6.続く搾取の嵐
先の一銭すら払う気にならない、と言う言葉に疑問を持った方はいらっしゃるだろうか。もしいるなら「そこまで熟読する程暇なのか」と称賛の声を送りたい。そう、本来ならば最初のコース契約で支払いは終了しているのだから、以降金銭を支払う機会など無いはずである。それは幾度となく確認を重ねた、ある意味最も重要な大前提であると言って良い。しかしわざわざ明文化している時点でお気づきの方もいるだろう。この大前提は脆くも僅か数カ月の間に崩される事となるのである。
あれは恐らく、契約から2、3カ月が経った頃だっただろう。またカウンセリングでトニックを毎日使えだの、アレは食べるな、アレを食べろだのと言う話を聞かされるのかと思いきや、その日の先方は少し様子が違った。持ってきたのはモノクロのチラシだ。何故カラーの原本ではなくコピーを持ってきたのかは今更知る由もないが、そこに書いていた内容と比べたら些末な事だ。それはとあるセールのチラシだったのである。何かと言えば、サプリメントの。
なんでも、クリスマスキャンペーンか何かで値下げをしているので、土台を作っている今の時期に飲んで欲しいとの事である。無論コースとは別料金、言い換えるのなら金を追加で払えと言う意味である。筆者にはもう返す言葉がなかった。手持ちがない事を理解した上であのコースを選び、その上でこんなものを勧められるとは思わなかったのだ。ただ、3カ月時点ではまだ辛くても効果を期待する心が多少なりともあった。今にしてみればここがもう見切りどころだったではないかと思わなくもないが、過去は変わらないのである。なんとか金を捻出し、筆者は3カ月程この薬を飲み続けた。ちなみに記憶違いでなければその後も同じ薬を勧めるキャンペーンを受けた気がするのだが、これを書いているのが12月と言うあたり、あの時のキャンペーンもクリスマスだからと言う事ではなかったのだろう。
何はともあれ、筆者はそこで決心した。これ以降、金輪際ここで金は使わない。勧められたら全て断る。例え1000円単位であっても、である。なにをせせこましい事をと思われるかも知れないが、小心者の筆者はここまで決めないと決断できないのである。実際のところ、この後に「髪になじむブラシ」などを勧められた時はしっかりと断る事ができたのだから成果は上々といったところだろう。あとは何某かと言う胡散臭いネット薬局でクスリを買うようにも言われたが、半分は上の空でその後すぐに逃亡してしまった為に定かではない。