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人間社会における適応のしにくさ

イワンやカーシャと接することで、俺は、<ハンデ>ってもんを改めて考えることになった。<ハンデ>なんてものはそもそも、


<人間社会における適応のしにくさ>


を指してるものでしかないよな? 野生の生き物が、人間の幼児並みの知能もなかったり視力を持たなかったりしても生きていたりするのに、なんで、


『ハンデがあったら生きていけない』


って決め付けんだ? イワンは足が不自由でも、今じゃもう絵本作家として金を稼いでるぞ? カーシャもこうして生きてるぞ?


<できること>と<できないこと>ってのがあるのは当然だ。できないことを無理にやらせようとして、


『ほら、できないじゃないか。なら生きてる価値もない!』


とかヌかしてるだけだろ。てめえの無能ぶりを棚に上げてよ。俺は年収一千万を達成した。じゃあ、俺と同じことができない奴には『生きてる価値がない』のか?


そうじゃねえよなあ? それで『生きてる価値がない!』とか言われたら、必死になって反論するよなあ? どこかの誰かが勝手に決めた線引きで自分の<価値>を決められたら、ムカつくよなあ? なのになんで、他者の価値をお前が勝手に決めんだよ? ああん?


イワンは元より、カーシャも俺にとっては<価値のある命>なんだよ。野生の生き物が人間の役に立つことをいちいちするか? しねえよな。それでも生きてんじゃねえか。俺の娘の<価値>を、何一つ責任も負ってねえ奴が勝手に決めんじゃねえ。


俺はカーシャを愛してる。この子は生きてんだよ。別にてめえが生きるために必要ってわけでもねえのに勝手に命を奪おうとすんじゃねえ。生きるってなあ、


『他の命をいただくこと』


なのは事実でも、カーシャが死ななくてもてめえは生きていけんだろうが。だったら余計な口出しすんな!!


ぶっ殺すぞ!!


って、いかんいかん。エキサイトし過ぎた。今のところ誰もそんなこと言っちゃいねえ。


……いや、村の連中は言ってたりするかもしれねえか。


『あんな目も見えない子供なんてさっさと始末すればいいのに』


とかな。実際、それっぽいことを、<噂話大好きおしゃべりスピーカー女>も言ってたしな。まあでも、面と向かって言われでもしない限りは気にしても仕方ねえ。てか、面と向かって言われてもスルーすりゃいい話だ。あいつらの考え方や感じ方なんざ俺にはどうでもいいことなんだからよ。ブルーノをはじめとして何人もの子供らを死なせたこたあ許さねえが、それは俺の勝手な気持ちというだけだしな。


お互い様だよ。



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