曖昧だけど正確な表現ですね。~婚約破棄~
皿うどんは好きですか?
「シルク・ダージリン侯爵令嬢!貴様との婚約を破棄する!!」
年に一度、王宮で開かれるデビュータントの舞踏会で、突如キームン・ウエハウス第一王子が婚約破棄宣言。
キームン王子の腕には、デビュータントの白いドレスを着た、よく言えば可愛い、悪く言えば、ぼっさい令嬢がへばりついている。
対する、婚約者のシルク侯爵令嬢は、凛とした佇まい、誰もが二度見するほどの美女だ。
俺は、デビュータントする妹のパートナーとして舞踏会に出席している。
「何やってるんだ、キームン、勘弁してくれ」
「お兄様、これは、あれですね。
”長期旅行は楽しかったけど、やっぱり家が落ち着く~。
旅行先の割烹料理もおいしかったが、毎日豪華な料理じゃ飽きるよな。
これ、これ、小腹が空いたら皿うどんだな”
ですね」
妹は、目を輝かせて見ている。
「う~ん。そうかな、違う気がする」
「シルク侯爵令嬢!貴さまは、この可憐なアールに嫉妬し、数々の嫌がらせをした。そんな女は未来の王妃にふさわしくない」
「キームン王子、私はアールという娘を知りません」
「何をしらばっくれている。証拠は挙がってるんだ」
シルク侯爵令嬢の反論に、キームン王子はご立腹。
そこへ、キームン王子の後ろに控えていた、インテリ眼鏡のグレイ侯爵令息が声をあげる。
「証拠をお見せします。○月〇日昼休み後、アールの教科書が引き裂かれました。みなさん見て下さい。これが引き裂かれた教科書です。シルク侯爵令嬢が、教科書を引き裂いている姿を見た目撃者もいます」
「私は見ました。シルク侯爵令嬢が教科書を引き裂いている所を」
「私も見た」
「俺も見たぞ」
「私はその日、王妃教育のため、学園には登校しておりません」
「「「・・・・。」」」
顔面蒼白の目撃者たち。
「ぬぬぬ。じゃあ、誰が教科書を破ったんだ、お前が指示したんだろ!」
会場がざわめく。
「は~。詰めが甘いだろ。ちゃんと相手の予定ぐらい確認しろよ」
「お兄様、これは、あれですね。
”皿うどんが食べたくて、皿うどん麺と、キャベツと人参と豚肉と、シーフードミックスと、色付きかまぼこ買ったのに、いざ作り出して最後の仕上げにとろみをつけようとしたら、片栗粉買い忘れた”ですね。
「ん~。そうか?詰めが甘いのは一緒だな」
今度は、ぼっさい令嬢アールがしゃべり出した。
「私、怖かったんです。学園の廊下ですれ違うたびに睨まれるし。足を引っかけられて転びそうになった事もありました。学園の裏に連れていかれて、暴言を吐かれたこともあるんです。え~ん」
「アールが言っている、事実だろ。気弱なアールをいじめるなんて、やはりお前は悪女だ」
「先ほども言いましたが、私はアールという娘を知りません。もし仮に知っていたとしても、私と廊下ですれ違う事も、学園裏に呼び出す事も不可能です。
アール令嬢は、今日デビュータントですよね。
学年が違います。デビュータント前の娘は、坂の下の第三学園。私が登校しているのは坂の上の第一学園です」
「ぬぬぬ。いいがかりだ。お、お、お前は第三学園に行ったんだ」
俺は頭を抱えた。
「は~、普通気付くだろ。いいがかりはお前だ」
お兄様、これは、あれですね。
”皿うどんを食べようとして、本当はソースをかけたかったのに、酢を間違えてかけちゃった”ですね。
「ん?微妙に違うか?全然違う色なのに、間違えたということか、合ってるか」
もう1人、キームン王子の後ろに控えていた、筋肉ムキムキのアッサム辺境伯令息。
「他にも、他にもあるぞ。アールは学園の正面玄関にある階段から落とされたんだ。その時、俺は階段の下にいてアールを受け止めた。俺がいなかったら怪我をしていた。
階段の上に、シルク侯爵令嬢らしき人影が見えたんだ」
「そう、私、シルク侯爵令嬢らしき人から押されたんです。押されてバランスを崩して転落しちゃって、アッサム様が助けてくれなかったら、死んでたかもしれない。えーん」
「そら、そら見ろ、お前の悪事が出て来たぞ。どうだ」
キームン王子がシルク侯爵令嬢を煽ってる。
「はぁ。学園の正面玄関にある階段と言われましたね。第一学園も第三学園も、正面玄関の階段は、3段しかありません。私らしき人を見た。はぁ。3段の階段上に居る人物が、はっきり見えない目をお持ちですか。はぁ」
俺は、お腹に手を添えた。
「マジで、何やってんだあいつら。あ~胃が痛い」
「お兄様、これは、あれですね。
”皿うどんの具が少しあまったな、皿うどん麺追加して、食べきろうかな。
うぁ、麺がタレを吸って増大しちゃったよ、腹いっぱい。食べれない”ですね。」
「お前、皿うどん好きだね。ん~、無理して追加して墓穴ほったは、一緒かな」
冷ややかな目で、キームン王子達を一瞥するシルク侯爵令嬢
「呆れて物が言えません。婚約破棄承知しました。ごきげんよう」
シルク侯爵令嬢は、そのまま踵を返して会場を後にする。
会場を出る直前、俺に”お前、何とかしろよ”の睨みをきかせて。
その後は、大変だった。
騒ぎを聞いた顔面蒼白の国王と、怒り心頭のダージリン侯爵登場。
その場で、キームン王子とその取り巻き、アール令嬢は引きずられ、どこかに連れていかれた。
会場に残った第二王子の俺と、王女の妹。
「お兄様、これは、あれですね。
”災い転じて福となす”ですわ。さあ、行きましょ」
妹よ、最後まで皿うどんで例えてくれ。
皆さんは、旅行先から帰ってきたら、皿うどん派ですか?私は、卵かけごはん派です。
今回の小説は、わずらったい説明ほとんどなし、ノリと勢いで書きました。
”曖昧だけど正確な表現ですね。~婚約破棄のその後~を投稿しました。
続きです。よかったら読んで下さい。




