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全部で千歌、二十巻、古今和歌集と名付けられました。
このようにして集め選ばれたおかげで、山の水源は確保され、後の大河の流れのもとともなる書が完成したのであります。
人麻呂はもういませんが、その時代の喜びや悲しみの様子を知ることが出来るのもこの歌の文字が残っているおかげ。
どんなに時が流れ、世の中が変わろうとも、雲の流れる歌、鹿の鳴く歌などを聞くだけで、貫之らもその時代に生まれて同じ時を歩んでいるかのように感じ、喜びを感じるのです。
歌の中では青柳の枝はつねに絶えず、松の葉も散らず、真拆の葛も朽ちず、鳥もずっとそこにいます。
歌がどういうものかを知り、その心を得た人というのは、大空の月を見るように、古代を仰ぎ見て、まるで今のように見ることが出来るのです。
古今和歌集もそのように受け継がれていくことを願います。




