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天使に魅せられて  作者: 蒼卯月
2/2

1。

女の子がやっと出ます。ちょぴっとですけどね。

どうか読んでくださると嬉しいです。


桜が舞い散り、地を桃色に染める。

語彙の弱い俺の感想だが、めちゃめちゃ綺麗だ。

ここ、久野原高校は春を迎え昨日、新入生の入学式を終えたところであった。

そして翌日の四月十日現在、俺は校門にやってきていた。なぜかと言うと、こ

の学校では毎年盛大に騒がしく、部活動の勧誘活動が行われている。たくさん

の群衆の中に俺もいた。どうも、部活動をやってる連中というのはこの勧誘活

動に参加しないといけないらしい。ちなみに、部の代表だけここにいればよい

のだが如何せんうちの部は人がいない。いないというか、俺しかいない。

俺としては別にこのままでもいいのだが、参加しないと顧問がうるさいのだ。

というわけで、部の代表を背負って校門前にいる。


「サッカー部でーす!可愛いマネージャー募集してまーす!」


「野球部でーす!目指せ甲子園!」


「卓球部でーす!手軽に始められて簡単ですよー!」


「軽音部でーす!軽ーい音楽やってまーす!」


それぞれの部活代表が、大きく声を張り上げる。

ん?なんか桜が丘高校の生徒混ざってない??

あと、卓球はそんなに簡単なスポーツではない。あのゲーム超難しい、打つと

毎回球が虚空に吸い込まれるもん。

そんなことを考えていたせいで、卓球の素振りの真似をしてしまった。

その素振りは実に無様な素振りだったのだろう。まるで芸人かなにかのようだ

っただろう。

そんな俺の様子を見ていた新入生がクスクスと笑っている。周辺にいた他部の

部員たちも笑っている。ルール、ルルッルー!今日もいい天気!!!!


脳裏にサ○エさんのオープニングが横切るのだが、気にしている場合ではない。

ヤバい、めっちゃ恥ずかしい。俺の顔は紅潮していく。目つきの悪い、出来の

悪い顔が赤く染まる。今すぐこの場から逃げ出したい衝動に駆られたが、そう

は問屋がおろさない。朝のHRが始まるまでの時間は、今日だけはこの場にいな

いといけないらしいのだ。また、「帰ってきたら肩パン十発な」と顧問に念を

押されている。

ちなみに肩パンとは、二の腕の上部をただパンチされるというものだ。とても

痛い。クラスではうぇいうぇい騒ぎながら仲良く肩パンしあうという謎光景が

繰り広げられている。ほんとに訳がわからない。ちなみに俺は基本ぼっちなの

で、うぇいうぇい言いながら人とじゃれあうことも、痛みを味わうこともない。

しかし、前述した痛いという感想は顧問から味あわされた肩パンの感想だ。

俺がこの勧誘を面倒だと駄々をこねた時にパンッと一発もらったのだ。すげえ

痛かった。あの人、生徒の影響受けすぎだろ。最近流行ってる妖ストとか、パ

ズノラとか楽しそうにやってたし。


多勢の視線も数十秒後には俺から離れていく。ようやく落ち着いたので、俺も

勧誘に戻る。いや、突っ立ってるだけなのだがね。


新入生の登校もそろそろ終わるだろうその頃、周辺にどよめきが生まれる。ザ

ワザワと騒がしくなっていく。どよめけばそれは気になるもので、俺も下に向

いていた目線を、どよめきの元へと向ける。そこには、瓜二つの少女。とても

似ていて、ほんとに同じ人間が二人いるようだ。瓜二つの顔は端正に出来上が

っていてとても可愛らしい。しかし、顔から下へと目線を落としていくと若干

の違いが見えてくる。双方華奢ではあるが、片方は凹凸がハッキリした体つき、

もう片方は平坦だな。料理ができそう。あ、こっち見てる、こわっ睨んでる!

俺の失礼な考えがどこかから漏れてしまったのだろうか。どこかわからねえけ

ど栓しとこ。

美人の双子は挨拶しながら群衆の中を進む。進むにつれて、双子の姿は人の波

に飲まれていった。



x x x



新学期のオリエンテーションだけで済んだ今日の午後。俺は誰よりも早く教室

を去り部室へと向かう。放課後の慣れ合いというのは、俺には無縁のものなの

だ。だって、友達いないし。高校生活も二年目に入ったが、去年も友達はいな

かった。気づいたら一年経っていた。どういうこった・・・。友達は、ほしい

よ。自分の趣味とか多少なりとも共有したいし。でも、なんだかなぁ、話しか

けていけないんだよね。まぁ、今年はなんとかできるかもしれない!ワンチャ

ンワンチャン!うぇーいうぇーい!

部室への道はすこしばかり遠く、生徒が授業を受ける棟とは別の棟に存在して

いる。映像研究部は、ちょっと特異な扱いを受けている。機材の管理などの事

情から少し離れた特別棟に存在しているのだった。特別棟には、一度外に出る

必要があるので、まず靴箱へと向かう。他の文化部はこの手順を踏む必要はな

い。授業棟に全て収まりきっている。

靴箱を出ると、まだ昼なのでほぼ真上から日が射す。暑いと言うにはほど遠い

が、暖かみを帯びた日差しだ。

桜が舞う。靴箱を出たこの場所からは校門が見えている。そして、今朝の勧誘

の時に見た双子の姿を思い出す。


「可愛かったなぁ」

片方はぺったんこだったけどな。

あんなに可愛らしい女の子がもしも部活に入ってくれたら、なんてあるわけは

ないだろうな。部員が増えようが増えまいがと思っていたはずなんだが。あの

二人ならなんて思っていた。これが、美少女の力ってやつか。存在だけで人の

心を動かす、美少女ってやっぱ大事!


ぼやぼや考え事をしていたら特別棟へとついてしまった。特別棟の入り口に靴

を並べ棟内に入る。映像研究部は、特別棟に入って左手のすぐに存在する。


部室のドアをガラッと開ける。すると


「あっ!やっと人が来た!」


「あっ、本当です!」


そこには、今朝見た瓜二つな双子美少女がいた。

開いていた窓から暖かい春風が吹き込む。爽やかな風は、片方の長く美しい黒

髪ともう片方の膝上程度のスカートを軽く揺らした。


俺は、ありえないと思っていた光景に脱力している。肩にかけていた鞄はドサッ

と音を立て床へと落下する。


――まじかよ。





ここまで読んでくれた方がいたのならありがとうございます。

展開が早すぎますね。セリフもほぼほぼないですし。次からは多少増えるはずです。

また読んでくれたら嬉しいです。

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