他所の若い女
一応は十八歳。実年齢ではたぶん十七歳のリーネは、見た目はまだ十五歳くらい?という印象ながら、その辺りで成長が止まってしまった感じながら、頭の中はもうほとんど<大人>と言っていいと思う。だから俺と<大人の会話>もできる。
「だからな、リーネは自分の思うようにすればいい。結婚なんかしなくたって構わねえし、子供だって作らなくてもいい。結婚したいと、この人の子供なら欲しいと思える相手がいたら結婚すればいいし子供も作ったらいい。それ以外じゃ結婚も子供も必要ない」
「はい。トニーさん。でも、もし、私がトニーさんと結婚したいと言ったらどうしますか?」
「ははは! そう思ってくれるなら嬉しいが、悪いが俺はリーネのことは娘としか思ってない。娘相手に結婚しようって気にはならないな」
それが正直な気持ちだった。リーネはもう、この世界じゃ十分に大人扱いされてもおかしくない姿には育った。年齢に比べれば幼い感じでもまあ『ちょっと小柄かな』って程度で済むだろう。だから<一人前の女>と見做してもいいんだと思う。
けど、やっぱり俺にとっては<娘>なんだよな。小便を漏らした時にも対処したし、風呂にもずっと一緒に入ってきた。今はもうさすがに一緒に入るには大きくなったから別々に入ってるが、裸を見たって何とも思わない。結局、<そういう目>で見るから興奮したりもするんだろう? いくら若い女でも、自分の<娘>だぞ? 女房だって見慣れりゃ飽きるんだから、当たり前に見てきたら見慣れちまってもなんの不思議もないだろうが。
自分の娘をそういう目で見るとか、そりゃ<自分の娘>じゃなく<他所の若い女>って目で見てるってことじゃねえのかよ? ああん?
おかしいだろ。
まあとにかく、俺にとっちゃリーネは<抱きたくなる女>じゃねえんだよ。裸すら見慣れた身飽きた<家族>でしかねえんだ。
加えて最初っからそういう目で見てなかったしな。我慢する必要もなかった。これについては俺自身が、前世も含めると<百歳超え>ってことも影響してる可能性はゼロじゃないかもしれないが。
幼馴染で俺と結婚してもいいみてえなことを言ってた女にも手を出さなかったくらいだし。でも、そういう目で見てねえ女とはヤろうって気にならねえってのも、別に珍しいことじゃねえだろ? 普段は女に縁のねえDTにゃ分からねえ感覚かもしれねえけどよ。
よく、
<娘みてえに思ってた子供が成長して<大人の女>になったことにどぎまぎする中年男>
ってのがフィクションにゃ出てきてたが、いやいや、男なら必ずそうなるってわけじゃねえぞ? そんなのはDTの発想だと俺は思うね。




