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こうやって話をするのがウザい

ま、俺がこうやってリーネやトーイやイワンとあれこれ話ができるのも、結局のところ、


『こうやって話をするのがウザい』


って思われてないからなんだけどな。子供から『ウザい』って思われてりゃそりゃあ話も聞いちゃもらえねえだろ。


何度も言うようにそいつは、親が子供の言葉に耳を傾けなかったからだ。親が先に子供の話を聞かなかったからだ。だから子供に、


『こいつと話しても無駄だ』


と思われたってえだけの話だな。しかも俺がこうやって長々と説教臭いことを言ってたら、


『ウザい』


みたいに言うんだろう? それこそが、自分の子供から思われてることだって気付いたらどうだ? 俺をウザいと思うのと同じように、子供からウザいと思われてるんだってよ。


改めて言うが、リーネやトーイやイワンが俺の話をウザいといって避けないってのは、俺がリーネ達の言葉に耳を傾けるようにしてたからだ。リーネ達もその真似をしてるだけでしかねえ。


何か特別なことをしたわけでもねえし、リーネ達が特別生まれつきの<いい子>だったからでもねえよ。


リーネは元々<いい子>だったとしても、トーイやイワンの様子を見てても分かるだろ? 嫌なら俺と口も利かねえよ。二人とも。


まあ、トーイは確かに無口だが、別に俺のことを嫌ってるわけでもねえのは、普段の様子を見てれば分かる。俺を避けてねえからな。これについては、


<生まれついての性格>


ないし、


<自分の母親が死んでいくのをすぐ傍で感じてた影響>


だと考えれば、『俺を避けてるわけでもねえのに無口』ってえ理由もまあ納得できる。


あくまで言葉が上手く出てこないだけで、話したくないわけじゃねえんだろう。だとすれば俺はそれも含めて受け止めるだけだ。




こうして翌日も、いつもの通りに淡々と一日を過ごす。俺が村まで納品と注文を取りに行ってる間に、リーネとイワンは勉強と写本をする。で、トーイは家のメンテナンスをしてくれてる。いかんせん素人工作だから、最初の頃に作った壁とかは傷んできててヒビが入ってたりもするんだ。そのヒビをモルタルで埋め、取れかけてるレンガは外して改めて積み直して。


実際、<家の修理>ってのは大事な仕事の一つなんだよ。これは麓の村でも同じだが、上等な材料を使って金をかけて丁寧に作られてるわけじゃないから、すぐにあちこち傷んでくるんだ。それを常時直しつつ住む。これがこの世界の庶民の当たり前だな。


まあ、<街>だとまた違うんだとしても、少なくとも僻地の集落だとこんなもんだ。



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