33 コンテストへ挑戦(4)
時間になり、いよいよコンテストが始まった。各組2曲の演奏でコピーかオリジナルは問わない。1組目は高校生のようだ。
(文化祭とは違う……)
二時審査まであるのであんまりなレベルはいないと思っていたが、予想以上だった。
(でもRIZEの方がいいな。特にボーカルは)
今歌っている人は元気がいいけど、全然歌詞が聞き取れない。
あっと言う間に1組目のバンドが終わり、いよいよRIZEの番だ。
ステージ上に次々とメンバーが現れたが、最後にレイ君が出てくると観客席がざわつく。
特に西高生達は驚きの声が大きい。それはそうだ。昨日までは普通の髪色だったのに、見事な金髪だから。中里さんは笑いだし、竜岡さんは口元に手を当て絶句していた。
他のメンバーは全く変えていないので、余計に目立つのだ。
今日は格好を無地の黒Tシャツに黒ジーンズに揃えていた。ただしTシャツは文化祭の使い回しだ。
RIZEは2曲ともオリジナルの演奏だ。
レイ君のカウントから、一斉に音が向かってきた。
カズ君もそれに負けないシャウトで続く。
普段無口な畑君のギターが派手に、お喋りな飯沼君のベースが重厚に鳴り響く。
そして遠目からみると女性にも見えるレイ君が、もの凄い勢いで音を叩きだす。見た目とのギャップに、初めて聴く観客の反応が予想通りで面白い。
それらが激しくぶつかりながらも全くバラけず、上手く調和されていた。
しかしカズ君の歌は、それら全て凌駕する存在感だ。
「また上手くなったね」
曲の合間に中里さんは楽しそうに言う。確かに曲調はハードだが聴いていて楽しい。会場全体も良い反応だ。
そのままの勢いで、2曲目へとすすむ。
カズ君の高音が一層冴え、伸びやかに響く。
今出来る最高速度でソロを叩ききったレイ君は、苦しげだけど微笑んでいた。その表情はまさに妖艶という言葉がふさわしく、比喩ではなく本当に鳥肌がたった。
メンバーは最後の方になると観客席を煽るような余裕も出てきたようだ。コンテストというのを忘れて、純粋にライブとして楽しめた。カズ君は有言実行したのだ。
全力で歌い終わったカズ君は演奏を聴きながら会場を見渡す。その時私と目が合った。気のせいではない。ニッコリと笑ってマイクを高々と上げたから。
カズ君へのお願い。
もし私を見つけられたら、そう合図をして欲しいというものだった。公私混同だろうけど今日は少しワガママを言ってみたかった。
そしてその腕を勢いよく下ろすと演奏も終わる。
同時に拍手が会場全体を揺るがした。
「初出場でベストボーカル賞って凄いわ!」
竜岡さんが声をあげたが、私は呆然としていた。
バンド自体は入賞にならかったが、カズ君個人が賞をとったのだ。賞状を貰ったカズ君をメンバーが手荒い祝福で迎える。
(おめでとう、カズ君)
それを見てやっと感覚が戻り、胸が一杯になった。




