表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
356/398

他者を人間扱いできない奴ってのは

つくづく、この世界の連中のことを見てて実感したよ。


『他者を人間扱いできない奴ってのは、結局のところ本人が人間扱いされなかった経験を持つからなんだろうな』


ってな。


この世界の連中はそれこそ子供を家畜扱いしやがる。だから他者のことも人間じゃないものと見做せるようになる。何しろ自分が人間扱いされてこなかった経験があるから、


<他者を人間と見做さない感覚>


がそもそも身に付いちまってるんだろうなってこった。


阿久津安斗仁王(あんとにお)が生きてた世界でも、相手を人間だと見做さねえ言葉が溢れてたよなあ? <害虫>とか<豚>とかみてーなのはカワイイレベルで、えげつないのとかな。


けどよ。どんなに妄想を膨らまそうが相手は人間なんだぜ? てめえと同じな。てめえがやられて嫌だと感じることがあるように、相手も嫌だと感じることはあるし、されたくねえんだよ。


自分が嫌なことされたくねえんならなんで人間相手にそんなことできんだ? おかしいだろ。


って考えてみたが、これはあれだな。宗教で、


『神がそうしろと言ったから』


的な責任転嫁することでえげつねえことができるパターンもあるが、それとは別に阿久津安斗仁王(あんとにお)は宗教は毛嫌いしてたのに他者を人間扱いしないってことができたのは、やっぱ子供の頃に親に人間扱いしてもらってなかったからだな。


前にも触れたと思うが、よく言うだろ?


『子供はただの動物だから躾けて人間にする』


ってやつ。それ、子供を人間扱いしてないよなあ? 子供を人間として扱わないことで、<他者を人間と見做さない感覚>ってのを植え付けてたんじゃねえのかよ?


何しろ、カーシャにはそういう感覚はまったくないみたいでよ。誰が相手でも、もちろん知らない相手や信用できない相手には警戒はするもののあくまで人間としては接してくれてるぞ? <他者を人間と見做さない感覚>ってのをそもそも持ってねえんだよ。で、それがなぜかと考えたら、俺がカーシャを人間以外の何かとして扱ったことがねえからだろうな。じゃなきゃ、そんな感覚を学ぶ機会がほとんどねえんだ。


リーネにはそういうのがあったとしても、俺がカーシャを人間扱いしてるからそれに倣ってくれてたし、トーイもイワンも同じだ。村の連中だって、別に面と向かってカーシャのことを家畜扱いはしねえ。それっぽい言動があったって、ずっと一緒にいる俺の影響力は上回れねえ。


結局はそういうことなんだって察したよ。これからマリヤも成長していくが、カーシャにしたのと同じように接すれば、<他者を人間と見做さない感覚>なんてものを学びようがねえから何も心配してねえよ。


そしてトーイもイワンも、リーネのことをちゃんと人間として接してくれてる。


それが大事なんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ