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遠き場所へたどり着くのも足元の第一歩から始まり、高き山も塵埃(チリとホコリ)から始まります。
歌もまたこれと同じく長き歴史の上に成り立っているのです。
さて今の世の中、お世辞のような美辞麗句がもてはやされ、取るに足らないようなつまらぬ歌のみが氾濫しており、本当に良い歌はそのような歌ばかりを好む家々によって埋もれてしまっています。
歌の歴史を考えれば、それが歌の使い方ではないと分かるはずです。
古の帝の時代には、春の花の移ろうごと、秋の月の夜ごとに臣下を集めて歌を献じさせ、その歌の内容によって、臣下の心を読み、賢愚さえも判断していたのです。




