表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
381/398

リーネの才能

イワン謹製の、


『泣き虫マリヤの冒険』


の絵本をマリヤが大切にしてるから、リーネがそれを写本して複製したものを、誰もが読める絵本として家に置いてある。


リーネも写本は今も続けてくれてるんだ。そして、カーシャとマリヤとマリーチカとボリスとペトロも、読み書きと算術を、リーネから教わってる。どうやらリーネには、


<教師としての才能>


がありそうだ。<絵本を作る才能>はイワンには到底及ばなかったものの、教え方が丁寧で分かりやすくて、ボリスとペトロもあっという間に字が書けるようになった。簡単な算術ならできるようになった。


これもそうだろう? 持ってる才能や適性も個人個人違うんだ。まったく同じ接し方をしていてそれが上手く育つと思うのか?


と同時にリーネは、母親としてもとても子供を大切に思ってくれてる。ちゃんと子供を<人間>として接してくれるんだ。自分の思い通りにならないからってキレたりもしない。もちろん人間だから時には不機嫌になったりもするが、そこはトーイと俺がフォローする。何もかも彼女に押し付けるつもりもない。


トーイも、村の男共と違って、リーネのことを人間として接してくれる。家政婦とか奴隷とか家畜とか、そんな扱いはしないぞ。


そうだ。それができるから、リーネとの結婚を許した。


一方、カーシャとマリヤとマリーチカは、俺がリーネとトーイの結婚を認めたこと、イワンが家を出て行くのを認めたこと、等が原因になったのか、俺に対して少々反抗的な振る舞いも見せている。


いるが、


「お父さんなんかキラ~い!」


「ぶーっ! ぶーっ!」


「なに? なんか用?」


的な些細なものだ。しかし、カーシャとマリーチカは、


「俺の方からも頼むよ」


トーイがそう言うと。


「仕方ないなあ……」


と言ってくれるし、マリヤも、不満そうにブーイングは上げながらも、俺の膝に座ってきたりもする。だから、細かく<ガス抜き>をしてるんだろうと感じるんだ。本気で家を出て行こうとか考えてるわけじゃないのは、様子を見てれば分かる。


だが、そういう彼女達の<ガス抜き>に過剰に反応して威圧的になれば、それこそ、


『こんな家にはいられない!』


と思われたりもするだろう。それに、


<自分にとって都合の悪い振る舞いをする相手>


への接し方についても、こういう形で手本を示すんだ。人間として生きてる限りは、相手が常に自分にとって都合よくいてくれるなんて有り得ない。そういう時にキレて怒鳴ったり暴力を振るう奴が、


<モンスター化>


するんだろう? モンスターペアレントやモンスターカスタマーやモンスターペイシェントとかになるのはそういう奴じゃないのか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ