04 プレゼント(1)
プレゼントを渡そうと思い立ったのだけど、何をあげたらいいのか全然分らなかった。散々悩んだ末、竜岡さんに相談してみようと思った。『先輩』に聞くのがいいだろう。
部活のない放課後、駅近くのファーストフード店で付き合ってくれた。
「本人が欲しいものが一番じゃないかしら」
竜岡さんは軽く首を傾げながら言った。
「そうなんだけどね、ギターなの」
さすがに高価すぎた。
「ちょっと無理ね……アクセサリーとか、つける人?」
「全然」
想像してみたけど思わず吹き出しそうになった。
「それじゃあ服なんてどう?」
「服、ね」
「Tシャツとか、それほど高くないのもあるよ」
そういえば普段からよくTシャツを着ている。それもいいかな。
相槌を打ちながら聞いていたが、気が付くと竜岡さんは私を見て笑いをこらえていた。
「え……?」
「ううん、吉山さんってカワイイな」
一般的に竜岡さんがカワイイというのだけど。それを言うとクスクス笑い出した。
「普段はクールな美人さんなのに、そういう事で悩んでいる姿がカワイイの」
「そ、そんな……」
面と向かって言われると、とても恥ずかしい。私は恥ずかしさに竜岡さんより小さく縮こまった気がした。
この後もいくつかアドバイスをもらった。
「色々ありがとう」
「でもね、吉山さんが選んだ物は何でも喜んでくれるよ」
「え……」
「真剣に考えてる気持ちが伝わって来るもの」
にこやかに竜岡さんは、そう言ってくれた。気持ち。そうだ、それが一番大事だった。
「それで、ちゃんと報告してくれるのかしら?」
飲みかけたシェイクを吹き出しそうになった。
「報告?!」
「きっと中里さんも、手ぐすね引いて待ってるよ~」
「そ、そうなの?」
いたずらっぽく笑いながらも、恐ろしい事を言う。
「お相手が鳴海君じゃなくて、えーっと……」
「辻村、君」
「そう。辻村君だって所から聞きたがってたよ」
「う……」
追及が怖い。
「顔は見たけど優しそうな人ね」
「うん、とても優しい」
「ロックを歌うような人に見えないわ」
カズ君を知ってる人はもっとそう思っただろう。
「でも歌うと全然違うよ」
「ふぅん、ぜひ聴いてみたいな」
どうも信じられてないようだけど実際に聴けば分かるはずだ。
「多分、文化祭に出るよ」
「鳴海君がドラムというのも意外ね」
「それもよく言われてた」
相談事以外にも話題が尽きず、すっかり帰りが遅くなってしまった。しかし竜岡さんのアドバイスに自信がついたので、相談して良かったと思う。
日曜日に少し遠出をしてプレゼントを買いに行った。町には店が少なく、選択肢が限られてしまうからだ。
慣れない買い物が終わった時には疲れてしまった。
散々悩んで選んだTシャツは、きっとカズ君に似合う……ハズだ。お店でプレゼント用に包装して貰った。
それとあわせてメッセージカードも買う。今机の上にあり、何を書こうか考えている。
(お誕生日おめでとう、と。あとはどうしよう……)
こういうのは勉強よりもずっと難しい。




