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素直に間違いを認めて改めることができる

『そんなことを毎日毎日延々と考えててよく頭がパンクしないな?』


と言う奴もいるかも知れねえが、これが不思議と平気なんだ。前世の俺はそういうことを極力考えないようにしてたけどな。とにかく自分にとって都合よく動いてくれることが正しくて、それ以外は考えないようにしてた。


まあ、いくら記憶があったって肉体そのものが別人なんだから、脳の構造が違ってるんだと言われたらそうかもしれないにしても、でもなあ、どっちも<人間の脳>には違いないんだから、そんなとんでもない差があるとも思えないんだよ。


だからこそ、<努力>って言葉でなんでも解決できると思ってる奴は、今の俺と同じことができんのかよ? って考えちまうんだよな。


今の俺がやってるみたいな、延々とあれこれ考え続けることをやらねえやつは、<努力>してねえってことになるだろ? 俺がこうやって延々と考え続けられるってのを<才能>って話にするなら、やっぱ努力だけじゃどうにもならないこともあるって話になるしよ。


なんてことを考えながら、鍛冶の仕事をこなす。今日は納品はねえから一日、鍛冶仕事だ。ナイフ、鍋、スペイド等々。必要なものはいくらでもある。それらを延々と作り続け、同時に延々と考え事をする。


今の俺にとってはそれが普通なんだ。むしろ、前世はなんであんなに考えなかったんだ?とも思う。考えたくなかったんだろうなとも思うが。


『考えたら俺自身の矛盾を自分で暴いちまうから』


それが怖かったのかもしれねえ。


ただよ、自分が常に正しいわけじゃないってのを認めちまうと、自分にとって都合の悪いことも平気になってきたんだよ。


『間違ってたんならそれを改めていきゃいいだけじゃねえか』


って思えるようになったのは大きい気もする。前世の俺はとにかく自分が間違ってるってのを認めたくなかったな。それを認めたらアイデンティティそのものが崩壊しかねなかったんだろう。と言うか、矛盾を突かれたらアイデンティティが崩壊するようなガバガバな理屈をあてにして生きてたとも言えるが。


今は自分が間違っててもそれはそれで構わないと思えるようになった。間違いを認められるようになったんだ。間違いを認められるようになったから、自分で自分の間違いを指摘することもできる。


『あ、そうか』


って素直に間違いを認めて改めることができる。それができるようになったのはとにかく大きい。


『俺だけが正しくて間違ってるのは常に他の奴ら』


そんなことあるわけねえよな。



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