表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
274/398

カーシャ

その所為かもしれねえが、カーシャは俺が思ってたほど泣かないんだ。夜泣きもほとんどしねえ。けど、いわゆる<サイレントベビー>ってわけでもねえみたいなんだよ。


「ぷあ、はぷあ。ぷぷぷう」


とか、しゃべってくれるし。目は見えないから視線を動かすことはほとんどしないものの、音のする方へちゃんと顔を向けるしな。だから耳はしっかり聞こえてるのは分かってる。目は、黒目のところががっつり白く濁ってて、たぶん、<白内障>ってやつだと思う。だから光は感じられるんだろうけど、はっきりとものを見ることは、一生、できないだろう。


今のこの世界の医学じゃな。


けどよ。そんな体に生まれてきたのは別にカーシャの所為じゃねえだろ? 


『親の所為にすんな!』


とか言って子供に<自己責任>を押し付けんなら、そんな子供が生まれたのを子供に責任おっかぶせてなかったことにしようとすんなよ。子供がそんな風に生まれてきたのは子供の所為じゃねえだろ? なに自分が子供作ったのが原因だってのに『自分の所為』ってのは認めようとしねえんだよ?


ああ?


でもまあ、現実問題、大変だろうなってのも俺だって思うよ。だからカーシャの親に、


『お前らが責任持って育てろ』


とは言わずに、『俺にくれよ』って言ったんだよ。<現代知識無双>ってやつまではさすがに無理だが、前世じゃまともに子育てなんてしてこなかった俺でも、多少の知識はあんだよ。この世界にゃまだねえノウハウがよ。


それを、リーネとトーイのおかげで検証できた。今世での実際の経験と照合した上で精査することで、いろいろ分かってきたんだ。なら、それを活かさねえ手はないだろ?


正直、<病気>については、ならねえように気を付けるが、なっちまったらもうどうしようもねえ。本人の免疫力と体力と運頼みではありつつ、俺にできる範囲のことは俺がする。


カーシャがあんまり泣き叫ばないのは、彼女自身の性格もあるんだろうが、それに加えて、彼女が不安にならないように俺が対処してるってのも大きいと思う。


赤ん坊が泣くのは、結局は自分の窮状を訴えてのことだから、じゃあそういう窮状をなるべく回避すりゃいいだけだしな。それが道理だろ?


ちなみに、人前に連れてくる時にはまあ、リーネが作ってくれた服も着せるが、実は家じゃ専用の籠に寝かせてる時には下半身は丸出しにしてる。小便も糞も垂れ流し状態だ。紙おむつがねえから、枯れ草を編んだシートの上に寝かせておいてそこに小便も糞もさせて、シートごと捨てるようにしてるんだよ。


糞まみれの布おむつを洗う心理的な負荷と手間の削減ってことだ。


だが別に、推奨はしないぞ。


カーシャについては俺が責任を負うものの、他所様の子供については責任を負えないからな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ