983年父と母が離婚。麗華と姉は母に引き取られ、母の故郷である茨城県へ移住。

後にその時のことを麗華は「離婚のおかげで母が家に居る生活になり幸せだった」と振り返っていました。

ですが、そんな幸せな生活は長くは続かず、麗華の母は恋人を作り子育てより恋人に生活を捧げるようになったのです。その頃から麗華と姉は祖父母に預けられるようになりました。幸い祖父母は優しく、麗華と姉にありったけの愛情を注いでくれました。ですが、そんな幸せな生活も、祖父母の老いからピリオドを打つこととなりました。その頃麗華は小学5年生、姉は中学生でした。複雑な家庭環境に嫌気がさした姉は、家出を繰り返しほとんど家に居ることがなくなりました。麗華は唯一の存在を失い途方に暮れました。

その頃から母の暴力と暴言が始まりました。麗華は1人母からの仕打ちに耐え続けました。麗華が中学生になる頃、母が恋人とのトラブルの末、自殺未遂。大量の睡眠薬を飲み意識不明で倒れている所を麗華が発見しました。麗華は母親が死んでしまうかもしれない恐怖よりも母親の情けない姿に失望しました。

1989年9月13歳の夏、麗華は家を飛び出し帰らなくなりました。暴走族、シンナー、麗華はこの世の悪全てを受け入れ荒んだ生活を送るようになったのです。

後に「荒んでいたけれど仲間と一緒にいる時は寂しさから解放され幸せだった」と麗華は話していました。

1990年11月母親がスナックをオープンしたのをきっかけに麗華の家出生活にピリオドが打たれました。それと同時に姉の家出生活にもピリオドが打たれました。母親が経営するスナックを手伝えと無理矢理、姉妹を家に戻したのです。麗華と姉はまだ未成年でしたが売上のためと毎日浴びるほどのアルコールを飲むこととなったのです。まだ14歳だった麗華は時々、急性アルコール中毒になり激しく嘔吐し意識を失うことがありましたが母は警察にバレる事を恐れ病院には連れていきませんでした。

1990年母の経営するスナックに町のヤクザが出入りするようになりました。その頃はまだヤクザ稼業が盛んで、まるでヤクザ映画の世界そのものでした。

そして、麗華の地獄の日々が始まったのです。

ヤクザの組長から圧力がかかった母は店を潰される事を恐れ麗華を売ったのです。麗華は母に言われるがまま組長の愛人になりました。母が恐かったのではなく組長が恐かった麗華は守ってくれるはずの母親に売られた事によって逃げ場を失ったのです。まだ中学生だった麗華は当然自分を守る術など身についてはいませんでした。恐怖と絶望の中組長との関係が始まりましたが、後に「組長は良い人だった!私の家庭環境を察して父親のように可愛がってくれた」と麗華は話していました。初めは地獄だった麗華の生活は組長の愛情と優しさでいつかしか幸せなものと変わっていきました。麗華はやっと姉以外のみかたを見付けたのです。

1994年麗華は同級生の男の子に恋をしました。初めての恋でした。男の子と麗華はすぐに愛し合う仲になり同性が始まりました。麗華にとっては初めての温かい家庭、自分の家、幸せな日々でした。

1995年同棲から結婚。麗華はやっと母親から解放されると安堵の気持ちでいっぱいでした。結婚を機に組長との愛人関係にピリオドが打たれました。麗華は結婚した事により生まれて初めて目の前が明るく見えました。

1996年麗華は女の子を出産。爽やかな花が咲き誇るようにと爽花と名ずけました。麗華は幸せいっぱいの中、幼少期の頃からの癖で「この幸せはいつまで続くのかな」とぼんやり考えていました。ぼんやりと考えていた事が日々の生活の中で危機として襲いかかってくるのにそんなに時間はかからず、出産して3ヶ月が立つ頃には幸せな生活は一変し未だかつて無い不幸が麗華を襲っていました。

旦那の浮気、暴力に耐える日々が始まったのです。

それと同時にお義母さんが旦那の給料を根こそぎ持って行ってしまう始末。赤ん坊のオムツを買うことも出来ず、麗華は止む無く夜の仕事に出るようになりました。

旦那は麗華が赤ん坊に母乳をあげている時でさえ暴力をふるいました。麗華は旦那の容赦ない拳が赤ん坊にあたらないよう必死に赤ん坊の盾になりました。何度も離婚を考えましたが麗華には帰れる場所がありません。母親の元へ帰るくらいなら旦那の暴力の方がましと耐え続けたのです。耐え続けて何年かすぎた頃、旦那の暴力が少しづつ減り始めました。麗華に興味を失った旦那は浮気相手の元から帰ってこなくなりました。麗華は暴力から解放されましがそれと同時に孤独を味わう事となったのです。時々帰ってくる旦那を待ちわびる生活。帰ってきても麗華に暴力をふるい、また浮気相手の元へ戻っていく旦那。それでも麗華は旦那の帰りが嬉しかったと後に話していました。

2005年麗華は次女を出産。爽やかな花が咲き誇り夢の花がメロディーを奏でる、そんな思いを込めて夢花と名ずけました。勿論、幸せいっぱいの出産とはいきませんでしたが麗華は次女の誕生を心から喜びました。麗華が幼少期に姉の存在に助けられたこと、その想いが強くあったため、二人目を強く望んだのは麗華でした。旦那は相変わらずでしたが麗華は愛情いっぱいふたりの娘を育てました。結婚して10年が立った頃お義母さんが同居を強く願うようになりました。麗華はさんざん苦しめられたお義母さんとの同居は気が乗りませんでしが旦那からの暴力を恐れ同意。

2006年同居がスタート。旦那はお義母さんと言う最大のみかたを付け、今まで以上に麗華に猛威を振るうようになりました。麗華が旦那の暴力に身を縮め必死に耐えている姿をお義母さんは笑みを浮かべ眺めていました。その時のお義母さんの顔は鬼より恐ろしかったと後に麗華は話しています。麗華は旦那の暴力に耐えお義母さんの暴言、罵声に耐える日々に等々心が壊れてしまいました。

2007年麗華、手首を切って自殺未遂。

血だらけの姿で床に横たわっていた麗華を爽花が発見しました。3日間の入院。帰宅した麗華は更なる地獄を味わうことになりました。夫婦の寝室、麗華の目の前で繰り広げられる旦那と浮気相手のsex。麗華はいつしか感情を持たない人形となっていきました。

そんな麗華でしたが、娘ふたりとの時間はとても幸せで穏やかだったと後に話しています。

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