3.一気に多重債務者に
当然と言っては当然だと思うのだが、2000円につられた筆者は髪の為に100万も支払うつもりはなかった。最初はお試し程度の心づもりで、3カ月の契約から開始した。金額は確か30万程度だっただろうか。こちらのコースの内容は大まかに、週一度の施術、生活改善に関するアドバイス、トニックによる髪への栄養補給などが行われる。まずはトニックに関して聞いて頂きたい。
リーブでは効果と金額の違う数種類のトニックを用意していて、相手の進行具合や懐具合によってどれを使うのか決定するのだという。当然のごとく経済的に明るくない筆者、まだ年齢も若いと言う事もあり、一番安い数千円の物を利用する事になった。
しかし、いざトニックを購入しようとオフィスを訪れると、その相談をした者とは違うスタッフに対応され、カルテも確認しないのか勧められたトニックよりも一つ高い物が用意された。疑問に思ったものの当時はシステムもよく分かっておらず、念のため「結構値段しますね……」などと確認にもならない確認をしただけだった。無論そんなものは意にも介されず、後に用事もあったのでその場は泣く泣くそのトニックを購入して帰る事となる。
今にして思えば、当時は間違いが発覚すれば次回からはちゃんと元にもどしてくれるだろうし、運が良ければ返金もされるかも知れない、などと考えていたのだろう。しかし、それが甘い考えであった事はこの後に思い知る事となる。
次の週の施術後、カウンセリングの時間を設けてその時の話をした。しかし、話題を先方から振ってきたかと思うと、話はあさっての方向に向かって行った。なんと、返金をするどころか、一度今のコースを解約し、そのトニックを使ったもっと高いコースに変更したらどうだと勧められたのだ。
先方が言うには、私が予算の関係であまり長い間は通えない事を見越して、コースを終えた後にもホームケアができる機材がセットになるコースにしたらどうだ、と言う事らしい。そちらのコースならば先日購入したトニックはコース料金に含まれているので、以降の購入は必要ないとも言っていた。
正直この時点で不信感を抱いていたのだが、先方の言葉も一理あるものではある。聞けばこれで必要なものはほぼ出揃い、以降は出費もないだろうとの事なので、そこの部分に関して重々に言質を取った上でコースの変更をする事とした。
とはいえ、コース料金は先払いであるため既に支払いは分割で始まってしまっている。よって返金を受けて残りの支払いを一括で済ませてほしい、との事だった。言われるがままに返金を確認し、カード会社へと連絡をした筆者。しかし驚くべき事にその返答は、一度支払いが始まると一括での返済はできないという物だった。駄目と言われては当方ではどうする事もできない。結局今回のコースの料金のローンに加え、金は戻ったとは言え前回のコース料金の支払いもする事となり、それは今でも継続している。派遣社員きょうげん愉快、20代にして多重債務確定の瞬間だった。