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龍田河に流れる紅葉が、帝の御目に錦と映った時の歌。
※竜田川紅葉乱れて流るめり 渡らば錦中や絶えなむ
よみびと知らず(一説に奈良の帝の作という) 古今集5秋下 No.0283
(簡易解釈:竜田川に紅葉が舞い散り流れている、私が川を渡ればこの錦はかき消えてしまう)
吉野の桜は臣下の心には雪と見えたようです。-注1
※み吉野の山辺に咲ける桜花 雪かとの見ぞ誤またれける
紀友則 古今集1春上 No.0060
(簡易解釈:吉野の山桜、まるで雪と見間違えるかのようだ)
【注1:原文には柿本人麻呂が詠んだ歌としてあり、また、雪ではなく雲となっている】
これら詠まれた時の様子の多くは今では見ることができません。
富士山には煙もないし、長柄の橋も別物となっています。
歌の中でのみその出来事や情景を今でも知ることができるのです。




