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踏切レース

作者: 腹黒兎

 

 雲の少ない空は快晴。今日は気温が上がりそうです。

 週の始めの月曜日。現在、七時四十五分。気温は十五度。

 次が七時台最後のレースとなります。

 通勤ラッシュが少し落ち着ましたが、学生が増えましたね。近隣の学校に通う制服姿が多く見られます。高校生が圧倒的多数ですが、中学生と小学生も数では負けていません。職場が近いのかのんびり歩いているサラリーマンもいますね。

 さぁ、そろそろ時間のようです。


 警報器の音と共に遮断機が下りました。

 電車の訪れを示す指示器は左右両方が点灯している。

 遮断器の前ではサラリーマンがイライラと指示器を睨みつけてますが、待ち時間は変わりません。

 北側に人が増えたようです。遅れて南側にも着々と集まってきました。

 流石、通勤通学時間です。人の流れが早い。

 おっと、早くも右側から電車がやってきた。

 これは快速か?快速だ。人をぎゅうぎゅう詰めにして通り過ぎて行きます。

 踏切を無事に通過。しかし、左側の指示器がまだ点灯している。遮断機はまだ上がらない。

 南側に立つ作業服の男は苛立ちながら足を打ち鳴らしています。その隣でスマホを見ている学生との差が際立ちますね。

 そして、左側から電車がやってきました。こちらも快速。人がたくさん乗っています。

 快速電車が通り過ぎましたが、すかさず右の指示器が点滅。

 まだ遮断機は上がらないようです。

 両側の遮断機前には待ち人の波。

 そして、なんと左の指示器が点滅。

 遮断機が上がる気配が感じられません。最初から待っていた人は苛立ちと諦めの表情と様々です。

 右側から電車が来ました。これは各停ですね。快速よりも若干少ないのか、空間が見られます。

 さぁ。残りは左側の駅からやって来る電車のみですが、なかなかやって来ない。

 その間にも遮断機前には続々と人が集まっています。

 自転車も多いですね。その間に原付バイクが混じっています。歩きの人は端に集まってますが、自転車に紛れてる人もいる様です。非常に危ない行為です。そこは車道だと誰か教えてあげて欲しい。

 ようやく、ようやく、左側から電車がやってきました。こちらも各停のようです。ごとんごとんと走り出した電車を踏切の人々が期待を込めて見送っている。

 ついに遮断機が上がる瞬間が訪れそうです。

 並んだ人達に緊張が走ります。

 ペダルに置いた足に、バイクを持つ手に、それぞれ力が入ります。一歩でも先に出てやろうという顔つき。

 怪我のないようにと祈るばかりです。


 そして、今!遮断機が上がりました!


 各人一斉にスタート!

 やはり原付バイクが飛び出した。速い、速い。向かいからやって来る波を器用に避けて進んでいきます。

 追って、自転車も好調な滑り出し。先頭には緊張が走りますが、向かってくる自転車と接触をする事なくすれ違っていきます。

 まるでマスゲームっ。

 おっと、自転車に紛れた歩行者が自転車のおじさんに怒鳴られて端に寄りました。危ないですからね、注意してください。

 中央を原付バイクと自転車に占拠されていますが、歩行者も端を早足で駆け抜けている。向かって来る人波を器用に避ける姿はまるで忍者のようだ。

 そして、いよいよ自動車が動き出す。

 一台二台と踏切を越えていく。

 おおっと!ここで一台が急ブレーキです。前方を走っていた自転車から帽子が飛んだようです。近くにいた歩行者が慌てて拾い上げて渡しております。助け合いの精神ですね。素晴らしい。ですが、運転手は苦い顔だ。

 アクシデントはあったものの自動車も無事に通過。

 ここで遮断機が下りる警報器が鳴った!

 自動車はあえなく停車です。あぁ、運転手の眉間に皺が寄ってますね。行けるはずだったのに…と表情が物語っております。

 片方が下りた遮断機の隙間を縫って、自転車と歩行者が駆け抜けていきます。

 大変危険な行為です。遮断機が下りたら止まってください。


 そして、両方の遮断機が今、完全に下りました。

 終了、ここで、終了です。

 電車を知らせる指示器は、やはり左右が点灯している。

 渡れなかった人たちに加えて、新しい参加者たちが続々と集まってきています。

 自動車の前にも自転車が並び始めた。安全の為にも車道の端に寄って頂きたいところですが、一分一秒を惜しむ彼らに「安全」という言葉は紙屑同然のようです。

 学生たちは時間に余裕があるのが態度にも出てますね。歩きスマホには気をつけてもらいたいところです。


 遠くに電車が見えてきました。

 次のレースもどんな展開が待ち受けているのか非常に楽しみです。

 参加者の方は怪我や事故のないようにお渡りください。


お読みくださりありがとうございました。

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