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7:同居決定

「な、なんでそれが分かっんだ?」


 転移者だって答えた覚えは無いぞ。


「やはりか。新米冒険者がサイクロプスを撃退したと聞いたときから怪しいと思っていたんだ。レベル4でその強さか。やはり転移者は恐れ入る」


 どうやらこの爺さんの頭の中では俺は転移者で確定しているようだ。いや、実際にそうなんだけど。


「なんで俺が転移者だって分かったんです?」


 あ、ですます口調が復活した。一瞬消えてたのに。


「そのレベルでその強さは転移者でないとありえぬ」


 マジか。俺ってすでにそこまでチートだったのか。


「して、君には昇格試験を受けてもらおうと思う」


「昇格試験?」


 なんだそれ? 知らんぞ。


「なんだ、説明を受けていなかったのか。それとも聞き流していたか?」


「あ、あはは」


 なにも言い返せない。もしかしたらそんなのもあったかもな。


「仕方ない。ワシが説明してやろう。と言っても短いがな。昇格試験は、冒険者ランクを上げるための試験だ。受験するには、一定以上の功績を収める必要がある。Cランクまでは戦闘試験のみ、Bランク以降は筆記試験も加わる。ZランクとSランクはこの2つの試験に加え、国から功績を認められる必要もある。なお、他国ではSランク以上でもAランクと見なされるため注意が必要だ。今の君にはまだ関係無いだろうがな。まったく、この程度の説明も聞いていなかったとは」


「は、はは」


 こ、この程度なのか? 苦笑いしかでないよ。


「今回君に受けてもらう昇格試験だが、Cランクの試験を受けてもらおうと思う。本来ならば、一定の功績を収めなければならないのだが、転移者は特例だ。全ての冒険者ギルドにおいて認められておる」


「そうなんですか。ありがとうございます」


 転移者に至れり尽くせりだな。昔なにかあったのか?


「と言っても今日はもう遅い。ワシの家に泊まると良い。昇格試験はまた明日だ」


 言われてみて窓の外を見ると、空は夕暮れに染まり始めていた。この爺さんと同居か。できるのなら断りたいな。だれがお偉い爺さんと同居しようと思うんだ。めんどくさいだけだろ。


「って、なんでそこまで転移者に良くしてくれるんですか?」


「……この国は、いや、人族は少なからず転移者に恩を抱いておるのだよ。それより、今日から同じ家に住む身だ。もっと気軽に話すといい」


「はあ」


 うまくはぐらかされたな。てか今日からて、この爺さんの家に永住するのか? 引っ越しぐらいはしてもいいよな?


「さあ、ついてこい。ワシの家に行くぞ」


 あれ、仕事はいいのか?


○●○●○


「ここがワシの家だ」


「え、これ?」


 なんと言うか、周りの家と比べても小さいし、そもそもボロ屋だし。ギルドマスターの家っぽくは無いな。どちらかと言えばちょっと貧しい人が住むイメージだ。


「ふっふっふ、そう思うだろう? さ、中に入るといい」


 なんでこの爺さん自信たっぷりなんだ? まあ、入るか。


「失礼しまーす」


「そんなにかしこまらなくてもいいぞ。これからこの家は君の家でもあるのだからな」


「はあ、そっすか」


 ちなみにこの爺さんとはここまで歩いてくるまでの間に打ち解けている。


 ギィィィィ(扉を開ける音)


 大丈夫か、この家。すぐにでも壊れそうだぞ。


「ここから入るのは何年ぶりだったか」


 え? そんなに入り口がたくさんあるような家なの? そうは見えないけど。


「……なにも無いような」


 てかこの家地下室があるのか。下へ続く階段があるぞ。逆に言えばそれしか無いが。


「階段があるだろう。さ、早く行くぞ」


 俺が立ち止まっていると、爺さんがスタスタと階段を降りていった。まあ、ついていくか。


○●○●○


 階段の先には、鉄製の扉があった。それだけだ。


「ええっと、ここ?」


「うむ。今開けるから待っておれ」


 爺さんはそう言うと、扉をペタペタと触り始めた。気持ち悪いな。


「これを開けるのは久しぶりだからな、鍵穴はどこだったか。お、見つけたぞ。あとはこの鍵穴に対応する鍵は……これか」


 流石にギルドマスターの家なだけはあって、ロックは厳重なようだ。


 ゴゴゴゴ(鉄製の扉が開く音)


 爺さんが細い円柱を扉に埋め込むように突き刺すと、扉が左右にずれて開いた。


 そしてそこにあったのは、鉄製の扉だった。


 2重扉か。かなり厳重だな。


「やはり先程の扉は開けるのが面倒だな。開けっ放しにしておくか」


 前言撤回、この爺さんあっさり扉を1枚にしたぞ。


「後で魔力を登録しなければな」


 爺さんがぶつぶつ呟きながら扉に触れると、今度は音もなく扉が地面に沈み始めた。


「これが、ワシの家だ」


「んな」


 扉が沈みきってそこにあったのは、夕日に照らされ赤く染まった草原だった。

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