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なんだかお互いに

こうやってリーネと一緒にベッドで横になりながら話をすると、ますます、前世の俺がまったくそういうことをしていなかったのを思い出す。女房と一緒に寝てた頃も、すること済ませたらさっさと寝てて、話なんかしてなかった。


それで何の意思疎通ができるって? 相手の考えてることが分かるって? 自分の考えてることを相手に伝えられるって? 


グダグダじゃねえか……


つくづく、前世の自分の愚かさを思い知らされる。


『変じゃないです……!』


とリーネが言ってくれたということは、今の俺の接し方は、彼女にとって理不尽なそれじゃないってことだ。なら、これからもこうやって話をして、自分の振る舞いが彼女からはどう見えてるのか、それを彼女の口から聞かないとな。


でも、思うんだ。最初の頃の彼女は、俺に対してやっぱり怯えてて、言いたいことも言えなかったんだって。だから、俺自身が、彼女にとって、


<言いたいことを言える相手>


であることも大事なんだって。てことは、彼女が言い淀んでしまうことがあったら、それは俺の接し方に何か問題があるってことだろうなってのを、肝に銘じておかなきゃ。


けどなあ、素直にそんな風に思えるのは、相手がリーネだからっていうのもある気はする。彼女が俺を気遣ってくれるから信頼してくれてるから、俺も穏やかな気持ちになれてる気がするんだ。


ただそれは、俺が彼女にとって気遣ったり信頼したりしていい相手だって思ってもらえてるからっていうのもあるだろうし、やっぱり、大人である俺がまず、子供に信頼されなきゃいけないってことなんだろうな。


子供に先に気遣ってもらえなきゃ気遣うこともできないとか、情けないよな。でも今は、


「ありがとう……」


『変じゃないです……!』と言ってくれたことに、ついそう応えてしまった。


「あ…いえ、そんな……!」


急に礼を言われて、リーネも慌ててしまって。すると、なんだかお互いに笑えてきてしまって、


「くくく……」


「くすくすくす…♡」


そうやって二人でしばらく笑い合った後、俺とリーネは、向かい合ったまま、いつの間にか眠ってしまっていた。距離も、確実に近付いていた。


だからって、彼女を<女>として見てるってわけじゃないぞ? やっぱり、娘って感じだな。


まったく……なんで前世の俺は自分の娘にこうしてやれなかったんだ……こうやって穏やかに話しをしてやれなかったんだ……手遅れになってから気付くとか、ホントに情けない……


だからこそ、今度は、な……



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