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くだらねえことでボロが出る

俺が暖炉を作ったのも風呂を作ったのも、今のリーネやトーイにはできねえことだ。鍛冶仕事もな。


二人にゃできねえことを俺は二人の前でやってみせてる。


それだけでも十分、すげえことだろ? 子供にとっちゃよ。


なのに、自分に中身がねえのを粉飾で誤魔化して立派そうに見せかけて偉そうにするから、くだらねえことでボロが出る。ましてや家で<でっかい子供>や<粗大ゴミ>みてえな姿晒してたり、おまけに不倫だなんだと<我慢>が足りねえとこ見せりゃ、一発で、


<中身もないクセに偉そうにしてるクソな大人>


だってことがバレんだろうが。それでなんで尊敬してもらえるとか思えんだ?


ええ? なんで思えんだよ!?


俺だって、リーネやトーイの前で散々偉そうにしててそれででかいクモ見て、


『きゃーっ!!』


とか悲鳴上げてりゃそりゃバカにもされんだろ。てか、バカにされねえ理由がねえだろ。偉そうにしてたんならな。


偉そうにしてなかったから、『そうなんだ』程度で済ましてもらえてるんだよ。


親だって人間だ。それはまぎれもねえ事実だ。人間は完璧にはなれない。それも事実だ。


だったら、『人間は完璧にはなれない』なら、完璧ぶんなよ。最初から。完璧ぶって立派ぶってそれで、


『親だって人間なんだから完璧にはなれません。ダメな部分もあります。それを認めてください大目に見てください』


とか、


『ふざけんのも大概にしろ!』


って言われて当然だろうが。


とまあ、でかいクモ見て浮足立っちまったが、こうやって吐き出したら少し落ち着いてきたぜ。


やれやれ。


あのでかいクモは、たぶん、<アシダカグモ>って奴なんだろうな。で、外で巣を張ってる奴はまた別の奴なんだろうが、正直、どっちも勘弁してほしい。少なくとも見えるところに現れるのは勘弁してほしいよな。


まあ、そんな人間の都合なんか、向こうは気にしちゃくれないが。




なんてこともありつつ、今日も仕事に精を出す。村に納品に行って、レンガや食べ物や現金と交換してもらう。


そして帰ると、レンガを積んで壁を作っていく。


リーネもトーイも、今朝のクモ騒動のことなんかすっかり忘れて手伝ってくれる。


そして、貰ってきた分のレンガを使い終わると部屋に戻って、俺は鍛冶の仕事を、リーネとトーイは写本を始める。


と、書き写した紙を見たら、


「お、絵も描いたのか」


紙に、いかにも子供が描いたっていう拙いそれながら絵も描かれてて、その微笑ましさにニヤケてしまう。


「下手だから、恥ずかしいです……」


リーネが頬を染めながら言う。でも俺は、


「頑張ってるじゃないか。すごいな」


素直にそう口にしたのだった。



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