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明日のうたが聴こえる2  作者: 人見くぐい
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03 新バンド

その名前は『RISE』

「レイ君が考えたの?」

「各自で案を出したけど、全員一致でレイ君の案に決まったよ」

「上がる、上昇……そんな感じの意味ね」

「レイ君曰く、演奏の腕も名前も上を目指すって」

『STIMULUS』は興奮や刺激を感じてもらいたい……と言っていたが、『上昇』もレイ君らしい。

練習は今までと同じレイ君の家で行い、初めはコピーを中心に練習してそのうちオリジナルも増やしていくそうだ。曲はやっぱりレイ君が作るという。


バンド名が決まった後にカズ君を通して新しいメンバー二人を紹介された。

畑君はくせ毛が伸び気味で目元が見えにくく、表情がやや読みづらい無口な人。

飯沼君は中学でバレー部にいたという、長身の人見知りしない人だ。

畑君も背は高いので、4人が並ぶとリーダーのレイ君が一番小柄なのが可笑しかった。



慌しかった学校もようやく慣れてきた。西高は全体的に女子生徒が少なく、初めは女子でかたまっている事が多かった。

私はレイ君の事を聞いてきた中里さんや、後ろの席にいた竜岡さんと特に仲良くなった。

中里さんはテニス部で、小麦色の肌にベリーショートが印象的な人だ。

竜岡さんはお嬢様みたいと思っていたらお家は保育園を経営していて、本当にお嬢様だった。そして意外にも中学生の時に彼氏がいたという。

その辺の話に一番食いついていたのは中里さんだ。

(大賀さんも同じ反応するだろうなぁ)

中里さんのほうが背はずっと高いが、なんとなく雰囲気が大賀さんに近い。


私も決めていたバスケ部に入部した。しかし元々女子生徒が少ないせいか、部員も中学校の時と比べてかなり少ない。

そして残念ながら試合に出場してもそれほど良い戦績をあげていなかった。でも決してやる気が無い訳ではなく、みんな真剣に練習をしている。

(すぐに結果は出ないかもしれないけど、頑張ろう)

またバスケに打ち込む日が始まり、それが続いた。バンドの練習も始まったけど全然聴きに行けなかった。


カズ君も言っていたとおり野球部へ入った。その上週に4日の新聞配達も始めたのだ。毎日家で勉強もするし、さすがに心配になった。

「朝だし時間も短いから。それにテスト前は日曜日だけでいいって」

「カズ君がそう言うなら……でも何故バイトするの?」

「やっぱり自分のギターが欲しいんだ。本体以外にも必要なものがあるし」

ボーカルだけどギターも練習したいそうだ。

「それにもしコンテストに出るようになったら、色々かかるみたいなんだよね」

「そっか……」

もう、レイ君の家と文化祭だけで演奏する訳じゃないのだ。

「あと……」

カズ君はそう言いかけて、ハッと何かに気付いたように口をつぐんでしまった。

「どうしたの?」

「いや、何でもないよ」

いつもの笑顔で誤魔化されてしまった。


GWが過ぎ初めての中間テストが終わると、やっと落ち着いた気がした。その頃から考えていた事がある。

6月10日はカズ君の誕生日だった。



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