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でっかい<秘密基地>

こうして、年が開けてしばらくした頃に、


<冬用の風呂>


が完成した。農閑期に入って村も農作業はほとんどしなくなって、俺も農機具とかの注文が減った分、風呂作りに専念できたというのもある。


とは言え、見た目はやはり不細工だし、雨が降れば雨水が注ぎ込まれるようにした外の風呂と違って水を張るには何度も桶で運ばないといけなかったが、今度は浴槽に水を張って暖炉の火を絶やさないようにすれば、朝から沸かし始めるだけで夜には十分に沸いてくれた。


レンガの浴槽だから熱伝導が低いんだ。しかも、浴槽の内側を滑らかにするためにモルタルを塗ったしな。あと、三つの暖炉を火を絶やさないように管理するのはなかなか大変なものの。そっちはそれこそリーネに任せる。トーイはリーネの助手だ。


ちなみに、暖炉の上に浴槽を作ったから湯を溢れさせると水が掛かってしまって大変なことになるから浴槽は大きめに作って溢れない程度に湯を張ることにした。ちょっとくらいは溢れても大丈夫なように溝を設けたものの、どばーっと溢れさせるとさすがにそれじゃ追いつかないし。


なんにせよ、ちゃんと湯が沸くかどうか試して、実際に沸いてくれたことで、


「やったあ♡」


「やったね!」


リーネもトーイも大喜びだ。完成までほぼ丸二ヶ月。その間、ほとんど風呂も入れなかったし、特にここ一ヶ月はまったく入っていないし、喜びもひとしおだな。


服を脱いで真っ裸になっても暖炉のおかげでほとんど寒くない。不完全燃焼を避けるために常時換気できるようにわざと隙間を作ってあってそこから吹き込む隙間風に当たるともちろん寒いが、なるべくその空気の流れがあるところを避ければ問題ない。


そして俺達は、久しぶりの風呂を堪能した。想定通り、風呂の底は暖炉の真上当たりの部分が『少し熱いかな』程度で、ずっとそのままそこに触れてなければ大丈夫だった。


ははは! 大成功だ!


あと、風呂に入って母屋に戻るのに外に出るのは嫌だから、思い切って玄関まで壁と屋根で覆われた<通路>を作った。そこまではさすがに十分に温まらないが、それでも外に出るよりはマシだ。


これにより、外から見ると家の大きさが倍以上になってる。まあ、一見しただけで後から継ぎ足しただけなのが丸分かりな不格好な家だけどな。


でも、ベースになった部分があるとはいえ、俺とリーネとトーイで手作りした家だ。なんか、でっかい<秘密基地>みたいでいいじゃないか。


「やっぱり、お風呂は気持ちいですね……♡」


「きもちいい……」


前の風呂より大きくなったそれにゆったりと漬かりながら、リーネとトーイがそう言ってくれたのだった。



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