2:町へ
……知らない空だ。
いやー、ここは知らない天井が良かったな。でも天井なんて無いしなー。あるのは青く澄みわたる空と明るく輝く太陽だけだ。
周りを見回してみると、俺の周りは芝生に囲まれ、右に森があり、左には大きな川が流れている。そして、その川をまたぐようにして、高さ3メートルはある壁に囲まれた町があった。どうやらここは町と森に挟まれた草原らしい。
ここはやっぱり町に向かうべきか。筋力がどれぐらい強いのか道中で力試しができるといいな。
町までは遠いし、景色を楽しみながら行くか。
……こうして歩いてると異世界に来たんだって言う実感がわくな。モンスターとかでないかな?
「キュー」
お、噂をすればなんとやら。ファンタジーの定番、スライムのおでましだ。見た目は水色で、中にある青い石が透けて見える。
あの青い石を潰せば良いのか? とりあえず殴ってみよう。
グシャ!(スライムが粉々に潰れる音)
……あれー? おっかしーなー。そんなに強く殴ったつもりは無いんだけどなー。……きっとこの世界のスライムはものすごく物理に弱いんだろう。うん。とりあえず運よく残った青い石だけ持ってくか。
……あっちに手頃な岩があるな。……筋力を測るならやっぱ岩だよな。殴るか。
ドゴォッ!(岩が粉々に砕け散る音)
うん、俺は強い。
それじゃあ町に向かうか。
○●○●○
そんなこんなで町に着いた。え?なにか無かったのか、だって? なにも無かったよ。強いて言えば門の前の列に並んだぐらいだ。
門には数人の人が並んでいて、門番になにかを見せてから町の中に入っていく。え? 身分証明とか持ってないんですけど。
どうするかと考えているとすぐに俺の番が来てしまった。ここは身分証明が実は必要無いことに賭けよう。
「なにか身分証明になるものを持っているか?」
ですよねー。うん、知ってた。
「持ってないんですけど、どうしたら良いですかね?」
ここは下手に出て好感度を上げる作戦で行こう。
「ならこれに触れ」
門番は黄色い玉を差し出してきた。
「なんですか? これ」
魔道具とかか?
「これに触って青色に光ったら問題ない。赤色に光ったらお前は犯罪者。即刻逮捕だ」
うおっ、こえー。赤色には光らないだろうけど即刻逮捕って、こえーな。黙って触っておこう。
光る色は……青色、セーフ。
「うむ、では町への入場を認めよう。できるだけ早く身分証明を作っておくことをオススメする」
良かったー。赤色には光らないって分かってても緊張するな。
それにしても身分証明か。どこで作るんだ? ギルドか? 一応訊いといた方がいいな。
「どこで身分証明を作れますか?」
「色々あるが、腕には自信あるか?」
腕って、力のことだよな。筋力には自信あるぞ。なにせ、岩を砕いたからな。素手で。
「もちろん」
「なら冒険者ギルドに登録することをオススメする。あそこなら力さえあれば大抵のことはなんとかなるはずだ。冒険者ギルドは門を通ってまっすぐ進み、東広場の左手前にある剣と杖が交差したマークの建物だ。東広場には大きな噴水があるからすぐ分かるはずだ」
つまり噴水の左手前にある剣と杖のマークの建物と、覚えたぞ。
「ありがとうございました」
感謝の気持ちは忘れない。これ重要な。
「おう、頑張れよ」




