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明日のうたが聴こえる2  作者: 人見くぐい
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34/59

33 コンテストへ挑戦(4)

時間になり、いよいよコンテストが始まった。各組2曲の演奏でコピーかオリジナルは問わない。1組目は高校生のようだ。

(文化祭とは違う……)

二時審査まであるのであんまりなレベルはいないと思っていたが、予想以上だった。

(でもRIZEの方がいいな。特にボーカルは)

今歌っている人は元気がいいけど、全然歌詞が聞き取れない。

あっと言う間に1組目のバンドが終わり、いよいよRIZEの番だ。

ステージ上に次々とメンバーが現れたが、最後にレイ君が出てくると観客席がざわつく。

特に西高生達は驚きの声が大きい。それはそうだ。昨日までは普通の髪色だったのに、見事な金髪だから。中里さんは笑いだし、竜岡さんは口元に手を当て絶句していた。

他のメンバーは全く変えていないので、余計に目立つのだ。

今日は格好を無地の黒Tシャツに黒ジーンズに揃えていた。ただしTシャツは文化祭の使い回しだ。


RIZEは2曲ともオリジナルの演奏だ。

レイ君のカウントから、一斉に音が向かってきた。

カズ君もそれに負けないシャウトで続く。

普段無口な畑君のギターが派手に、お喋りな飯沼君のベースが重厚に鳴り響く。

そして遠目からみると女性にも見えるレイ君が、もの凄い勢いで音を叩きだす。見た目とのギャップに、初めて聴く観客の反応が予想通りで面白い。

それらが激しくぶつかりながらも全くバラけず、上手く調和されていた。

しかしカズ君の歌は、それら全て凌駕する存在感だ。

「また上手くなったね」

曲の合間に中里さんは楽しそうに言う。確かに曲調はハードだが聴いていて楽しい。会場全体も良い反応だ。


そのままの勢いで、2曲目へとすすむ。

カズ君の高音が一層冴え、伸びやかに響く。

今出来る最高速度でソロを叩ききったレイ君は、苦しげだけど微笑んでいた。その表情はまさに妖艶という言葉がふさわしく、比喩ではなく本当に鳥肌がたった。

メンバーは最後の方になると観客席を煽るような余裕も出てきたようだ。コンテストというのを忘れて、純粋にライブとして楽しめた。カズ君は有言実行したのだ。

全力で歌い終わったカズ君は演奏を聴きながら会場を見渡す。その時私と目が合った。気のせいではない。ニッコリと笑ってマイクを高々と上げたから。

カズ君へのお願い。

もし私を見つけられたら、そう合図をして欲しいというものだった。公私混同だろうけど今日は少しワガママを言ってみたかった。

そしてその腕を勢いよく下ろすと演奏も終わる。

同時に拍手が会場全体を揺るがした。


「初出場でベストボーカル賞って凄いわ!」

竜岡さんが声をあげたが、私は呆然としていた。

バンド自体は入賞にならかったが、カズ君個人が賞をとったのだ。賞状を貰ったカズ君をメンバーが手荒い祝福で迎える。

(おめでとう、カズ君)

それを見てやっと感覚が戻り、胸が一杯になった。


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