18/33
5-1
歌集のなかにはそういった先例の古歌の様式を継承したものが多く収められています。
頼りなき花を折ろうか折るまいか悩む歌。
※心当てに折らばや折らむ初霜の 置き惑はせる白菊の花
凡河内躬恒 古今集5秋下 No.0277 百人一首 No.029
明月の良さとともに暗闇の必要さについても述べて、良し悪しと論じた歌。
※且つ見れど疎くもあるかな 月影の到らぬ里もあらじと思へば
紀貫之 古今集17雑上 No.0880
(簡易解釈:確かに良い月夜だが、明るすぎて暗いほうが良い時もあるだろ?)
細れ石(小石)が大岩となることや筑波山に掛けて君を想う歌。
※我が君は千世に八千代に 細れ石の巌となりて 苔の生すまで
よみびと知らず 古今集7賀 No.0343
※筑波嶺の此の面彼の面に陰はあれど 君が御影にます影はなし
よみびと知らず 古今集20東歌 No.1095




