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ヤバい部分

俺は、性根では<最低なクズ>のままだと思う。あくまでそんな自分を正当化しなくなったってだけの話だ。


だから俺のそういう性根を、リーナはまあ出逢った時にはもうある程度の年齢だったからそこまで影響も受けないかもしれないが、トーイやイワン、特にカーシャは影響を受けてしまう可能性は否定しきれない。


でも、だからこそ、なんだよな。そういう<最低なクズの自分>ってのとどう向き合うかってえ姿勢そのものの手本を見せることができるっていうことでもあるわけで。


人間ってのは、完璧な善人も完璧な聖人もいねえ。みんなどっかしらヤバい部分を抱えて生きてるもんだろう。うちではイワンが特にヤバい。闇を抱えてる。それは事実だ。けどな。幸せになるにはそういう自分と折り合いを付けなきゃいけねえんだよ。てめえの<ヤバい部分>を自分で制御する努力をしねえ奴は幸せになんてなれねえし、そもそも周りの奴が、幸せになることを許しちゃくれねえだろ。


だとしたら俺は<親>として自分の<ヤバい部分>との折り合い方の手本を見せなきゃいけねえんだよ。


自分の思い通りにならねえからってキレ倒して自分より弱い相手にイキってちゃいけねえんだ。親がそんなことやってて子供が真似しねえとか、そんなムシのいい話をあてにする方がどうかしてる。そんな<運任せ>が本気で通用するとか思ってる親はダメだろ。<努力>してねえじゃねえか。努力もしねえ奴が努力を語ってそれを子供が納得してくれるわけねえだろ。


てか、てめえがそんなの納得できんのかよ? できねえだろ?


それだけの話だ。


だとすれば俺はカーシャに対してキレることはしねえようにする。もちろんトーイにし対してもイワンに対してもだ。


だからか、カーシャはいつもご機嫌でいてくれてる。もちろん拗ねる時もあるのは確かだが、いわゆる<悪魔の二歳児>ってのはほとんどなかったよ。だってそうだよな? 何しろ俺がキレねえし、カーシャの言葉には耳を傾けんだから、カーシャとしてもキレる必要もねえ。キレなきゃいけねえ理由がねえ。


カーシャがぐずるのは、自分が言いたいことを上手く表現できなくてもどかしい時くらいのものだ。


子供だって人間だ。上手くやれない自分自身に対してムカつくことだってあるってもんだ。


上手くやれない自分自身に対してムカついてる相手を怒鳴りつけてなんになる? 余計に自己嫌悪に陥らせるだけだろう?


俺はそういう時は、


「そうか。上手くできないのが嫌か。そうだよな。カーシャ」


って話し掛けるだけだ。俺までキレる場面じゃねえよ。



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