自分のケツは自分で拭くってだけなんだよ
『自分の実子じゃないから虐待して当然』
そんな風に考えてるだけならまあ<内心の自由>ってことで済むのかもしれないけどよ、それをネット上で公言すりゃ、しかも実際に、
<実子じゃない子供>
がいるってんなら、
<幼い子供を害するという犯行予告>
と解釈されてもなんの不思議もねえだろうが。まともな大人ならそんくらい分かるだろ? ああ?
『自分の実子じゃないから虐待して当然』とか、じゃあ、俺がやってることはなんだってんだよ? 俺は別に慈善事業でやってんじゃねえぞ。やりたいからやってるだけだ。まあ、リーネと一緒に暮らすことになったのは偶発的なあれだけどよ。
けど、俺は今、リーネのこともトーイのこともイワンのこともカーシャのことも確かに<自分の子供>と思ってる。血が繋がってるかどうかは関係ねえ。俺自身がリーネ達を育てていくと決めた以上は、てめえの決断に責任を持ちてえってだけだ。自分のケツは自分で拭くってだけなんだよ。
そして前世の俺はそれができなかった。ってだけの話だ。
てめえのケツもてめえで拭けねえ奴の言ってることなんざ知ったことか。托卵するような女を選んだのはてめえ自身だってえことにも向き合えねえような奴が何言ってたって関係ねえ。
俺は俺だ。他の誰でもねえんだよ。もう、阿久津安斗仁王でもない。
いちいちネットで誰かに慰めてもらおうとするような奴の戯言なんざなんで気にしなきゃいけねえんだ。てか、ネットで誰かに慰めてもらおうとしたり共感を集めようとするってこたあ、現実で本人の周りにゃ相談できる奴がいねえってえ証拠じゃねえか。
違うのか? 違うってんならネットなんざ頼ってねえで自分の周りの人間を頼れや。それもできないような人間関係しか築けねえ奴だから、ロクでもねえのとしか知り合えねえんだろうが!
阿久津安斗仁王は、ネットを頼るような奴じゃなかったが、それでも周りにそういうことを相談できるような信頼できる相手はいなかったな。てか、当人がそもそも他の奴らをあてにしてなかった。なんでも自分で解決できると思い上がってたから、ネットで愚痴を垂れ流してるような奴らのことは心の底から馬鹿にしてた。軽蔑してた。見下してた。そう思ってるてめえがどういう晩年を迎えるか考えもせずによ。
我ながら笑えるぜ!
女房と娘に見限られて、同僚や部下とも疎遠になって、高齢者施設で四十も五十も年下の職員を<ガキ>と侮って、
『ガキは厳しく躾けてやらなきゃいけねえ』
とか考えて『躾けてやる』ことをささやかな心の拠り所にしてたクソダセェ晩年をどうやって自慢するってんだ、おお?




