さらに子供が二人増えて
リーネと出逢って暮らし始めてから三年。うちにはさらに子供が二人増えていた。
つっても、別に俺の実子ってわけじゃねえぞ? 親に捨てられた子を引き取ることになったってだけだ。
一人は、<イワン>。足が不自由で上手く歩けないことで使い物にならないからと捨てられた。
もう一人は、<カーシャ>。まだ生後数ヶ月の赤ん坊だ。でもカーシャは、目が見えない。だからそれこそ生かしておく意味がないってことで殺されそうになっていたのを、
「いらないんなら、くれよ」
と言ってもらい受けたんだ。はは! 簡単だろ? 役に立たない家畜なんざ持ってる意味がねえんだよ。
だが俺は、そんな風には割り切れねえ。ブルーノの件もいまだに内心では引きずってる。
それにイワンは、走ったりするのはできないというだけで、普通に歩くだけなら足を引きずる形にはなるもののできなくはないんだ。あんまり力仕事もできないが、別にそこまでしてもらうつもりはねえ。
イワンは、たぶんトーイと同じ歳くらい。今は五~六歳という感じか。だからトーイの代わりに、リーネの手伝いをやってもらうことになった。そしてトーイには、風呂場の暖炉の管理をしてもらってる。火掻き棒で灰を掻き出して裏庭に捨て、新しく薪をくべて火を熾す。実に手慣れた様子でこなしてくれる。あと、薪を作るのもトーイの仕事だ。俺が作った鉈で枝を切り、薪にする。
これまた手慣れた様子でサクサク作業が進む。最初は俺がずっと傍についてたんだが、トーイは根が真面目なんだろうな。俺が指示した通りにしかしなくて、だから余計な真似をして危険を招くこともない。
ああでもそれは、俺の仕掛けた罠に引っかかって危うく命を落としそうになったことも影響してるのかもな。
そういう意味じゃ、確かに<失敗>を活かしちゃいるんだろうが、それはあくまで死ななかったからだ。あそこで死んでたら経験として活かすもクソもない。だから俺は、回避できる危険は回避する。あの一件だって、わざとそうなるようにしてたわけじゃねえ。気を付けてるつもりでもそうなっちまったってだけだ。
トーイは俺の言ったとおりにしかしないが、分からないことがあったら訊いてくれる。ちゃんと指示を仰いでくれるんだ。そうやって逐一指示を受けに来るのを、
『めんどくさい!』
とか言う奴の方が我慢の足りねえガキじゃねえか。上司や上役や先輩ってのはそのためにいるんだよ。
と、前世の俺のことを思い出しながら考える。




