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狐と
虚翠の自室には、一冊の本がある。紙の大きさはバラバラ。ボロボロの背表紙に、なんとか形になっているようである。
表紙には『 』。嘗ては記されていただろう題名は現在白紙である。手垢にまみれた本ともいえぬものであった。
その本の一頁目。
_これより、この神社の社を任された。この神社の繁栄を願って_応徳✕✕
すでに破れ、虫に食われて読めなくなってしまった頁も多い。その中、この頁は、この頁だけはいつまでも綺麗なままである。
本の裏側。誰も見ないような場所に置かれているものに、写真が貼られていた。白黒の写真に男女四人が並んでいる。一人はまだ幼さが残っている虚翠であった。他三人は、どこかで見たことがある人間。
その内、一人の名前は言秘。彼女は特別な能力をもっている。未来をよむ力…かつては神庵。現在では天眼通と呼ばれる力である。




